見えないものをイメージする
今日のレッスンでの出来事。
2000より50小さい数を問う問題に、「1050」と答えを書いた子がいた。
実は、つい昨日も同じ答えを書いた子がいた。
「じゃあ、2000より1小さい数は?」
そう尋ねると、昨日の子も今日の子も「1999」と答えられた。
それですんなり行く子もいるけれど、たとえば、学校で0の並ぶ繰り下がりの引き算の筆算なんかを習ってしまった後の子では、そのあたりがピンとこない、もしくはかなり難しく感じる子がいたりする。
今日の子はまだあまりピンと来ていないようで、そのあとの1600より2小さいとか、そんな類の問題全てで困っていた。
その子とは最近一緒にレッスンするようになったばかりなので、既にできることが何で苦手なことが何なのかを見つけている段階でもあり、そうか、ここが苦手なんだなと思いつつ、ドットが100個書かれたシートを見せた。
それを見ると「100」とすぐ答えられる。
なので、それを裏返しにして(ドットが見えない状態にして)「じゃあ、100より2小さい数は?」と尋ねると、見えないドットを頭の中で見ながら「98?」と答える。
そのあと、100のシートを6枚裏返しに持って、「じゃあ、600より2小さい数は?」と尋ねると、また少し考えて正解を言う。
さっきまであてずっぽうで答えていたときとは明らかに違う表情で、頭の中で見えないドットを見ているのがわかる。
そんなやりとりを何度か繰り返し、その後でプリントに戻ったら、ほんの数分のことだったけれど、かなりしっかり考えられるようになっていた。
この子に限らず、子どもたちとのやりとりで、空に指で四角(100のシートのイメージ)や細長い棒(10の棒のイメージ)を描いて、それだけで考えてもらうことがある。
数を言っているだけのときにはぼんやりしていた顔が、空に描かれたものを見てきりっと引き締まり、しっかり考え始めることはしばしばある。
イメージするってこういうことなんだなぁと実感する瞬間だ。
何もイメージできていない状態の子に、いくらあれこれ言ったって、それはほとんど無意味だ。
特に「数字」というものはそれ自体は抽象的なものだから、小さい子であればあるほど、何か具体的なもののイメージができなければ、「考える」ということはできないのも無理はない。
何かのイメージがその子の中にあれば、実際にそのものを見せなくたって、裏返しで見せても、空にその輪郭だけを描いても、こうして考えられる。
イメージすることってすごいことだなと改めて感じるのは、こんな瞬間。
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