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2006年6月 5日 (月)

衝撃的なニュース

恥ずかしながら、普段新聞を殆ど読まない。届いた新聞の1面をチラッと見るぐらいで、最近はテレビも殆ど見なくなったため、テレビ欄すら殆ど見ることがなくなってしまった。
まあ、たまに気になるニュースが出ていると、ちょこっとだけ読むことはあるけれど、チラシと惰性で取っているようなものかもしれない。

しかし、今日の新聞の1面には秋田の事件のことと村上ファンドのことが大きく書かれていたのだが、そのすぐ下の記事に私は最も衝撃を受けた。

以下をまず読んでみてほしい。この記事の書き出しの部分だ。

 学生たちが教室で鉛筆を走らせている。配られた紙に、ひらがなが羅列されている。
 <ながねんにわたってはぶらしをまよこにうごかすはみがきをつづけているとしにくにちかいぶぶんがくさびじょうにすりへって……>
 課題は、句読点を補って「漢字かな交じり文」に直すこと。辞書の使用は許されている。机の上には国語辞典のほか、辞書機能つきの携帯電話やワープロソフトを立ち上げたパソコン。

さて、この「学生」というのは一体どんな子達を思い浮かべただろうか。
記事はこう続く。

講師が見回り、時々助言する。途中で力尽きたのか、机に突っ伏したり、並んだ椅子に横たわる者もいる。
 講座名は「言語表現・日本語」。でも、彼らは留学生ではない。松本歯科大(長野県塩尻市)にこの春入学した1年生たちだ。6年間の学費総額は5653万円、初年度納付金1173万円。
 時間切れとなり、配られた模範解答と自分の答案を比べ、感想を書く。ある学生はこんな感想を書いた(原文のまま)。
 「じしょがなかなか上手くひけなくてショックだった
(後略)

この記事は「大学淘汰」と題され、迫りつつある「大学全入時代」に向け、現在の大学の抱える問題などを取り上げていくシリーズのようで、その第1回目の記事だ。この後更に3面には東大医学部に進む予定の1、2年生に高校の範囲の生物を「大学の講義で」教えるということが紹介されていたり、ある大学関係者からは「うちの学生の20%が円の面積を求められない。小学4年生レベルの教材はありませんか」という発言があったとの記述もある。

因みに、松本歯科大は歯科医師国家試験の合格率が52%強で全体の合格率が80%強に対して低く留まっているとも書かれているのだが、私にしたら、こんな授業を受けている子達のうち50%が歯科医師の国家試験に合格するという事実の方が衝撃的だ。

小中学生の語彙が減っていると嘆いているレベルの話ではない。そもそも、小中学校は義務教育なのだから、どれだけ勉強ができない子どもがいても理解はできるが、それじゃあ「大学」っていうのはなんなのだ?経営のため、誰でも彼でも受け入れるのであれば、もう本当に「大卒」なんて学歴になんのステイタスもないし、それならむしろ専門学校などに行って真面目に専門の知識を学んだ子の方がよっぽど「使える」大人になるんじゃないか。

あまりに衝撃が大きくて、私は今でも少し信じられない気分だ。
この先日本はどうなっていくんだろう。
こんなに何も資源のない国、自分達だけでは食べ物すら全く自給できない国、そんな国で生まれ育った私たちは知識、知恵、才能、文化、そんな形のないもので身を守っていかねばならないのではないんだろうか。
もちろん、農業を志し、自給自足を目指すとか、日本を脱出して海外で暮らすとか、そんなことをいう人もいるかもしれない。けれど、そうできる人間はきっとほんの一部に過ぎない。

ドラゴン桜で「頭の悪い人間は騙され続け、搾取され続ける」というようなセリフがあったけれど、あれはとりあえず日本国内で官僚など一部の「エリート」と呼ばれる人間達が自分達に都合のいいように法律を作り、制度を作っているというようなことを言っていたはずだ。
しかし、今の時代、諸外国は「遠い国」ではない。詳しいシステムとかはわからないが、それこそ、ある日突然外国資本が国内の大企業の株を買占め、のっとるなんてことも不可能ではない時代なのだろう。そんなことを防げるのは、「いかに考えられる人間であるか」にかかっているように思える。

私は中学生までの子ども達にしか関わっていないけれど、大人たちみんながもっともっと真剣にこの国の未来、子ども達の未来のことを考えなくてはいけないのではないだろうか。

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