「10の倍数について、どんなふうに指導しておられますか?」というお尋ねを頂きました。
お尋ね頂いた内容はもう少し詳しく書いてくださっていて、10の倍数というか、×10、×100などをすると、0が1つ、2つと増えていくということについて、どんな指導をするのかというお尋ねのようです。
もしかしたら他の方にも参考にして頂けることがあるかもしれませんので、ブログに書かせて頂くことにしました。
まずは、小さい頃から教室に来てくれている子達は10が5本で50、10が10本で100、10が25本で250・・・などという学習をそれまでにしてきていますので、例えばですが、「25×10」は「10×25」と答えが同じになるので、そのことを確認した上で「10が25本でいくつ?」と尋ねれば、250と分かる子は少なからずいます。
ただ、「149×10」などになってくると、10が149個というのは、ある程度数量感覚の優れた子、数への興味が強い子などでないと、なかなか考えづらそうな子も少なからずいて、10が10本で100、20本なら200、・・・10が100本なら1000と、苦労しながら順々に考えていくこともあります。
実際のところ、ドットを100以上頭で思い浮かべるのは大抵の子にとって難しいことでしょうし、数量感覚に優れている子達も500や1000という数が具体的に見えているというわけではないだろうと思います。
そういう繰り上がりの感覚がなんとなくわかっているような子は×10や×100は特に何の指導もしなくても、子ども自身が気づいて解いていくような印象があります。
ですが、ご質問を頂いた方は、感覚的にはぴんと来ないような場合にどうしているかをお尋ねなのだと思いますので、ちょっと考えてみました。
うちの教室では、完全にひとりひとりの子の反応を見ながらの個別対応なので、一律こういう指導をしていますというのはないのですが、×10や×100について、感覚的にピンとこない子でも気づけるのではと思う学習があります。
まず、×10であれば、10倍したい数を10段重ねの筆算の形に書きます。
(例)
38
38
38
38
38
38
38
38
38
+ 38
そして、この問題を考えてもらいます。
苦手な子であれば、8を10回足すにも2つずつとか、苦労しながら足すこともあるかもしれませんが、それは様子を見ながら、必要であれば「8が10回って何か計算なかった?」などと声をかけると、「8×10」に気づくかもしれませんし、いつまでも気づかないようであれば少し助けてあげてもいいかと思います。
8が10回で80ですから、まず一の位には「0」を書き、繰り上がった「8」を十の位の上に書きます。
そして、その8は後回しで3が10回を考えてもらい、合わせて「38」になりますから、百の位に3、十の位に8を書くことになります。
同様に数字を変えて何問か解いてもらった後、問題と答えを見比べてもらって、何か気付くことはないか尋ねます。何問ぐらいで気づくかもやはり個人差だと思いますので、ぴんと来ないようであればもう少し問題をやってみてもいいかと思いますし、どうにも気づかない場合は、それぞれの式について、上の例であれば、「これは掛け算の式だったら38×10になるね。」などと確認をしてから、「38×10=380」のように、何問か解いた筆算を掛け算の式に書き直し、答えも書き写すようにすれば、その作業の段階で何か気づくということもあるかもしれません。
そんな感じで、3ケタであっても「×10」については、数を10段重ねすれば考えられると思います。
ただ、×100になると、100段重ねにすれば、多分喜ぶ子もいるかとは思いますが、大きな紙もいりますし、書くのも大変、考えるのも大変ですから、10回集めたものを更に10回集めるという方法の方がいいかなと思います。
先ほど「38×10=380」になっていますから、「38×100」は380を更に10回集めることになるのだということを確認し(ピンとこない場合は、面倒な作業かもしれませんが、38を100回紙に書かせて、10個ずつ丸で囲み、それぞれに「380」と書いていくなどすれば、ある程度は理解できるのではと思います。)、380を10段重ねにして同様の筆算をすれば、「3800」という答えが出てきます。
後は同じように何問か繰り返せば、100倍すれば0が2つ増えたということに気づけるのではないかと思います。
10倍で0が1個、100倍で0が2個ということに気づけば、あとは1000倍、10000倍になっても、多くの子はどうすればいいか気づくのではないかと思います。
もちろん、これはあくまでも一般的な話ですので、算数が苦手な子でもみんなこの方法で絶対気づくというようなものではないと思いますが、「10倍したら0が1つつくのよ」というような、子ども自身が気づくのではない一方的な指導は最後の最後でいいかなと。
何かご参考になれば幸いです。
最近のコメント