ちょっと感激したこと。
先日、書こうと思っていたのに忘れていたことを思い出しました。
ほかにも書きたいこともあったような気がするのですが、例によって週末の夜で既にあまり頭も働いておらず、今覚えているお話を。
きっと、私達が子どもの頃と比べると、百均やらなんやらで、身の回りのものの値段が安くなっていたりするせいもあるのでしょうか、レッスンをしていても、鉛筆や消しゴムなどを忘れたり、どこかに行ってしまったりしても、あまり気にしていないように感じることが増えました。
もちろん、みんながみんなではありませんが、例えば消しゴムがどこかに転がっても、筆箱には代わりの消しゴムが入っていて、ちょっと探して見当たらなければそれ以上探そうとしなかったり、鉛筆を落としても、何本もあるので気付かないままだったりなんていうことは珍しいことではありません。
その上、落として忘れて帰ってしまっても、私が次のときに「これ○○ちゃんの?」と尋ねて初めて「ああ、そうや、落ちてたん?」なんて気付く子もしばしばいますし、、名前もなく、声をかけても持ち主が見つからず、仕方なく落とし物入れに入れておいても結局誰も名乗り出てくれなかったり、そんなことも残念ながらあります。
もう何年もそんなことに慣れてしまっていたある日、2年生の男の子とレッスンをしていたとき、使っていた鉛筆がどこかに転がったようでした。
その子は一所懸命探していて、私も一緒になって探せる範囲で探したのですが、そのときは見つからず、レッスン中でもあったので、「あとで探しとくわ」と言って、ほかの鉛筆を使ってもらいました。
その日、そのあといくつかレッスンをしているうちに、私自身が忘れてしまっていたのですが、帰りに掃除機をかけながら机を動かしていると、机の脚の隙間から少し短くなった鉛筆が見つかりました。
もう3分の1ぐらいの長さになっている上、鉛筆のお尻の方も少し傷んでいるような鉛筆で、これまでの経験では、落とし物入れに入れていても持ち主が現れてくれないような印象の鉛筆でした。
ただ、見つけた場所からしても、きっとあの子が落としたものだなと、次の回に返すため、その子のフォルダの中に入れておきました。
しかし、翌週、たまたま体調を崩したその子はレッスンをお休みして、結局前回のレッスンから10日余り経って教室にやってきました。
鉛筆を返さなくてはということを私自身忘れかけていたのですが(フォルダに入っていたので、レッスンを始めたら気付いたとは思いますが。)、入ってきて挨拶をすると、次に出た言葉が
「あれあった?」
(ん?あれって?)
一瞬彼に聞き返しそうになったのですが、なんとか思い出し、「もしかして鉛筆?」と尋ねました。
「うん。あった?」
なんだかもうひとりで感激してしまいました。
彼の名誉のために言っておきますが、彼の筆箱には何本も鉛筆が入っています。
もちろん、鉛筆が買ってもらえないとか、なくしたら怒られるとか、そういうことはないと思います。
おまけにまだ低学年の元気な男の子です。
それが、1週間以上経ってもちゃんと鉛筆を落としたことを覚えていて、教室に来るなり何より先にそのことを尋ねたということに、思わず顔がほころびました。
値段が高いとか安いとかそういうことではなく、ものを大事にするという気持ちはとても素敵だと思うのです。
些細なことかもしれませんが、私はその子のことが一層好きになりました。
(あ、でも、忘れ物ばかりしてしまう子も、そんなことで嫌いになったりはもちろんしませんが。)
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コメント
こんにちは
こちらは、県立高校3日前、直前授業中です。
みぞれまじりの寒い日です。
あったかくなるお話ですね。
(以前お話したかもしれませんが)自転車にカギをかけない生徒に「盗まれるぞ」と言ったところ、「盗まれたら、新しいのを買ってもらえるから、その方がいい」と答えた中学生のことを思い出しました。
モノを大切にする。
きっといい環境に育っているお子さんなんでしょうね。
投稿: ぷぅ | 2010年3月 7日 (日) 14時39分
ぷぅ先生、いつもありがとうございます。
日曜もお仕事だったのですね。お疲れ様です。
間もなく入試ですか。
神戸は卒業式が済んでから公立入試、合格発表なので、
入試はもう少し先ですが、今頃受験生やその子達に
関わっておられる方は大変でしょうね。
見つかった鉛筆を「これ?」と手渡すと、ニコニコ
しながら「ああ、うん、これこれ!」と言う顔を見て
ホントに幸せな気持ちになりました。
投稿: TOH | 2010年3月 8日 (月) 13時12分