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2006年3月29日 (水)

子どもの残業

先日、久しぶりに大先生のところにお邪魔して、色々有益なお話を伺いました。
その帰り道、大先生の教室で子ども達を指導されている、ベテランだけどとってもキュートなK先生と途中までご一緒させて頂きました。

そのとき、ちょっと気になっていたことを先生にお話しました。
というのは子どもの習い事について。

その教室では特にK式に関しては絶対やらせるな、やっている(もしくは辞めない)子どもは受け入れるなと大先生が一貫して言っておられるのですが、その他の習い事に関しても、きっと色々しているお子さんが多いのではと思ったので、参考にさせて頂きたくてご意見を伺いました。

週のうち大半を習い事で埋められている子どもも最近では珍しくなくなっています。
特に幼児・小学校低学年のうちは、スイミング、英語、お絵かきなどから、体操、ピアノ、バレエ、サッカー、バスケ。。。。。。その上、塾、幼児教室などに通っているというお子さんも少なくありません。

中でも最も気になっているのはお勉強系の教室の掛け持ち。教室を始めてからこれまで出会ったお子さんの数はまだ限られていますが、それでも、正直言って習い事などに忙しいお子さんと、親御さんがある程度以上は習い事はさせないとコントロールしておられるお子さん、もしくは他の習い事はしていないようなお子さんとを比べると、大抵の場合、後者の方がすっとよく伸びるのです。

つい先日、教室に来てくれているお子さんがレッスン中突然「お腹が痛い」と言い出しました。まだ小さい子どもなので、的確に痛みを説明できる訳でもありません。
おトイレに行きたい?と尋ねても首を振り、気持ち悪い?と尋ねても首を振ります。きゅ~っと痛い?チクチク痛い?色々尋ねたところ、ようやく、わき腹の辺りを押さえながら、

「この辺がチクチク痛い。」

そう答えました。
私はそういう方面の勉強は殆ど素人なので、いい加減なことは言えないのですが、実は昔々うちの兄は小学生にして神経性胃炎で入院をした経験があります。そのときふとそのことが頭を過ぎり、尋ねました。

「〇〇ちゃん、ここに来るのしんどくなぁい?この後別のところでもお勉強なんでしょう?もしイヤだなぁと思ったら我慢しなくていいのよ。しばらくお休みしませんか?ってお母さんにお話してあげるから。今日ももうやりたくなかったら無理しなくっていいよ?」

すると、少し考えた後

「もうちょっと頑張る。」

そう答えたのです。
やはりお腹が痛いというのは、実際に耐えられない痛みだったということではないようで、その日それより後にもう一度もお腹のことは口にしませんでした。

多分、ストレスだったのではないかと思っています。本人に自覚があるかどうかもわかりません。けれど、しんどいよっていうSOSだったのではないかと思うのです。
ちょっと涙が出そうになりました。

そのことをK先生にお話すると、K先生も涙ぐんで「可哀想に。。。」と言ってくださいました。
子どもの中にはうまく感情を表現できない子もいて、そういう子のストレスの信号は「お腹が痛い」ということだったりするそうです。

その後、先生に、私がずっとどうしたらいいのかわからずにいたことをお尋ねしました。
沢山習い事をさせている保護者の方には何かおっしゃるのかをお尋ねすると、まずこんなお答えを頂きました。

「何か新しく始めるんだったら、代わりに2つ習い事を辞めなさいって言うよ。習い事は子どもにとって残業です。大人だって残業させられたらイヤでしょう?だから、何かさせるんだったら何かやめなさいって言うよ。」

子どもにとっての残業かぁ、素晴らしい表現だな。。。そう思いながらも、もうひとつの疑問というか悩みというかをお尋ねしてみました。

「沢山習い事掛け持ちさせている方で『子どもが全部やりたいって言うんです』っておっしゃる方いるじゃないですか?そういうのはどうしたら。。。」

すると、こんな答えをくださいました。

「辞めるのがイヤならとりあえず3ヶ月お休みしましょう。だったらいいでしょ?もし3ヶ月経ってまだ行きたいって言うんだったら、それは本当に好きなんだから行かせてあげたらいいけど、大抵は言わないって。」

なんだか目からウロコの気分でした。
そうです、「お休み」なら子どももきっと納得します。

それを聞いて思い出したのです。

私は習い事自体かなり経験が少ないのですが、小学校1年の頃から2年ほどだったか、バレエを習っていた時期がありました。
基本的に体は至って丈夫で病気らしい病気もしたことがないのですが、なぜか小さい頃からよくわからない脚の持病みたいなものがあって、時折脚の腿に筋肉痛とは明らかに違う、だるいようなうまく説明のつかない不快感が襲うことがありました。
その症状が出ると、本当に何もする気になれず、忍耐強いほうだったはずなのですが、母に脚をさすってもらいながら泣いたことも何度もありました。

その症状が出るのは不定期的だったのですが、多少は使い痛みも影響するのか、バレエのレッスンのあった日の晩にはその症状が出ることが多かったのです。
辛そうな私の脚をさすりながら、母まで泣いていたこともあります。生まれたときに死に掛けたので、沢山の注射や投薬をされた副作用なのではと、そんなことで心を痛めていたようです。

それまでも何度か、見兼ねた母にバレエを辞めたらどうかと言われていましたが、好きだったし、何かを途中でそんな形で辞めるのがとてもイヤだったので、何度言われてもうんとは言いませんでした。

しかし、ある晩母がこう言ったのです。

「しばらくお休みしようか?」

その言葉だけは、迷いながらも受け入れることができました。(辞めるんじゃない、お休みするんだ。大丈夫そうだったらまた行くんだ。。。)心の中でそう思って自分を納得させたことを思い出したのです。
それはまだ2年生か3年生での出来事でした。

そして、結局私はその後バレエに戻ることはありませんでした。

きっと、子どもにも子どもなりのプライドやこだわりがあるのだと思うのです。
以前友人が教えてくれた話では、好きではないのがわかっていたのであるお教室をやめさせようと思ったのだけど、お嬢さんは頑として譲らなかったそうです。イヤだけど、途中で辞めるのはもっとイヤだったのかもしれません。

「お休みしよう」は子どもにとって、プライドやこだわりを守りつつ譲歩できる魔法の言葉なのかもしれません。

とにかく、幼少期に自由に遊べる時間を削ってまで沢山の習い事をさせるのは、決してプラスには働かないと思っています。
そして、それを薄々は感じながらも、子どもが辞めたくないというからと、辞めさせられずにいる方もおられるかもしれません。

そんなときに、この魔法の言葉を使ってみてはどうでしょう?
もしかしたら「うん」と言ってくれるかもしれませんよ。

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コメント

ご無沙汰しております。
その節はどうもありがとうございました。

今日はじめてこのブログを知りました(--;
すみません。

ときに
年度替りした3月当初より通常授業に「どんぐり倶楽部」を取り入れ
4月より「実感算数」をはじめる運びとなりました。

チビッコ先生はもっと先を進んでらっしゃるみたいですね。
僕はようやくここにたどり着けました。

少しずつ進んでいこうと思います。

それでもここまで来れたのも先生のおかげだと思っています。

心からお礼を申し上げます。ありがとうございます。

投稿: アフロ | 2006年3月29日 (水) 20時41分

コメントありがとうございます。
私はご紹介しただけで、他には何もしていません。
お礼を言って頂くようなことは何も。
お忙しいとは思いますが、お体に気をつけて頑張ってください。

投稿: TOH | 2006年3月30日 (木) 21時42分

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