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2006年4月 2日 (日)

小学校のテスト

この前、新中1になる子が小学校の最後のまとめテストの算数を持ってきて見せてくれた。
彼女の話によると、中学の先生だった人が小学校に来て、その先生が作るといつもこんな問題で難しいのだと言う。
見れば、確かに中学校のテストで見慣れた雰囲気のつくりで、およそ小学校のテストには思えないものだった。

まあ、それは別に構わない。小学校のテストはいささか簡単過ぎて、中学校に行くと問題の量や難しさに戸惑う子も少なくないであろうことを考えれば、小学校の間にこんな問題をやらされている彼女達はある意味ラッキーなのかもしれない。

しかし、3枚に渡るまとめテストを見ながら、なんだかため息をつきたくなった。

うちの教室に来てくれている子のほとんどは本当に誰が見ても平均以上に算数がよくできる。(他の教科は直接指導していないのでわからないけれど。)中には、ブログにしばしば登場するようなスーパーな子達も少なからずいる。
けれど、その子たちの殆どが学校の算数は嫌いだというのだ。

初めにそれを聞いたときは、内心、(え?学校ではできないのかな??)と焦って、理由を尋ねたことがある。すると、ほぼみんな「面白くない」という答えが返ってきたのだ。

念のため「学校の算数はわかるよね?簡単やんね?」と尋ねると、高学年になってから来てくれ始めた一部の子を除けば、ほぼ例外なく「うん、簡単。」そう答える。

面白くないから好きじゃないけど、とりあえずできる。
そういうことのようだったから、中学、高校へと進めば、もう少し面白く感じられることも増えてくるだろうと、よしとしてきた。

しかし、彼女の持ってきてくれたテストを見ながら、(あぁ、こりゃ算数嫌いになる子が増えても当然だわ。。。)としみじみ感じた。

3枚のテストで、多少のケアレスミスはあったものの、意味を理解できていないものはほぼなかった。わかっておいてほしいことはきちんと全てわかってくれていた。なのに、あちこちで減点されているのだ。

例えば、問題を忘れてしまったのだが、ある値の3分の1を求める問題があり、彼女はそれを求めるのに、「×3分の1」ではなく、「÷3」で求めていた。もちろん答えは合っている。しかし減点。
更に、15分は何時間かという問題に式を書かずに「4分の1時間」と答えたら、またも減点。

そんなものがそこここに見受けられた。
学校が教えた通りの解き方ではないから減点ということなのだろう。
しかし、教えた通りに解かねばならない理由はなんだろう?

うちの子達は大抵、2分の1時間だろうが6分の1時間だろうが、時計の文字盤の大きさで考える。少し複雑になった場合でも(例えば10分の7時間とか。。。)まず60分を分けて1つ分の大きさを考え、それを集めるという考え方をする。(10分の7時間なら、60÷10×7で42分)
けれど、それは殆どが頭の中の作業で、プリント上にその計算がかかれることは滅多にない。しかし、大きさ、量としてイメージしている彼、彼女たちに、なぜわざわざ「時間を分に直すときは60をかけて、逆にするときは60で割るのよ」と指導する必要があるだろう。

もちろん、数量感が身についていない子であれば、公式を覚えて機械的に解く必要もあるかもしれないし、学校ではそういう子も少なからず存在するであろうことを思うと、その解き方を指導する必要性もわからないではない。(落ちこぼれを作らないということに重きを置いていると考えれば、どうしてもそうなるだろう。)

けれど、私からすれば、2分の1時間や4分の1時間は時計を思い浮かべた瞬間に答えが出ることが自然なのだ。何かの3分の1というのは、実生活では3つに分けるということに他ならないのだ。
それなのに、そのまま答案に表すと減点されてしまうのが小学校なのだということを改めて思い知った。そりゃあ、できる子達が学校の算数を嫌いだという理由も頷ける。

15分は文字盤全体の4分の1の大きさ。時計を見た瞬間答えが出る。多分その間数秒。
15分は60分のうちの15分だから、15÷60で60分の15。約分して4分の1。少なくとも上の数倍の時間がかかるだろう。おまけに約分を忘れたり、そこで間違えたりすることだってあるだろう。
それを使わなくても解ける子達がその解き方を使わなければならない理由が私にはまだよくわかっていない。

残念ながら、小学校というところはやはり、「できない子を作らない」ことを意識するあまり、「できる子も作らない」指導になっているような気がしてならない。

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