それすらも言わなくていいのかもしれない
今日、ある子と分数の学習をしていたときのこと。
分数の導入の部分はこの教材の大好きなところのひとつではあるのだけれど、導入が済んだ後、ぺらっとそれぞれ1枚、通分の考え方の基礎になりそうなものと約分のプリントが登場する。
この時点ではまだ計算としては同分母のものしか出てこないし、それまでにやる大きさ比べは、あくまでも「大きさ」を意識して比べるのであって、通分して比べるという解き方をまだ使わない。
だから、本当にある意味唐突に同じ大きさを表す分数を考えたり、分母をできるだけ小さくする(約分する)ことを考えたりという問題と向き合うことになる。
その部分はもう少しボリュームを増やしてきちんと作りたいところではあるのだが、これまではそれぞれの子に絵を描いたりしながら考えてもらってきている。
そして、今日の子とも同じように、まずは比較的イメージしやすいもの、図に表わしやすいものから考えてもらうようにして、徐々に進んで行ってみた。
すると、何問か考えるうちに、ぼんやりと、もちろんまだその言葉すら知らないのだが、「公約数」を意識し始めたのがわかった。
ただ、まだ明確につかんだというところまでは至っておらず、図を描きながらぼんやりと何か感じているような様子だった。
以前は、問題を解いてもらった後で、確認の意味で両方を割ることができる数で割っていけばいいということだということを念押ししたりもしていたのだが、最近は、見ようによってはまどろっこしく見えて、(さっさとやり方教えればいいのに…)と思われてしまうような、図を描いてあれこれ考えるその過程そのものにとても価値があるのではないかと思うようになった。
そして、その時点ではまだ、私は何の念押しもする必要がないんじゃないかなと、そんな気がし始めている。
子ども達は私たち大人が思っているより遥かに素晴らしい力を秘めているし、鋭い感覚を持っている。
だから、自分で図を描いてあれこれ考えているうちに、私が何も念押しなんてしなくたって、自分でそれを感覚的につかむときが来る気がするのだ。
それも、恐らく大半の子は「不親切」なプリントを数枚やれば、なんとなく気づいていくような気がするのだ。
仮にはっきりと気づくに至らなかったとしても、その子たちがいずれ学校などで通分や約分を習ったとき、機械的に処理をするのではなく、「ああ、あれはこういうことだったんだ~!」としっかりと頭に残るのではないかと思うのだ。
それらどれを取っても、やはり私が余計なことは言わないに限る。そう思ってしまう。
私はただ、問題を解く順を指示したり、どうにもうまく図が描けずに困っているときに助けを出したり、全く感覚がつかめていなさそうな子に少~しだけ手を貸したりするだけでいいんだろう。
だって、大きさの感覚もないのに、「両方を同じ数で割ればいいんだよ」なんて言われて約分だけができるようになったって、何にも楽しくなさそうだから。
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コメント
先日、分数の足し算で約分をした子がいました。
1/2+4/3みたいな計算で2と4をパッ、パッ・・・って。
(実際は文字式でなんですけどね。)
「たまたま」そうしてしまったと信じたいところですが、
どうも怪しい・・・。
私はどうしたらいいでしょうか?(汗)
投稿: tanA | 2009年10月21日 (水) 12時14分
tanA先生、こんばんは。
解決策その1;気のせいだと思う。(殴)
その2:たまたまだと強く信じる(蹴)
その3:tanA先生が実感算数を始める。
先生のところの子たちはある程度勉強のできる子たちばかりだと
思いますので、なんならジャンプ1を遊び感覚でやってもらうと
いうのもアリかもしれませんが…。
私自身、分数を大きさ(イメージ)で考えるという発想はこれに
出会うまではほとんどありませんでしたから、ある程度成長した
子でも効果がある子はいると思うんですけどね。
解決策3はベストアイディアなのは間違いありません!
投稿: TOH | 2009年10月22日 (木) 03時18分