« 大手術その後。(ど~でもいい話) | トップページ | 今頃になって知らされた私にとっては衝撃的過ぎる事実 »

2006年8月18日 (金)

「文字」のカード

塾を辞め、今の学習法に出会ってから、中学生への指導も徐々に変化が出始めている。

基本的にうちの教室は全ての子どもに対して「個別指導」なので、特に中学生だと現時点でのその子の理解度その他で、指導する内容や取り組んでもらう問題、出すヒントも小学生以上に様々に変わるのだが、文字式の計算をしているときに、文字式について考えるのがちょっと苦手な子達に結構効果がある説明(考え方?)がある。

数学の専門家がご覧になったら、それはちょっとおかしいのでは?とつっこまれるかもしれないが、もし数学が苦手な中学生のお子さんをお持ちの方がおられたら、何かのきっかけになるかもしれないと思い、ちょっとだけ書かせて頂くことにした。

といっても、大したことではない。

文字式の指導のとき、私の記憶にある限り、一般には「係数に着目して解く」ということになるのだろう。もちろんそれはそれで正しい。

仮に「5a-3a」なら、それぞれの係数の5と3を見て、5-3で2だから「2a」と答える。これが「3a-7a」であれば、同じく3-7で-4だから「-4a」になる。

わかっている人からしたら、極めて単純でこれ以上簡単に説明のしようがないようなところだろう。

さて、ただ、機械的に覚えて解いている子達の中にときどきこういう答えを書く子がいる。(これまで塾勤務の頃の経験も含め、決して珍しくはない。)「2a-2a」など、係数が揃っているものの答えを「a」のように、文字だけが残った状態で答えるのだ。

もちろん、こういう子にも繰り返し問題を解かせ、係数が同じなら0になるんだと覚えさせることはできる。ただ、私が使う説明であれば、もう少し実感させることが可能だ。

あくまでも「数学が苦手」「数学が好きではない」というタイプの子にも納得ができて、自分で考えられるという意味でご理解頂きたいのだが、文字式の文字と係数についての説明の最初の段階で「カード」を意識させるのだ。

「3a」は「a」と書かれたカードが3枚ある状態。「5x」なら「x」と書かれたカードが5枚ある状態をさすと考えてもらう。
仮に「-3a」であれば、「a」のカードを3枚借りている(もしくは不足している)状態をイメージしてもらえばよい。

係数はカードの枚数を表し、係数がマイナスであればカードを借りている状態、プラスなら自分で持っている状態と捉える。そうすれば、文字の項について係数が枚数を表しているので、3枚と5枚を合わせれば当然8枚だし、3枚しか持ってないのに5枚取られたら2枚足りないからマイナス2枚だ。

その考え方に納得すれば、先ほどの係数が揃っている問題はカードが2枚あって、そこから2枚のカードを取ることをイメージすればよいことになるので、何も残らないとわかる。なぜなら、「a」や「x」というのは、カードが1枚残っている状態だからだ。

このカードの考え方は、もともと正負の数の計算のときにも使っていたことで、プラスやマイナスの色々な数字を書いたカードを裏向けて置き、適当に2枚めくって合計を尋ねたり、差を尋ねたりという導入をする。3枚や4枚に増やしても、ゲーム感覚で大抵の子はある程度計算できてしまう。

そうしたことをやった後で、今考えたことを式に表してみる。答えはもう出ているので、その式を計算したらこうなるのだということを目で再確認することになる。

もともとカードで理解した子であれば、文字のカードといっても特に抵抗はない。逆に数学が苦手な子でも結構すんなり理解してくれる。

そもそも、格付けなどでも使われる「3A(スリーA)」だとか「☆☆☆☆☆(5スター)」とかっていうのは「Aが3つ」「星が5つ」ということなのだから、その感覚から文字式に入れば「難しさ」を感じる度合いを少しでも減らせるのではないかと思う。

カードの枚数をイメージすれば、例えば「(5x+7)-(3x-9)」などの問題があったとしても、この問題の意味するところは「xのカードを5枚と+7のカードを持っていた人から、xのカード3枚と-9のカードを取る」ということだ。
そう考えれば、xのカードが2枚残り、他に残っているのは「(+7)-(-9)」なのだから(カードの種類が違うのだから同じ文字同士は取ったりもらったりできるが、文字のカードと数字のカードでは何もできないということも割とすんなり理解してもらえる。)、正負の数の計算がすんなりできる子はそれをするだけだし、もしもここでも悩む子がいれば、「+」は得点、「-」は減点を表していると理解してもらい、+7点だったのだけれど、「減点が9点減った」とイメージしてもらえばいい。

もしももしも減点が減るイメージが難しい子であれば、テストの採点の話でもしてあげるといいだろう。
「テストであっている問題に×がついていたので、先生に言いに行ったら○になった。」という状態が減点が減った状態だ。当然得点が増える。

私自身、中学生の頃、このあたりの学習で何か疑問を持ったり、つまずいたりしたことがなかったため、ちょっと前までは教科書通りのような説明しかできなかった。
しかし、ちょっと発想を変えると色々な説明が見えてくるものだ。

さて、このブログを読んでくださっている方にこれが参考になる方がおられるかどうかはわからないが、もし何かお役に立てば幸いである。

|

« 大手術その後。(ど~でもいい話) | トップページ | 今頃になって知らされた私にとっては衝撃的過ぎる事実 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「文字」のカード:

« 大手術その後。(ど~でもいい話) | トップページ | 今頃になって知らされた私にとっては衝撃的過ぎる事実 »