完全復調
1年生の頃から通ってくれて、この春から中1になった子がいます。
もともと結構じっくり考えることができるタイプの子で、年を重ねるごとに安定感が増し、この分なら中学に行っても心配ないなと思っていたのですが、6年の半ば過ぎから数ヶ月、かつてない大スランプ?に陥りました。
それまでは宿題などもきちんとやってきてくれていたのが、やり忘れやケアレスミスが増え始め、何か環境の変化でもあったのかと尋ねてみてもそんなことはないと言われ、一体なぜこんな状態になってしまったんだろうと、随分心配していました。
そんな不調が続き、忘れ物も頻発するようになり、やはり何かおかしい気はするものの、本人に聞いてもおうちの方に聞いても心当たりがない様子。
であれば、さすがにもう少しきちんとしてくれないと、小学校卒業も近づいてきているんだから…とあるときレッスンの終わりに少しこんこんと思うところを言わせてもらいました。
それを聞きながら、どこか悔しそうにしているようにも見えましたが、目からぽろぽろ涙が。
そして、本当に何があったのか、どうしてなのかわからないのですが、その次の週から再び、スランプに陥る前の彼が戻ってきたのです。
忘れ物もほとんどなくなり、宿題も随分きちんと取り組んできてくれ、更にじっくり考えられるようになり、正答率も格段に回復しました。
その状態が今で数週間続いており、今回のレッスンでも、へぇ~、ほとんど何も説明していないのにそこまで解けるのか!と感心したほど。
あの重苦しかった数ヶ月は一体何だったのか、結局よくわからぬままですが、小学校の締めくくりを気持ちよく済ませ、中学校入学後も好調を維持してくれているようなので、本当に安心しました。
それにしても、その子も含め、小6、中1になるまで通ってくれている子達を見ていると、小さい頃からしっかり理解して積み上げてくると、ここまで説明が要らなくなるんだなというようなことをよく感じます。
ワークブックの解説などにさも公式のように書かれていることなども、わざわざ覚えようとする必要もなく、当たり前のことであったり、考えればすぐわかることであったりということが少なからずあるのです。
例えば今回のレッスンで方程式の「移項」についての説明が出てきたのですが、等号を挟んで右辺から左辺、左辺から右辺へ移行すると符号が逆になるというものも、私自身がそうだったように、最初にそういう説明を受けてしまうと、意味を考えず、機械的に符号を反対にしてしまいがちです。
そうなると、例えば「1+2=3」が「3=1+2」と書いても正しいということに思いが及ばず、この例でいえば左辺にある1+2を右辺に、右辺にある3を左辺に動かすということで、わざわざ「-1-2=-3」としているような(もちろん、ただの数字ではなく文字を含んでいる方程式などでの話ですが。)ことをしている子も見受けられるのです。
ですが、式の意味を考えれば「移項するから符号が変わる」という機械的なインプットをしなくても、そうなるのが当然であり、何をわざわざ?というようなことでもあるわけです。
そんな場面に出合うたび、小さい頃にどんな学びをするかは本当に重要なのだなと、何度も再認識します。
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