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2008年11月 2日 (日)

今更かもしれないけど。

うちに来てくださっている方の多くはこのブログも覗いてくださっているし、かなり異色のうちを選んできてくださっている奇特な方々なので、それを感じる機会は少ないけれど、よそのお勉強の教室に通っていて移ってきてくださった方や、かけもちしておられる方、幼稚園によっては幼稚園で先取のお勉強をさせてしまって、九九を覚えさせたりするようなところもあるようなので、久しぶりに改めてちょっと書かせてもらっておこうと思う。

小さいうちに急がせたらダメ。
小さいうちってのは、尊敬する先生方によって、9歳までだとか12歳までだとか多少の意見の違いはあるけれど、こればっかりはその子その子の成長やら興味の対象やら、能力差やらそういうものも関わってくるし、色んな条件が複雑に絡み合ってくるだろうから、一概にいくつまでとは線引きしづらい。
ただ、感覚的に、少なくとも幼児・低学年の間は、意味もわからずに反復させて覚えこませるような勉強はしない方がいいということには迷いがない。

先取り学習が全ていけないとも思わないけれど、どういう形で与えるかというのが問題なんだと思う。

例えば、以前にも書いたかと思うけれど、小さい頃にはぱっと見て3までの数がとらえられない時期がある。
その時期を経て、5までの数がとらえられるようになり、10までの数がとらえられるようになり…そうしてだんだんと数量感覚が身についていくというのが一般的なように思う。

ただ、ぱっと見て5までの数が把握できない子でも、繰り返し繰り返しやらせたら、6+7だって、12-8だって、答えることはできるようになる。
当然、繰り返し繰り返しやって、その答えを覚えてしまうからだ。

5までの感覚さえない子は、紙に書かれた「6+7」は恐らく記号に過ぎないだろう。
「6+7」と書かれていたら「13」と書くんだと、そう覚えて、そう答えているのだろうと思う。

そんな状態で、100やら1000やらまで計算できるようになったって、九九が全部答えられるようになったって、本当の意味では役に立たない。

もちろん、意味が分からなくても暗記して使う方がいいものだってあるだろう。
ただ、それには絶対時期があると思うのだ。
実感を伴わない状態で、先に先に進んだって、それはその子の力にはならないし、時には害にさえなり得る。

数の感覚がない子に、どうしても足し算や引き算をやらせたい、やらせなければならない、そんな事情があるのなら(そういうことがあるのかどうかわからないけれど)、目の前に何か具体物を用意してあげる、もしくは本人に絵を描かせるなど、数を感じられる状態でやらせなければ危険だと思う。

小さい子に文章題を与えたときに「たすの?ひくの?」と尋ねるのは明らかに危険な状態。
それは暗記による算数を続けてきた結果によることが少なからずあるから。

昔は、「計算はできるのに文章題は苦手」というのは結構当たり前のことのように思っていた。
当たり前と思ってしまうほど、そんな子はたくさんいたからだ。
しかし、教室を始めてから、あの状態はこれまでの学習の進め方が何かおかしい可能性が高いのだとうことを知った。

せめて幼児・低学年の間ぐらいは、実感の伴わない機械的な勉強をさせるのは避けてほしいと心から思う。
勉強をさせるなと言っているわけではないけれど、どういう学び方をさせるかということを子どもが小さければ小さいほど、しっかり考えておくべきなんだろうなと思う。

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