考えるヒント
教室には昔ながらのルービックキューブと2×2の見た目簡単そうなのの2種類が置いてある。
実は私が小学生の頃、普通のルービックキューブが大流行したのだが、結局偶然数面揃うことはあっても、論理的に考えて揃えることはできぬままブームは過ぎ去っていった。
教室を始めてからは、待ち時間などにできるよう、考える力がつきそうなパズルやゲームなどを置くようにしているので、その中にそれらがあるのだが、2×2のを見たとき、(これぐらいなら私でもできるのでは?)と思って、早速やってみることにした。
しかし・・・いくら頑張ってもできず、攻略法みたいなのが書かれた紙を見て、その通りにやってもそうはならず、お手上げ・・・。
大人より子どもの方がすごいから、そのうち誰かが揃えてくれるかなと思いながら、色が不揃いのまま教室に置いておいた。
かわるがわる子どもたちが触っては、1面揃ったとか、2面揃ったとか言っている。しかし、まだ教室のキューブが元の姿に戻ったことはない。
子どもたちにはそれが揃えられた人は大きい方(普通の方)を開けていいよと言ってあるが、まだ誰もそこには辿り着いていない。
さて、それはそうなのだが、つい先日、ちょっと頼みごとをして教室に同級生たちが2人来てくれていた。
そのときにひとりの子が言った言葉になんだか目からウロコ、ひとりで大いに感動してしまった。
その子が言うには、やはり子どもの頃、攻略本というのが出ていて、その最初だけ読んでやめてしまったそうなのだが、その最初に書いてあったよと。
攻略本に書いてあったのであればご存知の方も多いかもしれないし、そもそも、自力で元に戻せる方たちはそういう思考をしているということなのだろうけれど、私にはこれまで全くなかった視点だったので、なんだかえらく感動してしまったのだ。
彼が言ったのは、キューブを展開図にして考えるということだった。
それぞれの面が4つに区切られているが、とすればどの立方体も3面に色がついていて、他の面は隠れている。完成図を展開図で考えるといいんだと言われ、素直に感動した。
展開図・・・。そんなことこれまでただの一度も考えたことがなかったな。
もちろん、それを聞いて感動したものの、時間が取れずまだ考えていないし、考えたからといって、思うところにキューブを移動させられるかどうかはもう一段階か二段階上の思考が必要に違いないから、元に戻せるとは限らない。
ただ、立体を平面にして考え、それの元の姿を把握し、それに基づいてキューブを移動させるという発想はこれまでの私には全くなかったのだ。
新しい発想、視点を与えてもらって、俄然興味が湧いてきた。
これはたまたまルービックキューブの話だが、きっとそういうことは他にも色々あるのだろう。
全くどう考えていいのか分からず、攻略法の紙を見ながらやってみて、仮に元に戻せたとして、そこにどんな感動があるだろう。
それはただ単に「元の姿に戻った」というだけで、何の感動も伴いそうにない。
かといって、全くどこから考えていいものやらわからないような状態で闇雲にキューブを回したって、元に戻る確率は限りなく低いだろう。
そして、偶然に元に戻ったとしても、結局それにも大した感動は伴いそうにない。
とすれば、その個人の能力に合った考えるヒントのようなものがあり、しかしそのヒントはその通りにやれば答えに辿り着きますよなんて親切すぎるものではなく、あくまでも考えるきっかけをくれるレベルのもので、そのヒントを元にあれこれ試行錯誤しながら元に戻すことができたとしたら、そのときにはきっと大いに感動するに違いない。
もちろん、全く自力で全て考えて完成させられればそれが最高に感動するに違いないが、自分の持てる力ではこれ以上どうしようもないとなったときには投げ出すか、助けを求めるかしかなくなる。
そのときに、最小のヒントをもらって考え続けることができれば、答えに辿り着いたとき、きっと感動や満足感を得られるのだろう。
私はそんな風に子どもに向き合っているだろうか。
ちゃんと最低限の子どもがほしいと思うヒントを出せているだろうか。
ヒントを出し過ぎて、感動するチャンスを奪ってはいないだろうか。
ヒントが少な過ぎて、前に進めず投げ出そうとしてはいないだろうか。
日々のレッスンに慣れることなく、いつも意識しておかねばと改めて思う。
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コメント
日々発見してますね~
楽しそうですね~♪
毎日の生活でもちゃんと目を開いていたら、最小限のヒント、少なすぎないヒントが其処此処に散りばめられているのかもですね。
これに気づけば、日常のルーティーン化も避けられそうだし。
ユーミンも「小さい頃は神様がいて、毎日愛を届けてくれた」と歌ってますし、大人がこれにあやかって悪いことはないでしょう!
(いつもながら勝手な飛躍でごめんなさい~)
どうぞお仕事楽しんでください。
投稿: yuki | 2007年8月 9日 (木) 09時53分
yuki、いつもありがと~。
そうですね、いつも楽しいかも。
どれだけバタバタしてても、この仕事ができることは本当に幸せだなぁと
いつも感謝しています。
暑さに負けずがんばらなくちゃですね~。
投稿: TOH | 2007年8月 9日 (木) 14時27分