何度も言うように、私は普段ほぼ全くテレビを見ないので、ニュースなどの情報は主にネットと新聞(まあ、最近は新聞の1面のニュースなどは全て先にネットで見てしまいますが…)で、テレビなどでどれほど今回の事件が取り上げられていたのか、どんな風に取り上げられていたのかはわかりません。
ツイッターで茂木先生がかなりお怒りになっておられましたが、ツイッターやネット上での色々な書きこみを見ていても、意見は様々でした。
当初、単独犯なのか、受験合格が目的なのか、色々わからないことがあり、そのせいもあって尚更事件が大きく取り上げられてしまったのかなと思います。
なんというか、例えばですが、怖いということが明白な人とこの人は何を考えているかわからない、一体何をしでかすだろう…と理解できない人がいた場合、より恐怖心が増すのは後者という場合があるように、「つかみどころがない」、「得体が知れない」、そういう、定義付けができない不確かなものに対して、人はしばしば過剰反応をしてしまうのかもしれません。
今回の事件も、もし仮に事件発覚直後に、逮捕された予備校生が自分がやったと名乗り出ていたとしたら、ここまで大きな騒ぎにはならなかったかもしれません。
試験会場で監督官の目をかいくぐって、単独でそんなことをするのは不可能ではないかという見解があり、また、そんなことをやってのける割には掲示板に質問をそのまま残しっぱなしにしている片手落ちなところから、愉快犯や何か別の目的があるのでは?と、どんどん憶測が広がっていってしまったのではないかと。
もちろん、カンニングは許されることではありませんし、カンニングしたとわかれば大学に不合格になるのは当然のことでしょう。
でも、もうこれでおしまいでいいのではないでしょうか?
本当に彼の供述通り単独でやったことなのであれば、彼が受験し、掲示板に質問を載せた全ての大学で不合格にされてしまうのはやむを得ないでしょう。
でも、既に合格発表を済ませている大学は、彼一人不合格にして、必要であればだれか一人を繰り上げで合格にすればいいだけでしょうし、これから合格発表する大学は同じ日に受験した他の受験生の合否には何の影響も出ないのではないかと。
未成年の子の単独でやったことと最初からわかっていたら、ここまでの扱いにはならなかったのではないかと思います。
わからなかったから、それをつきとめるため、被害届を出したのだとして(特に、これから合否の判断をしなければならない京大は、早急に事態の全容を解明したかったでしょうし)、もうわかったのだから、これ以上追いつめる必要はないですよね?
今回のことで私がもう一つ思うのは、あんな方法でカンニングまでして彼が京大に合格したかったのはなぜなんだろうなということ。
カンニングという方法は絶対に間違っているとして、もし、京大に入って誰か尊敬する先生のもとで学びたいとか、どうしても京大でやりたいことがあるとか、本当にそういう気持ちがあったのであれば、カンニングしてどうにか合格できればいいやという発想になっただろうかと。
もちろん、事情は全くわかりませんから、想像でしかないわけですが「有名な、偏差値の高い大学に入りたい」という思いで今回のような行動に至ってしまったのかもしれないなと。
そして、もし仮にそうだとしたら、彼だけに限らず、多くの学生達がそんな考えを持ってしまう今の日本の社会や大学のシステムにも、少なからず問題があるのではないかなと。
私はもともと、教員免許を取るという目的で大学に進むことを決めたので、教育学部以外受ける気がありませんでしたし、教員免許を取ろうと思わなければ大学には行っていなかったかもしれません。(多分、服飾専門学校に行っていたんじゃないかと。)
でも、進学した大学の学部には全く教員になるつもりのない学生がたくさんいました。むしろ、そんな学生の方が多かったように思います。
極端な例では、うちの大学の中ではその頃、幼児教育は比較的偏差値が低かったようで、全く幼稚園の先生を目指しているわけではない男子学生が数人、その科に入学していました。
彼らはどの学部、どの学科であっても、大学の名前がほしかったそうです。
その頃の私には理解できないことでしたが、彼らがそんな選択をしたのには、企業などが大学名で学生を選別する事実があったからに他ならず、少しでも就職に有利になるようにと考えたのでしょう。
実際、私が学生だった頃、就職活動などではまず偏差値の高い学校から採用が決まっていき、偏差値の低い学校の学生が問い合わせをしても「まだ採用は始まっていません」などと言われ、蓋を開けたらもう全て終わっていたなんてこともあったようです。
そして、そういうことは今も程度の差はあれ、残っているのでしょう。
今回の事件で、大学が入試というものをもう一度真剣に見つめ直してくださるきっかけになったり、企業の採用担当の方たちが何か感じてくださればなと、そんなことを思ったりします。まあ、それはなかなか難しいんでしょうけど…。
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