今日、ある保護者の方とお話をしていて、改めて私自身色々考えたことがあります。
私は中学受験を経験していませんし、子ども達と一緒に勉強するようになってからはもう結構な年月が過ぎましたが、中学受験指導というものにはほとんど関わることなくこれまで来ました。
それでも、ここ数年は中学受験の算数の問題に触れる機会があったり、中堅校を目指すということで、理科や社会はおうちで取り組むのでということで一緒に勉強させてもらったお子さんがいたり、また、小3か小4まで通ってくれてその後受験塾に移っていった子の保護者の方などかがお話を伺うことがあったりもして、色々考えることはありました。
そして、今日お話をしていたときに自分でも改めて、ああ、そう考えるとわかりやすいよなと思ったことがありました。
教室に通ってくれている子達には公式などは本当に必要最低限しか教えませんし、教えるときも先にどう考えたら解けるかを考えてもらい、もし公式を忘れても解く手立てがあるというようにした上で、いずれ学校で習うであろう公式はこういうものなのだという感じで提示します。
考えて解くことに慣れた子達は機械的な暗記はあまりしたがらない子が多い印象で、例えば、中学生になっても通ってくれている子達などでは二次方程式の解の公式すら、覚えずに解こうとする子もいます。
といっても、その方法がやたらと時間がかかるわけではなく、もともとどうやってその公式が導き出されたかを考えれば、覚えなくても解けて不思議はないはずです。
で、全ての大手受験塾がそうだとは言いませんが、多くの受験塾では、要するに解の公式のような、もしくは公式とは呼べないようなものも含めて、何十個もの公式やパターンを暗記させ、当てはめれば解けるという状態にするのだと思います。
例えば、解の公式をきちんと覚えれば、二次方程式なら因数分解ができなかろうが、平方完成ができなかろうが、問題を解くことは可能です。
二次方程式の解を求めなさいと言われれば機械的に解の公式に当てはめればとりあえず答えは出てきます。
ただ、そういう公式が何十個もある場合、まずはその何十個もの公式を正確に記憶できる能力と、どの問題にどの公式を使えばよいかを問題を読んで正しく判断する能力が要求されるわけです。
正確に記憶して使いこなすには、よほど記憶力のよい子でなければ、それなりの反復を必要としますし、それも、機械的な暗記だと定着度も低くなりますから、尚更反復の回数を重ねる必要があるのだろうと思います。
また、そんなことが難なくできる子どもであれば、公式やパターンを大量に覚えるまでもなく、考えて問題が解けてしまうのではないかという気もします。(もちろん、一般的にはということで、子どもの能力や特性はそれぞれ違いますから当てはまらない子もいると思いますが。)
その対極にあるのが公式などは必要最低限しか覚えず、それぞれの問題を手を動かして図を描いてみたりしながら考えて自ら解法を導くという方法だろうと思います。
これは時には解くのに相当時間がかかったり、いくら考えても見当がつかないという場合もありますし、効率を考えれば見ている大人は心配になるだろうとも思います。
また、この場合も最終的に時間内にある程度の量の問題を解けるようにならねばなりませんから、早いうちからむずかしめの問題にじっくり取り組む経験を重ねる必要などがあるかもしれません。
私個人の考えでは、長い目で見れば絶対に後者の学習の仕方の方が本人のためになると思うのですが、こう考えると、前者の方法に向いている子も世の中にはいるのかもしれないなと。
その方法で算数の力や考える力がつくかどうかはわかりませんが、受験という目的のために、算数があまり得意ではない子などの場合はそちらの方法で貫くというのもひとつの選択肢ではあるのだろうなと。
ただ、前者の方法は大量の公式やパターンを正確に暗記し、更にそれを正確に使い分ける能力が要求されるということを考えた上で、その子にはどちらの方が向いているのか、どちらの方がよい結果に結びつくのかを判断する必要があるのではないかなと、そんなことを思いました。
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