最高の幼児教室と最高の指導者
ここ最近、I先生が有名になられればなられるほど、小学生さんではなく、まだ年中、年少さん、時には年少前のお子さんの保護者の方からお問い合わせを頂くことが増えてきた。
しかし、私の教室は大先生のところの関連と言って頂いてはいけないのでは?と思うほど、幼児さんより小学校低学年さんをメインに考えている。
多分、今後も私自身が幼児さんを積極的に募集しようとは思わないだろうと思うのだが、どうして幼児さんの指導に積極的ではないのか、ちょっと考えてみた。
そして何となく気づいたのである。
私は、何度も書いている通り、塾にも予備校にも通ったことがない。
習い事すら、小学生のときに3年ほどバレエとエレクトーン、6年ほどお習字を。それが全てだ。
私の幼児、小学生時代といえば、暗くなるまで(小学校なら完全下校のアナウンスが流れるまで)外や運動場で走り回って遊び、家に帰れば少しはテレビも見たが、その頃は自分で自由に好きなだけテレビを見せてもらえるようなことはなかったので、本を読むか、何かを作るか、家族でトランプやボードゲームなどをするか、そんな風に過ごしていた。
中学以降もずっと運動部だったし、習い事は全て辞めてしまったので、授業と部活以外は自由な時間でもあった。(まあ、部活でくたくたで気づいたら寝ているなんてことばかりだった気がするが。)
その私がありがたいことに結果的に第1志望であった地元の教育学部に現役で合格することができ、今は子ども達と幸せな毎日を過ごさせて頂いている。
まあ、所詮、地元の教育学部だから、大したことないじゃんと言われればそうなのだろうし、別にそう言われたって反論する気も全くない。私はあの大学のあの学部以外に行きたいところがなかったのだから、人がどう評価しようとそれは構わない。
ただ、もし私程度でいいのであれば、何もまだ幼児さんの頃からお勉強の教室になんて通わなくてもいいのでは?と思っているのだ。
そして、「その程度じゃダメなのよ!」って方は、もっとすごい先生方がおられる塾や教室に行って頂けばいいだけのことだとも思っているのだ。
もちろん、だったら小学生だって通う必要ないじゃない?というご意見もあるかもしれないが、いかんせん、小学校での学習内容は私達が子どもだった頃と比べると恐ろしく削られて薄っぺらになってしまった。
そのくせ、最終的に高校ではその帳尻合わせをしなくてはならないようでもある。
だったら、少なくとも私達が子どもの頃にはやっていたであろう、その程度には小学生はやっておく方がいいのかもと思ったりはするのだ。
だから、これからも、世の中が何か大きく変わらない限り、この教室の指導のメインは小学生、特に低学年の子たちであり続けるだろうと思う。
さて、話を幼児教育に戻そう。
今から4年ほど前にI先生に出会い、幼児教育の重要性を知った。
ただ、そのとき大先生が何より大事だとおっしゃったことのひとつは「指先能力(指先の巧緻性)」だったのだ。
実際、I先生のところの教材や教具も幼児の段階では指先をしっかり使うということを目的としたものがかなり多い。塗り絵や切り絵、折り紙などもそうだ。
そして気づいたのだ。
もしかすると私は、誰よりも恵まれた幼児教室にいつもいつも通っていたのではないかと。
私の記憶にある限り、私や兄がまだ幼かった頃、父は家にいるときにはいつも、自分の趣味として折り紙や塗り絵、レゴ、プラモデルなどで遊んでいた。
時には絵も描いていたし、日曜大工や木彫なんかもやってのけた。それも結構な腕前なのだ。更にその後、編み物やジグソーパズルにはまっていた時期もある。
私にはそれらが毎日当たり前に目の前にあり、父を真似て折り紙を折ってみたり、私にもと塗り絵を買ってもらっては、早く父のようにうまく塗れるようになりたいと願ったりもした。
兄と一緒にレゴやプラモデルも作ったし、パズルもした。絵を描くのも工作するのも大好きだった。
また、うちの母は私達が幼かった頃にはミシンでバッグや服を縫ってくれたり、機械編みのワンピースやセーターなんかも編んでくれた。
その姿を見ていて、私は1年生でかぎ針編みを(初めは鎖編みしかできなかったが)始め、高学年では棒針編みも覚えた。そのうちミシンも使えるようになり、バッグや小物入れなんかを作ったりもした。
うちの両親は何も私にやらせようとしてそれらのことをやっていたわけではないだろう。
実際、父は未だに折り紙を折っているし、木彫などをしているときもある。母も忙しいながらも時々ミシンでリフォームなどをしているようだ。
我が家ではそれが当たり前の日常であり、それを見ている私は自然とそれらのことをしたいと思うようになった。
父のようにうまくなりたい、母のように上手に作りたい・・・そんな思いが私にやる気を出させてくれた。
きっと我が家が私にとっての最高の幼児教室で、両親は最高の指導者だったのだろう。
そんなことを思うようになって一層、幼児の間はそれぞれのご家庭で、お子さんとの時間を大切にしながら、一緒に指先遊びなどに高じられたらいいのでは?と思ってしまうようになったのだ。
わざわざ時間や費用を費やして通って、教室で塗り絵や折り紙をしなくても、おうちでお父さんやお母さんとそうして過ごす方が子ども達も幸せなのではないのだろうかと思ってしまうのだ。
もちろん、うちの母は私が子どもの頃は専業主婦だったので、時間の余裕もあっただろう。そういう意味ではお仕事を持っておられる親御さんだと、その分をどこかのお教室へということはあるのかもしれない。
それを否定するつもりはもちろん微塵もない。
ただ、お父さんやお母さんに憧れて、そんな風になりたいと思えるのは子どもにとっても親御さんにとっても幸せなことなのではないかとも思う。
そんな訳で、多分当面相変わらず、私の教室は小学生さんがメインになるかと思うが、どうぞご理解のほど。
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