手柄は取らない
子どもの、特に小学校低学年ぐらいまでの子のやることなら、大抵の大人は子どもよりたやすくやってしまえるだろう。
特に勉強に関しては、よほどのことがない限り、大人には簡単ですぐわかってしまうようなことが多いだろうと思う。
街中で偶然聞こえてくる親子の会話や、教室に来てくれている親子のやりとりを聞いていると、時々、私が子どもだったらそんな言い方されたくないなぁとか、こう言ってくれた方がもっと嬉しいだろうなぁとか思うことがある。
人のことだから気付くだけで、もしかしたら私も知らず知らずのうちにそんな言い方をしているのかもしれないので、それは心配だけれど、私は子どもとレッスンをしているとき、極力気をつけていることがある。
それは、「手柄は自分で取らない」ということ。
子どもたちに何かを指導するとき、まあ、ほとんどの場合、やり方を説明するのは簡単だし、説明してその通りにやらせて、「ほら、できたでしょ?」という風にするのはとても楽な方法だとも思う。
ただ、教えてしまって、その通りにやらせて、「ほら、言った通りにしたらできたでしょ?」では、こちらが偉くて、子どもたちはそれに従っているような主従関係ができてしまうような気がするし、そんな風に勉強したって、多分ちっとも面白くない。
子どもの性格や能力、その日の状態によっても、どこまでどんな風に助けるかは変わるけれど、私はいつもギリギリまで、子ども自身が発見して、新たな宝物を手に入れるためのきっかけを与える役に努める。
多分、知らない大人が見たら、なんて教えるのが下手な人なんだろうと思うだろうし、なんて意地悪なんだろう、さっさと教えてあげたらいいのにと思われるかもしれない。
でも、目の前の子どもたちが、自分の力で発見したと顔を輝かせる瞬間を見るためなら、大人がどう思ったって構わない。
手柄は取らない。
そう心がけていたいと思う。
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