昔の教え子くん
今日はレッスンがお休みだったので、出勤して色々な仕事を片付けようと思っていたのだが、予定の仕事がまだ半分も終わっていない頃、懐かしい子からメールが届いた。
彼は私が塾に勤めていたとき、一番初めに送り出した受験生のひとりで、卒業後も忘れずにときどき連絡をくれる。もうかなり昔の卒塾生だから、彼はもう就職活動の時期になるようだ。
そんな彼から突然、「レッスンお願いします」という内容のメールが来て、何をふざけているんだろうと、「一体なんの?」と返事を返すと、「一次、二次、連立方程式などなど・・・」というような返事が返ってきた。
こりゃますますふざけているなと思ったけれど、まあ今日はレッスンがあるわけじゃないし、遊びにきてくれるならそれでもいいかと、「今日はレッスンないからいいよ」と返事を返した。
数分後、彼は差し入れと共にやってきたのだが、驚いたことにメールの内容は冗談ではなかったのだ。
彼は高校で文系のコースを選択し、その後1年多く勉強をした後、文系の大学に進学した。高2以降数学には縁のない生活をしていたらしい。
その彼が取り出したプリントには、中3であればほぼ全て解けるであろう問題がずらっと分野別に並んでいた。
一体なんだ?と思って尋ねると、就職試験対策の授業を大学が学外の学生も対象にして開講しているとのことだ。その授業の中でこのプリントをやったのだという。
しかし、いくら見ても内容は全て中学内容で、この辺の公立高校の入試問題より遥かに易しいレベルの問題が並んでいるだけなのだ。
まあ、そうは言っても長らく全く数学から離れていたらしいので、ある程度忘れてしまっているのも仕方ないのかもしれない。実際私は英語を全くやらなくなってかなりになるので、今では中学1年でさえきちんと指導できるかどうか不安という凄まじい有様なのだし、4、5年もやらなきゃそりゃ忘れるわなと思いながら、一緒に問題をやることにした。
中学時代は数学は割とできる子だったので、説明するとぼんやり記憶が蘇ったり、蘇らないにしてもどうにか理解はできたようだ。
とりあえず今日は2時間半ご奉仕させて頂いた。
懐かしい子が来てくれて、一緒にレッスンをして、それはとても嬉しいことだったのだが、またちょっとふつふつとモヤモヤが湧いてきた。
大学で、決して安くはない受講料を取って、もちろんその勉強だけではないようではあるけれど、やっていることは中学の数学。
それってどうなんだろう?
更に彼は言った。実は彼は中学時代、しゃれにならないぐらい英語が苦手だったのだけれど、大学の英語は高校よりずっと簡単だという。成績もずっといい成績をキープしているそうだ。
高校より簡単な大学の英語。。。それって一体何なのだろう?
以前、ある新聞で某私立歯科大の講義に関する記事を知り、愕然としたのだが、そんな大学はもしかして数え切れないほどあるということなんだろうか?
もちろん、大学ではもっと専門の勉強をしているのかもしれないが、だからといって、高校を経て入学した大学で、なぜ高校より簡単な英語や中学レベルの数学の授業を受けるんだろう?学生達はそんなために大学に行っているんだろうか?何の疑問も感じないんだろうか?
そういえば、数年前、近くの某私立女子大でやはり就職対策としての数学の講習があり、お知り合いが声をかけてくださったので見学させてもらったことがあった。
確かそのときの問題もほぼ全て中学レベルの数学だったことを思い出した。ただ、その大学は中学校からあるお嬢様学校なので、女の子達だし、数学が苦手な子も多いんだろうなぐらいにしか思っていなかったのだが、それは勘違いだったのかもしれない。
なんだかこのモヤモヤは簡単に消えそうにないが、この国の行く末をまたちょっと憂いてしまいそうだ。
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