通ってくれるようになってまだ2ヶ月足らずの新人5年生さんとのレッスンでのこと。
塾などに行っている場合は、特に算数は、やり方を教わってその通りに解くということが身についてしまって、自分の頭で考えようとしない状態になってしまっている子が少なからずいるのですが、高学年になるまで塾などに行っていなかったという場合も、真面目な子であればあるほど、学校で先生が説明するやり方を覚えて・・・と、場合によってはやはり自分で考える習慣のない状態になってしまっていることがあります。
新人さんもこれまで塾などには通っておらず、更に真面目な子なのですが、いざ4年生の復習をやらせてみると、色んなところが曖昧。また、例えば、四捨五入というのはどういうことをしているのか尋ねると、「4までは切り捨てて、5からは切り上げるということです」と真面目に答えてはくれるものの、なぜそうするのか、それは何のためにしているのかは考えたことがなかった様子。
子ども達の多くは、考えようとしないのではなく、やり方を教わってしまってその通りにやれば解けてしまったとなると、よほど算数に興味があるとか、何でもちゃんと理解しないと気がすまないとか、そういう性格でない限り、それ以上つっこんで考えるということはなかなかしないというだけなのだとは思います。
だからこそ、初めにどう提示するかはとても大事になってくるのだと思うのですが。
ちょっと話が逸れましたが、この新人さんもこれまでそういう感じで算数を勉強してきたんだろうと思うのですが、そうなると、いかに頭を使わせるかが私の仕事になるわけで、慣れるまで、子どもにとってはきつい、辛い時間となることもあります。
実際、ここ2週ほど小数の掛け算などをしていたのですが、点の付け位置が最初のうち全くイメージできない様子。(どのぐらいの数になるかがわかっていないというか、考えていないというか・・・。)
それをちくちく、ねちねちと、「なんで1より小さい数掛けてるのにそんなに大きくなるの?」だの、小数点のない掛け算の答えを出してもらった後、「この答えがこれなのに、なんで小数点がこことここにあるのにそんな答えになるの?」と、とにかく「なんで?」「どうして?」で困らせていました。
そして、今回も小数倍などの問題ですぐわかりそうなところをあり得ないようなことを言ったりしていたので、まだ数量感覚が身につくようなところまでは時間がかかりそうなのかもなと思いながら見ていました。
とにかく初めの何ヶ月かは待てる限り待ち、考えようとしない限り助けもせず、どれだけ進まなかろうがやり方を言ってしまうなんてこともせず・・・というのが高学年で来てくれた子達に対する一般的な対応なのですが、それをしていくうちに個人差はあれ、ほとんどの子たちが「考える」ということがどういうことなのか、なんとなく感じ取ってくれるように思うのです。
そうなってしまえば後はかなり楽になるので、まずは根競べ。
そうして、今回のレッスンが終盤に差し掛かった頃、「家から駅までの道のりは4.5キロで、家から学校までの道のりは家から駅までの道のりの0.4倍」という問題が出てきました。
様子を見ていると、とりあえず掛け算はしているようでしたが、答えの欄に「18」と書きかけたとき、小さな声で「あれ?」というのが聞こえて、もう一度計算した紙を見直し、私が何も言わなかったのに「1.8」に書き直しました。
とても小さなことかもしれませんが、その瞬間が私にはとてもとても嬉しかったのです。
私が何も言っていないのに、それも、45×4の答えである180から小数点1個分は動いているわけですから、小数点に意識が全くなかったわけでもありません。
でも、それを答えに書きかけたとき、何か違和感を感じたからこそ、自然と「あれ?」という声が漏れたのだと思うのです。
1より小さい数を掛けているから4.5より小さくなるはずなのにということだったのか、家から学校までがそんなに遠いのは変だなと思ったのか、そのあたりはわかりませんが、いずれにせよ、その子自身が何かおかしいと気付いたことがとても嬉しい変化だなと。
これは思ったより早いうちに大きく伸び始める可能性もありそうです。
新年度早々楽しみがまた増えました。
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