« 今ならわかる。 | トップページ | 苦手になってしまった子たち。 »

2015年3月11日 (水)

まず問題を眺める。

子ども達の中には見ていてこちらが驚くぐらい、「え?なんでそれにパッと気づくの?」というようなセンスのある子もいますが、最初からそういう子はそう多くはないので、普通は問題をじっくり考え、イメージしたり、試行錯誤したりしながら、実感する、気づくということを積み重ねる中で、だんだんとそういうセンスが育まれていきます。

そういう意味でも、子どもに問題に取り組んでもらう際、ただぽんと子どもに渡して考えさせ、答えが出たらそれでよしとするのではなく、子どもの考え方を見ておくことも大事になってくるだろうと思います。

で、今日のレッスンで感じたこと。
真面目で一所懸命取り組んでくれるものの、閃きとかセンスとかいう部分ではかなり苦労している高学年の子がある問題を解いていた時のことなのですが、その子が、3gと7gのおもりを、それぞれ1つ以上使って90gにする場合の組み合わせは何通りあるかというものを考えていました。

どうやって解くのかなと思っていると、問題を読み終えるとほどなく、紙に3g、7gと書いて、3gのところに「1」と書き、引き算やら割り算やらをして7gの個数を考え、次に2と書いて、また同じように7gの個数を考えと、見ていると、とにかくひたすらに3gを1個ずつ増やし、その都度計算して答えを出そうとしています。

どこかで気づくかもしれないしと、まずは黙って見ていたのですが、工夫をしようというふうもなく、ただひたすらに最後までそれで解き切りました。

答えは合っていたものの、当然相当時間がかかりました。
そこで、「それ、3gを1個から順番に増やしていくより、もっといい方法はないの?」と声をかけたのですが、ひらめかない様子なので、「もし7gのおもりをできるだけたくさん使おうと思ったらいくつなら使えるの?」と尋ねると、計算をして「12個まで。」と答えました。

「だったら、7gが12個なら、3gは何個なん?」と尋ねると「2個です。」と。
その後もう少しやりとりをしましたが、12個から減らすのであれば、地道に全部確かめたとしても12通りで済みます。3gを1個から順に増やしていくのであれば、30通り近く計算せねばならないわけですから(実際その子はしていましたし…。)倍以上の時間がかかることになります。

算数があまり得意ではない子たちは、少しでも早くしなくてはと、問題を読んだらとにかく思いついた方法で手を付け始めることがあります。
中学生の子であっても、規則を見つけようとするより、ひたすらに書き並べて解こうとするような子もいます。

書ける程度の範囲の問題であれば、場合によってはその方が確実に正解が出せるということもありますが、試験などになると制限時間もありますので、やはりどこかで工夫をする、規則を見つけるなどの作業をする必要が出てくる場合がほとんどです。

苦手だから工夫や決まりを思いつかないという意見もあるかと思いますが、そういうことを小さい頃から意識させることで、「苦手だったけど少しできるようになってきた。」とか「苦手だったけど、算数が好きになった。」とかそんな変化も少なからず起こっています。

先の例でいえば、問題を読み終えた後、いきなり1から順に書き始めるのではなく、問題を眺めて、どう考えたら手間が少なくて済むかなとか、どんな工夫ができるかなとか、そういうことを考える時間を取るかどうかが、長い目で見ると力の差になっていくような気もするのです。

得意な子であれば、問題を見てパッと気づき、放っておいても工夫したり、決まりを見つけたりしてしまうこともありますが、そうでない子にも働きかけ、意識させることで、少しずつ変わっていく可能性は大きいのです。

|

« 今ならわかる。 | トップページ | 苦手になってしまった子たち。 »