わかっていても言わない。
子どもとレッスンをしていて、ああ、こう勘違いしているなとか、ここをちゃんと読んでいないんだろうなとか、間違った計算をしているなとか、途中で気づくことがあります。
恐らく、多くの大人はそれに気付いた時点で何らかの声をかけるのだろうと思います。もちろんそれは子どもによかれと思って。
間違えているのにそのままにしておくのは冷たいと思うのかもしれませんし、時間のロスになると思うのかもしれません。
そして、私自身、自分で教室を始めるまではそういうことを色々な場面でしていたように思います。
ただ、これは普段から心がけていることではありますが、教室を始めて、子ども自身に考えさせる、気づかせるということを何より大事にするようになってからは、たとえ途中で間違っていようとも、その子が答えを書き終わるまでは基本的にそのまま黙って見ています。
すると、中には答えを書く段になって「ん?」という表情をして、もう一度考え直し始める子もいますし、簡単な勘違いであればぱっと気づいて正しい答えを出すこともあります。
それに、気づかず答えを書いてしまったとしても、「ホントにそれで合ってる?」とか「なんかおかしくない?」とか、まずは声をかけるだけに留めます。
待てる限り待ち、考えられる限り考えてもらって、それでも気付かない場合は小出しに手助けをしていきますが、それはあくまでも最後の最後。
また、間違っている場合でも考え方は合っているのに計算の答えが違うような場合であれば、「考えてることは合ってるよ」とか、問題を読み間違えていそうなときには「問題を読み間違えてるんじゃない?」とか、とにかく、その子なりに考えて出した答えであればバッサリ「間違ってるよ」とは、なるべく言わないようにしています。(考えずに適当に書いたような場合はその限りではありませんが…。)
今日のレッスンでもある子が文章題を解いていたのですが、先週似た問題で苦労しての今週。さて、今日はどうかなと様子を見ていると、じっくり考えながら手は動いているのですが、どう見てもどこかに迷いこんでいるようです。
それでも、あくまでも「教える」のではなく、その子に気付いてもらいたいので、その子が計算している式のひとつを指して「これからこれ引いたら何が出てきたの?」と尋ねてみました。すると、やはり勘違いしていたようで、別のものを答えました。そこで「全部からこれとこれを引いたらこれが出てくるの?」と問題を指しながらもう一度尋ねると、なぜか更に違うもうひとつのものを答えたので、再度確認すると、ようやく「あ、緑?」と言ってやっと表情が晴れました。
勘違いで頭がごちゃごちゃになっていたのが、それでスッキリしたようで、そこからはもう一度考え直し、正しい答えを出すことができました。
この場合も、子どもに尋ねるのではなく、「この3つからこの2つを引いてるんだから、残るのはこれでしょ?」とこちらから言ってしまうことはもちろん簡単です。
でも、それをしてしまうと、子どもは自分では気付けなかった、わからなかったという気持ちになってしまうように思うのです。
何度やりとりをしようとも、尋ねることで子ども自身が自分の頭で考える。それはただ教えられたことより遥かにその子の力になっていくと思いますし、自分で気づけた、自分でわかったという気持ちになれることもとても大切なことなのではないかと思うのです。
加減はなかなか難しいものの、これからもしっかり心がけて行きたいと思っています。
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