今日のレッスンで少しショックを受けた出来事がありました。
といっても、恐らく、学校や塾などではそういう場面に出くわすことは珍しいことではないような気もするのですが、でもやっぱり、少し考えるだけで、それがいかにおかしなことなのか納得してもらえるような気もするのです。
もちろん、いつも書いているように、みんなそれぞれ得意不得意はありますし、能力差もありますから、どの子も算数ができるということはないわけですし、数量感覚についても生まれつき優れている子もいれば、そういう感覚があまり感じられない子もいますので、一概には言えないということはわかっています。
ただ、それでもやっぱりそういう場面に出くわすとなんだか少し悲しく、なんで考えないんだろう?と腹立たしくさえ感じてしまうことがあります…。(腹を立たしく感じるのは私の修行が足りないからなんですけど…。)
前置きが長くなりましたが、今日のレッスンで春から来てくれている高学年の子がやってきた宿題の確認をしていたときのことでした。
今回の宿題の中に三角形の面積の問題があったのですが、最初は方眼紙の中に3つの三角形が描かれていて、図を見てそれぞれの面積を求めるというものでした。
ワークブックの幅の方眼紙ですから、そんな大きな面積のものが描けるわけでもなく、また、3つ並んでいるものの面積が極端に大きい小さいになっているわけでもありません。
なのに、両端の三角形の面積は20平方センチメートルに満たない答えを書いているにも関わらず、真ん中の三角形の面積だけ「175㎠」と桁の違う答えが描かれていました。
これについては単に小数点の打ち忘れというだけではなかったのですが、1センチ角の正方形の面積が1㎠だという意識があれば、どう考えても真ん中の三角形の面積がその正方形175個分の面積であるはずがないわけです。
それも、ぽつんと1問だけその問題があったわけではなく、1問目と3問目は正解しているのに、2問目だけ極端に大きな数の答えを何の違和感も感じずに書いているわけです。
更に同じような桁が違う答えは何問かあったのですが、そのページの最後の問題で、ちゃんと平行四辺形の図が与えられており、辺の長さや高さも何ヶ所か書き込まれた図を見ながら解く問題がありました。
まずは与えられているうちに必要な部分の長さを使って面積を求める問題があり、それは560㎠と正解していました。
次の問題は今面積を求めるのには使わなかったほうの辺を底辺とした場合の高さを求める問題で、正解は22.4cmとなるものでした。
そもそも、図に書き込まれている長さはどれも20~30cmの範囲で、求める長さも図を見てもそれらと同じような長さだということはほんの少しでも意識があればすぐわかることです。
しかし、そこに書かれていた答えは「101.5cm」だったのです。
もちろん、ワークブックの図に書かれた長さはほとんどの場合実寸ではなく縮尺がかかっていますが、図のバランスからみて、その辺がほかの辺や高さの5倍近い長さがあるはずはないのですから、その答えが出たときに、なぜ「あれ?なんか変?」と感じないのかと思ってしまうのです。
教室の子ども達の中には、こちらが何も言わなくても、出た答えを見て「あれ?」という表情をして解き直しをする子達もいます。
そうでなくても、明らかにおかしな答えを書いた子に「そこほんまにそんなに長い?」とか「それ、そんなに広い?」とか何らかの声かけをすると、気づいて直してくれる場合がほとんどです。
ただ、やり方を教えられて、真面目にコツコツその通りにやるという勉強を繰り返してきた子の中には、数量感覚がほとんど伴っていなかったり、よほど意識をさせるよう仕向けなければ、ただの数字の操作でしかなく、おおよその答えの見当がつかないような子もいます。
私は主に算数を一緒に学んでいるだけではありますが、何もかもやり方を教わってその通りにやるのが当たり前になってしまったら、ウソや間違いを教えられてもその通りにやろうとするでしょうし、指示がなければ何もできなくなってしまう場合もあるでしょう。(実際、大量に機械的に反復するという方法で勉強してきた子達の中には、計算以外ほぼ全くできなくなってしまっている子達が少なからずいるわけですから…。)
算数に限ったことであればまだいいかもしれませんが、もしそれが普段の生活にも影響するようになったらと思うと、やはり自らの頭でしっかり考えてほしいと思わずにはいられません。
今日のレッスンの子とはまだ5ヶ月ほどのお付き合いなので、まだ変わってくれるはずだと思い、毎回働きかけ続けていますが、今回もその「あり得ない答え」のところを本人に見せて、「ここがそんなに長いの?」とか「この三角形はこの10倍ぐらい大きいの?」とか声をかけて考え直してもらうようにしました。
とても真面目な子なのですが、これまでそんな風につっこまれた経験はないようで、何か指摘するたび「あ、そうか」とか「あ、なんか変」とか言ってはくれます。
小学生の間に自ら考えて気づけるようになってもらえるよう、根気強く働きかけていきたいと思います。
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