数量感
この春から、幼児さんが随分増えた。(あくまでもうちの教室としての話で、一般的な教室からしたらかなり少ないのだが。)
もともとは小学校低学年をメインでスタートしたので、来てくれた子達は10までの感覚は大抵は身についていたし、知識としては数量感を身につけるのには、3まで、5まで、10まで・・・という段階があるということは知っていたものの、実感としてはあまり感じることはなかった。(10以上の20まで、100まで・・・というのは普段のレッスンで何度も色々な子ども達の姿を見てきたのである程度実感があるのだが。)
しかし、幼児さんたちとレッスンをするようになって、確かに「3まで」、次に「5まで」、そこを越えてやっと「10まで」という段階が存在することを実感するようになった。
数量感の獲得にももちろん個人差があるので、年齢などでは一概に区切ることはできないが、どの子も3までがぱっとわからない段階では5という数を実感することはできないし、5までしか実感できていない子に5を超えた数を掴み取ることも難しいようだということは目の前の子ども達を通してはっきりと感じ取れる。
以前にも書いたことがあるが、パッと見て3までしかわからない子は4個のおはじきを見せていくつか尋ねると、「1、2、3、4」と1から戻って数えなければならず、3より1個多いから4という答え方はほぼできない。
しかし、5までの数がパッと見て判断できるようになった子に、3個のおはじきを見せておいてもうひとつ足しても、1から数え直すことはなく、すぐに4と答えることができる。
5を超えた数でも同様に、5を見せてもう一つ増やした場合、5までの数の実感しかできていない子は1から順に確かめて6と答えることが多いし、10までの数が実感できている子はすぐ6と答えられる。
数量感の獲得には個人差があるとしても、どの子にもそういう段階があるのは恐らくほぼ確かだろう。
とすれば、10までの数量感のない子に和が10までのたし算をたくさん練習させたらどうなるだろう。
当然、実感がないのだから、計算して答えを覚えこむ以外方法はない。「4+5」という式を何度も何度も見ることで、その答えが「9」だと覚えるのだ。
和が10までであれば、和が2になるものから10になるものまでなので、まだ数も限られているし、大抵の子は和が5ぐらいまでであれば何となくは実感もできているだろうから、丸覚えしなければならないものの数はさほど多くないだろう。
だから、そうつまずくこともなく、また、見ている大人も「できている」と感じてしまうのではないだろうか。
しかし、そこで「実感がない」ということに気づかないことこそ何より恐ろしいことなのではと思う。
幼い子どもは丸暗記が得意だという。
であれば、10までのたし算、10までの引き算、20までのたし算、20までの引き算のあたりぐらいまでなら、ひたすら繰り返していれば覚えてしまうのだろう。
忍耐強い子どもであれば、更にその先も、そして九九も・・・とどこまでも覚え続けるのかもしれない。(もう少し続きます。)
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