ご縁あって、新たに5年生の女の子と一緒に勉強することになりました。
お知り合いのご紹介だろうと、たとえご兄弟だろうと、基本的に皆さん一度は体験レッスンを受けて頂いた上で判断して頂くようにしているので、その体験レッスンのときのこと。
おうちの方のお話では、これまで塾に通っていたものの、どうも「感覚」が乏しいように思うということでしたので、5年生の既習内容のうち、苦手な子が多いようなところを中心に、どんな状態なのか見せて頂くことにしました。
見ていると、単純計算に関しては結構スピードも速く、うっかり間違うことはあるものの、小数の計算でも割とできている様子です。
しかし、まずひとつ目に明らかに間違えたのが、28メートルは40メートルの何倍かを求める問題。
なぜかわかりませんが、掛け算をしようとしています。(恐らく「倍」という言葉に引っ張られたのだろうと思いますが。)
そこで、「じゃあ、もし、80メートルは40メートルの何倍ですか?だったら?」と尋ねると「2倍」と答えます。
「じゃあ、それ、どうやったら2倍って出るん?」と尋ねると、少し考えて「80÷40」と答えたので、その後は何も言わずに解いてもらいました。
ただ、少し気になったので、「そもそも、長さと長さ掛けたら面積が出てくるやん?」と声をかけました。
私としては、「ああ、そうか!」という反応が返ってくると思っていたのですが、むしろ「この人何言ってるんだろう?」というような表情が返ってきてしまいました…。
そして、更に進んでいき、50までの中にある倍数の数を求める問題になったとき、倍数を書き出しながら彼女が言いました。
「これ、簡単なやり方ってないですか?」
多分、それは既に塾でも学校でも習ったことなのではないかと思います。
その結果、「簡単なやり方」を聞いてくる。それは彼女が悪いわけではなく、教えられた通りにやる勉強を続けていると、自然とそうなってしまうのだろうと思います。
もちろん、割り算を使えばすぐに出せるわけですが、既に習ったはずのことが不確かなわけですから、それを私がその場で教えてもまた忘れる可能性が高いでしょう。
「(簡単なやり方は)ない。まあ、考えて。」
そう答えると、側にいた上級生が「俺も最初、そうやって考えさせられた。」と言いました。
彼女が面白かったのは、2の倍数と5の倍数は「50÷2=25 25個」、「50÷5=10 10個」と出したのに、3の倍数や6の倍数になると止まっているのです。
まあ、そもそも、書き出したら答えはわかるのですから、止まること自体がある意味不自然なのですが、少し様子を見てから尋ねてみました。
「2の倍数や5の倍数は割り算したのに、他はできへんの?」
すると、私にとっては予想外の答えが。
「2や5は割り切れるから。」
へ?割り切れないときは倍数の数が割り算では求められないの?!と内心驚きつつ、「割り切れへんかったらあかんの?」とだけ尋ねてみました。
すると、「50÷3は16.66って続く。」というものの、そこからどうすればいいのかわかっていない様子。
「じゃあ書いてみたらいいやん。あってもせいぜい20個ぐらいでしょう?」と言って倍数を書き出してもらい、数を確かめてもらいました。当然倍数の数は16個。
その後、なぜ割ったら倍数の数が求められるのかについて少し話をしましたが、彼女の反応は「へぇ~、そうなのか」という感じで、初めてそれを知ったという様子でした。
公倍数や公約数の利用は一層怪しさを増していたのですが、予定時間を過ぎていたのでひとまず終了しました。
一斉指導で、自分の頭で考えて導き出すという学びではなく、まずやり方を教えられて始まる勉強は、往々にして今回の彼女のような状態になるもののようです。
むしろ、彼女はまだ程度が軽いようにも感じました。
どのぐらいで彼女に変化が見え始めるか、今はそれが楽しみです。
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