ふと思ったこと。
私は教室で子ども達に色々な場面でよく「なんで?」と尋ねます。
答えを間違えているときにどう考えてそういう答えになったのかを尋ねるときもありますし、どうやら何かちょっと勘違いしていそうなのでそれに気付かせたいときに尋ねるときもありますが、一番有効だと思うのは、あまりよく考えず何となくこうかなぁと答えを書いていそうなときや、どう見ても考えずに答えを書いて間違っているときなどには、とことん「なんで?攻撃」をします。
今日、レッスン後にある親子さんが勉強の仕方の相談にいらしたのですが、これまで塾などに行ったことがないというお子さんの過去の定期テストなどをざっと拝見し、お話を伺って、私でわかる範囲のアドバイスをさせて頂きました。
その中で、何か具体的にその子自身に考えるということ、本当の意味でわかるということがどういうことなのかを「ああ、こういうことか!」と少しでも感じてもらおうと、まだ習っていない問題を見せて、問いかけをしました。
連立方程式で式が2つないといけないのがなぜか実感してもらうために、問題集にあった問題の1つの式を指して「この式のxとyは何かわかる?」と尋ねてみました。
なるべく単純な式がいいだろうと、その中でも簡単そうな「x+y=13」という式だったのですが、その子は少し考えて足して13になる正の整数2つを答えました。
そこで「なんで?」とひとこと。するとまた少し考えて先ほどとは違う2数を答えたので、「なんでその2つなん?」と更に尋ねました。もう一度やはり正の整数2つを答えたので、「なんで?答えは整数って決まってないよ?小数や分数かもしれへんし、正の数とも限らへんよ?」というと、また少し考えて「たくさんある。」と、気づいてほしいことに気づいてくれました。
また、過去の定期テストで間違えていた空間図形の問題で、なんだか不思議な間違いをしているところがあったので、それも尋ねてみました。
「なんでこれは正じゃなくって、これとこれは正がついてるの?」そこでも、何度も何度もたたみかけるように「なんで?」と、気づくべきことに気づくまで、質問を投げかけ続けました。
恐らくその子はこれまで、少なくとも勉強に関してそんな風にされたことはなかっただろうと思います。
ただ、そうすることで本当の意味で「考える」「理解する」ということがどういうことなのか、少し感じてくれたのではないかとも思います。
そんなことなどもしながらお話を終えて親子さんが帰られた後、片づけをしていてふと思ったのです。
ほとんどの子ども達は勉強していて、こんな風にとことん理由を尋ねられる機会は極めてんだろうなと。
次に、でも、そういえば、小さい頃はほとんどどの子も親や周りの大人に「なんで?」「どうして?」と質問攻めにするような時期があったはずだと気付いたのです。
知りたい、分かりたいという欲求が子どもにはもともと備わっているのだとしたら、勉強に関してはひたすら受け身で、あまり疑問を持つこともなく、何となくやり過ごしている子達が多いのは、興味や好奇心の芽を知らず知らずのうちに周囲の大人が摘んでしまっているのかもしれないなと。
もちろん、小さな子どもの質問攻めの時期は一過性のもののようですから、周囲の大人が最大限の配慮をしたとしても、特に勉強など、そう楽しいものでもない場合はなぜなのか知りたいという欲求は出てきづらいのかもしれません。
それでもやはり、「なんだろうな?」「なんでかな?」と考える機会を意識的に持つこと(大人の側としては持たせるよう働きかけること)はとても大事なことなんだろうなと思います。
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