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2006年10月 7日 (土)

個性的な靴

私の仕事はなんだろう。
ときどきそんなことを考える。

何言ってるの?あなたの仕事は子どもを指導することでしょ?

そんな風に言われるのかもしれない。
もちろんそれはそうなのかもしれないのだけど、もっと本質的なところで、本当に私がすべきことは何なのか、そんなことをときどき考えるのだ。

私のしたいことはものすごくはっきりしていて、ひとことで言ってしまえば「子どもが幸せになるお手伝いがしたい」ということに尽きる。

多くの素晴らしい塾の先生方が、塾の仕事は成績を上げることだとか、志望校に合格させることだとか言っておられるし、もちろん塾なのだから圧倒的多数の方が望んでおられるのもそれなのだと思う。

確かにお月謝を頂いて、貴重な時間を割いて教室に来て頂き、「性格はいい子になりましたけど成績は伸びませんでした、すみません。」なんてことは恐らく許されないだろう。
それでも私のしたいこと、私がすべきことは「成績」や「合格率」という言葉とはどこかそぐわないもののような気がするのだ。

もちろん、ブログにもしばしば書いている通り、一目惚れしたこの学習法で学べば、殆どの子が目覚しい伸びを見せる。なかなか目立った伸びが見られない子もいなくはないが、それでもその子が来たときよりは明らかに伸びている。

それでも、私にとって最も優先すべきは「本来ある子どもの考える力を更に伸ばし、引き出す手助けをする」ということであって、成績の向上や合格はその結果としてついてくるものに過ぎない。

実は、教室を始めて間もない頃、私が子ども達とやっている学習法は殆どがご家庭でもやれるであろうことなのに、それでお月謝を頂いてもいいんだろうかと思ったりもしていた。
私自身、塾にも予備校にも通ったことがなく、子どもに最も力がつくのは結局は独学なのではと思っているところもあるので、そんな自分が教室をしているのはどこか矛盾しているのではないかと、そんなことを感じてもいた。

だけど、この頃思うのだ。

私自身の子どもの頃を振り返っても、親のいうことは素直に聞けなくても先生のいうことは素直に聞けたし、他人から言われるのと親から言われるのでは、同じことを言われても明らかに受け止め方が違っていたように思う。

特に勉強のことで親にあれこれ言われるのはすごく嫌だった。かなり抵抗もしたので、いつからか親は勉強に関して殆ど何も言わなくなった。(そのことはとても感謝している。)

更に、教室に来てくださっているお母さん方のお話を伺っていても、頭でわかっていても、我が子にはどうしても我慢ができず叱ってしまうというお母さんが驚くほど多いのだ。
どう考えてもこのお母さんは怒らないだろうと思うような穏やかな方でさえ、我が子のこととなるとダメらしい。

そして気づいたのだ。
確かに学習内容だけを見れば、特に幼児や低学年であれば保護者の方でも十分指導ができるものが殆どだ。だから、ご家庭で指導したいという方には今後も当然教材等をご紹介するつもりだ。
けれど、親子ではなく他人からの方がよりよく学べるのではと思われる方のために私がいるんじゃないかなと。

実際、しばしば伺うお話の中に、教室ではスラスラできていたものがおうちではなかなかできないということもある。じゃあ理解できてなかったのかな?と次のレッスンで何も言わず、まずやってみてといってやってもらうと、大抵の子が何のヒントも出していないのにスラスラ解くのだ。それはやはり「親子」と「他人」という違いなのかもしれないと、そんなことを思う。

以前、「勉強」ってなんだろう。を書いたとき、ボボコフさんが引用してくださったのだが、そこに書いておられた記事を読みながら、(そうか、私の書いていることは自らの仕事と矛盾しているのかも?)と思ったりもした。

まあ、基本的に私自身、幼児・小学生のうちの詰め込み学習、反復による先取り学習にはもともと否定的だし、そんな勉強をするぐらいなら他にすることが沢山あるだろうとも思っているのは事実なので、記事に書いたことは本当の気持ちだし、「本気で遊ばせますから教室を辞めさせます」って言われたら、多分引き止められないとも思う。

じゃあなんで教室をしているんだ?といわれる方もおられるだろう。
けれど、仮に塾や教室が数え切れないほどあったとしても、それぞれの場所でなされていることがほとんど同じであれば、選択できるものは「場所」と「講師」、「費用」ぐらいしかないのではないだろうか。

青い靴がほしい人に赤い靴をどれだけ数多く並べたって満足してはもらえないし、青のスニーカーがほしい人に青のサンダルを出しても、「そんなのいらない」と言われるだろう。

多くの人が求めるものが、仮に「白いスニーカー」なのだとしたら、多くの塾や教室は、白いスニーカーでありながら「赤いラインが入っていますよ」とか、「マジックテープで脱ぎ履きできますよ」とか、「底が滑りにくくなっていますよ」とか、そんな違いを示しているように感じたりもするのだ。

白いスニーカーがほしい人はその中から選ぶことができるだろうけど、そうじゃない靴がほしい人は、選ぶ靴の選択肢さえない状態なのかもしれない。

だから私は「個性的な靴」でありたい。
そんな靴をほしがる人はすごく限られているかもしれないし、器用な方は自分で作ってしまうかもしれない。
それはそれでいいんだろうと思う。もともと「大量生産」はできないのだから。

その靴がいいと言ってくださる方、自分では作れない(作らない)方に大事にしてもらえるよう、これからも一歩一歩しっかりと頑張っていかなくてはと思う。

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