ちょっと驚いた。
今日、小学校入学の少し前から来てくれ始めた子とレッスンをしていたときのこと。
うちの子達の中には例年、私は何にも怒っていないのに、問題が少し難しいと感じると泣いてしまう子達が少なからずいて、成長するに伴ってなのかなんなのか、月日の経過とともに泣く頻度が下がっていく、もしくは、全く泣かなくなるという感じなのですが、今日のその子も今のところ、ほんの少し難しいと耐えられなくて泣いてしまうタイプの子で、ここひと月ほどで少~し我慢できるようになってきたのかな?という感じです。
鏡に映ったらどう見えるかを選ぶ問題のプリントを見せ、わかるかどうか尋ねてみました。(既にそういうものに出会っている子もいたり、経験でなんとなくわかる子がいたりということがあるので、まず尋ねてみて、わからないようなら鏡を見せたりするのですが。)
すると、首をかしげて悲しそうな表情に。
(うわ、これはもう危険?)と思ったものの、泣かれるのが嫌だからヒントを出すとか、手助けしまくるというのは、結果的にその子の役に立たないことだと思うので、泣かれるのは嫌だけど、そこでぐっと耐えて、「右手を挙げて鏡を覗いたら、鏡の中のあなたはどっちの手を挙げて映るかわかる?」と尋ねてみました。
しかし、やはりわからないようで、ますます悲しい顔に。
経験がない子に鏡では左右反対に映るんだと言葉で説明したところで、それは「実感」ではありません。
そもそも、本来ならその子も、鏡はこれまでに何度も、きっと数え切れないほど見たことがあるはずです。でも、意識したことがなかったということなのでしょう。
どうしようかなと思いましたが、急ぐ課題でもなかったので、一旦は「おうちで鏡を見たり、色々映したりして確かめてきてね」と言ってそのプリントを引き揚げました。
その後、ほかのプリントを教具を使ったりしながらやり進めたのですが、今日はかなり順調に進み、そろそろ頭もくたびれてきた様子だったので、試しにもう一度鏡の問題に戻ってみることにしました。
教室には普段は布をかけていますが、一応姿見があります。
ですので、まずプリントの中の1問、男の子の絵が描かれているものを指し、その子と同じ手を挙げてもらいました。
その後、鏡を覗いてもらい、鏡の中の子がどう映っているか、プリントの絵と見比べてもらいました。
たった一度、それをしただけだというのに、一気に何かがつながったのでしょう。
それ以上なんの説明も必要なく、次々と問題を解いていきました。
1問、向きはどちらも正しいけれど、耳の模様の位置が左右逆でどちらを選ぶかもうひと段階注意が必要な問題に引っかかったのですが、「これもこれも同じほう向いてるよ?」と言ったところ、普段のその子だと、それだけで悲しい表情になったりすることもあるのに、そのときはしっかりした表情のまま問題を見つめ、「わかった。こっちは耳のここがこっちになってるからちがう。」とはっきり理由まで言って正解を選びました。
レッスンの初めには見ても意味がわからず泣きそうになっていた子が、たった一度鏡を覗いて、1問だけ確認しただけで、後は全部スラスラ解いていってしまったことに、さすがにちょっとびっくりしました。
そして、言葉ではなく、実感としてつかみ取ることの重要性とその力のすごさを改めて感じました。
じわじわ成長が見られるその子が大きく伸びる日は近いかもしれません。
| 固定リンク
コメント