自信の力
子どもに自信を持たせることは大事だなんてことは、今更言わなくたって誰もがわかっておられることだと思うが、また改めてしみじみそれを感じる出来事があった。
ひと月ほど前から、レッスンにちょっと苦戦し始めた1年生さんがいた。プリントと教具を出しても、もう拒否反応が出始め、さてどうしたものやら・・・とちょっと私も悩んでしまった。
お母さんに、しばらくお休みされますか?とお尋ねしてみたのだけれど(苦戦しているといっても、既に3桁同士や4桁同士の足し算・引き算の暗算まで来ての話で、100までの足す・引くはもうスラスラできるようになっていたので、しばらく休んでも進度的には全く問題なかったので)、休ませるのはあまり・・・とのことで、ちょっとご相談して、しばらくちょっと違うことをやってみることにした。
といっても、最終的にはもとのレッスンに繋がっていくようにしなければならないので、躓いていなかった段階のものから本当に徐々に段階を経てレベルが上がっていくような問題のプリントと、学習パズルをやってみることにした。
パズルは試行錯誤しなくてはならないので、失敗するのがイヤという子には嫌がられるかもしれない。その子は少しそういう傾向があったので、何度も消して書き直すことに対して抵抗を示すだろうかと不安に思っていたが、幸いそんなことはなく、楽しそうにミニナンプレや不等号パズル、ミニサムクロス(縦横に足す)などに取り組んでくれた。
パズルは大好きなようで、それだと何枚でもやりたいとご機嫌だった。それに並行して、100-1桁、100-2桁、何百-1桁、何百-2桁、3桁、1000-1桁、1000-2桁・・・と徐々に段階を上げ、更に並行して、10が10個で100、20個で200、25個で250・・・というようなことや100が10個で1000、13個で1300・・・というようなことなども繰り返し、ある時期完全に拒否反応を示していたプリントへ戻れるかもしれないなという状態になってきた。
ただ、プリントの見た目で「このプリントは難しい」と思ってしまっている可能性があったため、ちょっとドキドキしつつ、今日のレッスンの終盤で1枚そのプリントを出してみた。
3桁-2桁の引き算のプリントを出すと、予想通り、見た瞬間に「うわぁ、むずかしそう・・・」と表情を曇らせた。
しかし、今日もそれまでは絶好調で問題をクリアしていたし、ここ数回ずっとその状態で来られていたのだから、思い切ってやらせてみようと、こう言ってみた。
「大丈夫。今の○○ちゃんならもう絶対できるよ!」
すると、ちょっと不安そうに
「ほんとう?」
と聞き返してくれた。
「うん、絶対できるよ。一緒にやってみよう?」
そういうと、ひと月ほど前にはもう見るのも嫌がっていたプリントに真剣な表情で取り組み始めた。
何問か一緒に考え、その後自分ひとりでもやってみてもらい、無事そのプリントを終えることができた。
今度はもう一枚と、3桁同士の足し算のプリントを取り出すと、最近引き算ばかりやっていたせいもあって、ちょっと逃げ腰。でも、これも一緒にやろうというと、すんなりと一緒にやってくれた。
そして、結局「もう見たくもない」プリントを3枚頑張ってやってくれた。
子どもの性格も本当にそれぞれだ。
失敗を恐れず何度もトライできる子はいいのだが、慎重で間違いをしたくないという子は難しそうに見える問題はやる前から「できない」と言ったりすることがある。
その壁を少しでも低くするには、やはり「自信」が何より強力なのだなと、また改めて思った。
多分もう通常のレッスンに戻ってもあの子は大丈夫だろう。
そんなことを思いながら、思わず顔がほころんでしまうのだ。
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