レッスンをしていて、どう手をつけたらいいかわからない様子の子や全く勘違いしてしまっている子などに、どうやって気づいてもらうか、どうやって理解させるかということを常にあれこれ考えます。
やり方を教えるのはもちろんとても簡単なことですが、教えられたことは印象に残りづらく、もちろん、何度も何度も反復させて覚えるまでやらせるという方法もあるわけですが、うちではその方法を取りたくないので、少しでも印象付ける方法、本人に気付かせる方法というのを、その場その場で考えます。
子どもの反応はやはりそれぞれ違いますので、苦手な子が多いところというのはあっても、みんな同じところで行き詰るということは絶対ありません。ですから、事前に準備するにもどうしても限界があるのです。
今日、中1の子がある作図の問題で行き詰っていました。
その問題は先週もわからず、もう一度考えてきてもらったのですが、それでも違う作図をしていたもので、やらねばならないことは三角形のひとつの角の二等分線がその角の対辺と交わる点を見つけるということなのですが、2つの辺から等しい距離にあるというところがイメージできないようで、それぞれの辺の垂直二等分線を作図し、その交点から大変に向かって垂線を下ろすということをしていました。
そこで、本当にそれが正しいのか、まずそれぞれの辺からの長さを測って見せました。
すると長さが違っていたので、それが間違っていることは理解したようです。
それでも何をすればいいのか気づかない様子なので、まずは目で見た感じでその2辺から等しい距離にありそうな点を1つ取ってもらったのですが、それでも気づきません。
三角形というのが完全に思考の邪魔になっているようでしたので、別の紙に平行ではない線を2本書き、この2本の線から等しい距離にありそうな点を3つ取ってみてもらいました。
次に、その点をつなぐとどんな線になりそうか線を引いてもらい、更に、引いた線が2つの線から等しい距離にあるかどうか簡単に確かめる方法があるけど、わかる?と尋ねてみました。
すると、少し考えて「折ったらいい」と言ったので、やってみてもらい、折ったら2本の線がどうなっていればいいのか確認しました。
「2本の線が重なったらいい」と答えられたので、折った紙を広げ、「この線はどうやったら作図できるのか考えて」と言って、しばらく待ちました。
すると1回目はまだ少し間違ったので、更に少しだけ言葉をかけはしましたが、ようやく正しく作図することができました。
もちろん、その子は既に垂線、垂直二等分線、角の二等分線、円の接線の作図の仕方は学習した後でしたので、そのどれを使えばよいかを選択すればよいだけだったのですが、選択を何度も間違えていたわけです。
その子に対して、これは角の二等分線でしょ?と言ってしまえば、すぐに答えに辿り着くことはできますが、自分で判断できなければ本当の力にはなりません。
ほんの1回やっただけで忘れずに頭に残るということはさすがに無理だと思いますが、あれこれ頭を悩ませ、2つの直線を眺め、同じ距離にありそうな点を取り、更にそこから折り目を付け…と回りくどい方法で答えに辿り着いたことで多少は記憶に残りやすくなり、何かのきっかけで思い出せる可能性も高まるのではないかと思うのです。
これはひとりの子に対してのひとつの方法でしかありませんが、手っ取り早い方法ではなく、回りくどく見えてもなるべく本人があれこれ考えて気付く方法をこれからも探していきたいと思います。
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