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2006年4月25日 (火)

「やさしさ」とは

色々な書籍や素晴らしい先生方の実践などに出会い、「やさしさ」というものについて改めて考えさせられることが多い。

以前、多湖先生のしつけ本だっただろうか、ころんだ子どもに対して「痛くないわね?」と声をかけなさいというようなことが書かれていてかなり驚いたのだが、その後も色々な経験を経て、気づいたことがある。

これまで私は教室に来てくれる子ども達に対して、先回りして何かをしてあげることがしばしばあった。
ゴミを捨てたそうにしていれば、言い出す前にゴミ箱を出してあげたり、小さい子がひもを結ぶのに苦労していたら代わりにやったり、教室に来てすぐ喉が乾いているらしい子どもが言葉足らずで「お茶」とだけ言ってもお茶を出してあげたり、そんなことは数え切れないほどしてきてしまった。

けれど、それは本当の意味での「やさしさ」などではなかったのではないかと気づいた。
ゴミを捨てたいのであれば、自分で捨てに行く、もしくは「ゴミ箱取ってください」と言わせる。
ひもがうまく結べないのであれば、お手本を見せたり、根気よく待ってあげたりする。
お茶がほしいときにもきちんと「お茶をください」と言わなければお茶を出さない。
そういうことを小さいうちからしてあげることこそ、子ども達が大きくなったときに「礼儀正しい」とか「しっかり躾けられている」とか「賢い」とか評価され、他者ともうまくやっていけるようになるのではないか。

小さい子は「お茶」と言ってお茶が出てくれば、それが当然だと思う。親以外の大人に対しても「お茶」と言えばお茶をもらえると思ってしまうかもしれないし、くれない大人をひどい人と思うようになるかもしれない。

実は、私が子どもの頃、うちの母は「お茶」というと「お茶がどうしたの?」と聞き返し、すんなりお茶を出したりはしてくれなかった。きちんと述語まで言わなければ、要求に答えてくれなかった時期があったことを思い出したのだが、どうやらうちの母親はなかなかできた母だったようだ。

例えば、子どもの靴の紐や服のボタン、ファスナーなどをお母さんなどが代わりにしてあげるのはた易いことだ。けれど、せっかく指先をしっかり使って、その子が賢くなれるチャンスを奪っているのだ。

おまけに、じっと待つことは結構忍耐がいることだ。特に急いでいるときなどは、子どもがするのを待つより親がした方が早いということもあるだろう。けれど、待てずに親が手を貸し続ければ、子どもはなかなかできるようになりはしないだろう。初めに時間をかけることで、その後は親の手を借りずにできるようになっていくはずだ。

最近は一人っ子や、多くても2人兄弟という家庭が多くなったことも、親が子にすぐに手を貸してしまう原因なのかもしれない。大勢の子がいれば、やってあげたくても手が回らないということにもなるのだろうけれど、子どもの数が少なければ、至れり尽くせりで手をかけられるのだろう。

私はこの教室をしながら、子どもにいかにして賢くてステキな子に育ってもらうかということしか考えていない。特に小さいうちは、自分のことを自分でできる。自分の希望をきちんと言葉にできる。そういうことが、算数や国語、英語のお勉強なんかより遥かに大事なのではないかと思っている。というか、そういうことがきちんとできない子どもは結局大きくなってから伸び悩むように思うのだ。

だから最近は、極力手を貸さずに待つようにしている。(それでも癖でつい気を利かせて先回りしてしまったり、手を貸してしまったりするのだけれど。。。)時間の許す限り、励まして見守り続ける。お手本を見せたりすることはあっても、子どもの代わりにやってしまうことはなるべく避けるようにしている。

ただ。。。幼児のレッスンのときや子どもの送り迎えのときのお母さん達の目がまだ時々気になってしまうことがある。
口には出されないけれど、心の中で(先生、そのぐらいやってあげてほしいわ。。。)と思っている方もおられるかもしれない。なんて不親切なんだろうと思われているかもしれない。そんなことが気になるのだ。

同じようにお母さん方でも、本当は待って子どもにやらせたいと思っていても、周囲の目が気になったりして、なかなかそれができないという方もおられるのかもしれない。

けれど、優先すべきは子どもを伸ばす(ステキな子どもに育ってもらう)ことなのだし、「教えない」ということは必要以上に助けないということと同じなのかもしれない、そんなことを思いながら、つい手を貸してしまいそうになるの自分に今日もブレーキをかけるのだ。

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コメント

 こんにちは。手を出さない、自分でさせる、ということは、本当に大事だと思います。ついついやってしまいそうになると、子供に「自分でする!」「お母さんやらんといて」と、叱られています。(苦笑)下の子になると、自分も手が空いてくるので構いたくなるのですが、末っ子長男は必要なときに甘えにきて、あとはさっさと自分でやるのがいいようです。夫に言わせると、「子供なんて一生反抗期だって。僕がそうだから。」なのだそうで、母はせいぜいボケて子供につっこみをやらせる(関西人の基本的会話)ぐらいなもののようです。

投稿: kanachan | 2006年4月26日 (水) 11時34分

kanachanさんこんにちは~。
kanachanさんのお子さん達は頼もしいですね。
「自分でする!」って言うお子さんは安心です。
しかし、ご主人は今も反抗期なんですか?(笑)

投稿: TOH | 2006年4月26日 (水) 13時31分

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