幼児の頃からうちに来てくれていて、もともと積極的にお勉強をする幼稚園に行っておられたことや、ある時期以降そろばんも始められたことなどで、計算に関しては恐ろしくよくできる2年生の子がいます。
私はそろばんを習ったことがないのではっきりとはわからないのですが、学年から考えると、相当先の級まで進んでいるようで、掛け算や割り算の2ケタや3ケタのものでも、指を動かしながら解いてしまうほど。
本当にすごいのですが、ただ、ちょっと心配なことも…。
計算はすごくできるものの、文章題などでじっくり考えてほしいものなどを粘り強く考えることがやや苦手。
そろばんが進み過ぎた(おまけに結構な時間やっていたようなので)弊害のような気もして、少し前に、どちらかにしぼられてはとおうちの方にお話しさせて頂きました。
その後、一応あるところまで進んだらあちらをお休みするか回数をうんと減らすかすると言ってくださったので、当分は様子を見ることにさせて頂きました。
以前よりは考えてくれるようになってきたかなと感じていたところ、□を使って考える問題が出てきました。
基本的な問題は「簡単や~」と言いながらすらすらと解いていっていたのですが、□を使うと言っても、一筋縄ではいかないものになると途端に急ブレーキ。
図を描こうともせず、あれこれ式を書いては消しを繰り返している状態になってしまいました。
学年を考えると、かなりすごいペースで進んでいる子ですので、この2、3回ペースががたんと落ちたとしても、進度的には全く問題ありません。
それに、何より、計算だけがどれだけできても、そういう問題をじっくり考えられないのであれば、先々どんどんつらくなっていくのはほぼ確実です。
ですので、本当に最低限の手助けしかしないで、延々その問題とにらめっこさせていました。
かなりの時間が経っても正解にたどり着けなかったので、一旦保留にして他の問題を渡し、次の回にもまた考えてもらいました。
それでもどうしても気付かないようです。2回目もしばらく考えてもらった後で保留にし、他の問題を少し先に進めました。
そして、その問題のプリントを渡された3回目。さすがに本人も「うわぁ、またこれや!」と言ってかなり嫌そうな表情をしました。
でも、とりあえず私が1つだけ□を描いて、「弟が□やったら、お兄ちゃんはどうなるん?」とだけ声をかけ、後は反応を待ちつつ他の子たちを見ていました。
しばらくして、3週間ぶりに明るい声がしました。
「あ、なんかわかったぞ!?」
そう言ったかと思うと、プリントの1問目をしっかり正解。そして、2問目はその日初めて手をつけたのですが、あっという間に正解。
そして、3問目は更に応用で、最初少しひっかかりそうになったものの、結局さほど苦戦することなく正解にたどり着きました。
その勢いは驚くものでした。
2週に渡って全く気付けず、どんよりしていたその子の顔が、明らかに明るく生き生きしていました。
その瞬間に立ち会えて、私は本当に幸せだなぁと思いました。
余談ですが、子どもたちを見ていて、へぇ~、そんな風に考えるんだなぁと思うことが時々あります。
そのひとつが、今回のその子とのやりとりの中にもありました。
お兄ちゃんと弟の所持金の差が1700円あり、弟の所持金を□として考えるというような問題だったのですが(線分図を使う方が一般的な気がしますが…)、弟の所持金として私がプリントに□をひとつ描き、これが弟ならお兄ちゃんはどれだけなのか尋ねました。
私の発想としては、□と別に1700円と描くものだと思っていたのですが、その子は少し考えて、「う~ん、このぐらい?」と私が描いた□の1.5倍ぐらいのサイズの□を描きました。
ああ、そうか~。そうだなぁ~。1700円多いから、そっちの□の方が大きいんだな~。
なんかしみじみ、子どもって素敵だなぁと思いました。
まあ、結局それが糸口になり、「なんでそっちの方が大きいん?」と尋ねたことでその子は考え方に気づいたようなんですけどね。
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