私が勝手に「ダイエット問題」と呼んでいる問題があります。
きっと受験算数などの特殊算では、何かちゃんと呼び名があるんだろうと思うのですが、植木算、鶴亀算、旅人残、流水算、方陣算ぐらいはどういうものを指しているのかわかるものの、かなり色々あるようですから、それ以上あまり覚える必要もなかったため、そういう特殊残の分類に詳しい子に言われても、へぇ、これはそういう区分なんだ~と思うことも珍しくありません。
で、「ダイエット問題」というのは、例えばこういう問題。
「太郎くんと弟の2人がいっしょに体重計に乗ったら52kg800gでした。太郎くんは弟より4kg500g重いとすると、弟の体重はどれだけですか?」
きっと、もっと単純な「2人で45kg、太郎くんが5kg重い」とかなら、迷わず解ける場合も増えるのだと思いますが、メインで使っている教材ではなんとなく解けてしまうような数ではなく、結構面倒だったり、難しかったりするように作られており、子ども達の多くがしばしばこの類の問題で考え込みます。
考え込まずにスラスラ解いているなと思うと、そういう子のうち、「52kg800g÷2」をして、そこから4kg500gを引いて答えとしているような場合も少なからずあります。
間違えてそう解いている子には、弟がその体重だと太郎くんがどれだけになるか確かめてもらい、それではおかしいことに気付いてもらって再度考えてもらうことになります。
また、52kg800gから4kg500gを引いただけで答えにしている子も時々います。
そんな子には、「それだったら太郎くんの体重4kg500gしかないやん?赤ちゃんじゃないんやから…」みたいなツッコミを入れます。
大人であれば簡単なことでしょうし、テクニックとしてこういう問題は差を引いてから割ればいいと知っている子にとっても答えを出すことは難しくはないでしょう。
ですが、テクニックを知らない教室の子達の多くが、初めてこういう問題に出会うとかなりの割合で苦戦します。
そこで、2人が体重計に乗っている絵を描いて、そこに与えられている情報を書き込んでもらうと、その辺りでピンと来る子もいるのですが、それでもまだピンと来ない子には「ヒントは『ダイエット』」と声をかけ、様子を見て、必要であれば、「太郎くんが弟と同じ体重になるまでダイエットしたら2人でどれだけになるの?」というような感じで尋ねます。
まあ、この辺りまで来ると、よほどのことがない限りほとんどの子がどうすればいいか気付いて解けるようになるのですが、先日のこと、どう言ってもピンとこないらしい子がいて、やり方を教えるのは最後の最後にしたかったこともあり、一度預かり、様子を見て次のときにまた考えてもらい…とそれを何度か繰り返したのですが、どうにも「ダイエット」のイメージができない様子…。(もちろん、絵も描いてもらって、助けられる範囲では助けたのですが…。)
で、その子が男の子だったこともあり、何回目かのときにふと思いついて尋ねてみました。
「ねえ、弟が4kg500gの荷物を持って一緒に体重計に乗ったらどれだけになるん?」
すると、そこはすんなりと計算して答えてくれました。
そして、少し考えてパッと顔が明るくなり、それを2で割って太郎くんの体重を出し、そこから弟の持った荷物分の重さを引いて、答えが出ました。
もちろん、軽いほうの体重を聞かれているので、その方法だと余計な手間がかかるため、これまでヒントとして使ったことがなかったのですが、その子にとってはダイエットした姿はイメージできなくても、弟が荷物を抱えた姿はきっとイメージできたということなんでしょう。
なんだか面白いなぁと思いました。
まあ、確かに「ダイエット」といってすぐピンと来るのは、圧倒的に女の子のような気はしますけどね。
あ、ちなみに、荷物を持つ方法で考えたら解けた彼は、例えば「さっちゃんと妹2人で34個のおはじきを持っています。さっちゃんの方が妹より4個多くのおはじきを持っているとすると、妹はいくつ持っているでしょう?」というような問題は、「34-4=30、30÷2=15」みたいに解けるんですよね。
ここもまた面白いというかなんというか…。きっと、おはじきやシール、飴などは数でイメージできるけど、体重は連続量だからということも関係しているのかもしれませんが。
何年やっても、まだまだ色々な発見があります。
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