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2006年2月18日 (土)

父親のカゲ口、父親の背中(1)

先日ご紹介した斎藤茂太先生の本に「父親のカゲ口を言うな」ということが書かれていました。
それを読みながら、私は深く頷かざるを得ませんでした。

茂太先生は、子どもは親のカゲ口を聞いて嬉しいわけがない、いい影響が出るわけがないというようなことを書いておられ、世のお母さん方がつい言ってしまいそうな(もちろんおっしゃらない方も沢山おられると思いますけれど)

「しっかり勉強しないと、お父さんみたいになっちゃうわよ。」

だとか

「ホントにお父さんはだらしないだから。(頼りにならないんだから。いい加減なんだから。などなど。。。)あなたはあんな風になっちゃダメよ。」

だとか、そういうことをお子さんに向かって言うことの悪影響を述べておられました。

お母さんは確かに大変です。家事に育児に。特にお子さんが小さいうちは自分のプライベートなど存在しないような時期もあるでしょうし、その時期を過ぎても、掃除、洗濯、食事の用意と365日ほぼ休みなく働いている方が殆どでしょうから、ついつい土日などにゴロゴロしている旦那様を見ると、そんな言葉が口をついて出てしまうこともあると思うのです。

実際、うちの父は仕事人間で、家事、育児の一切を母に任せっきりだったようです。おまけに、平日外で働いている分、休日はテレビを見てゴロゴロ、ダラダラ。
そんな姿を見て母は、私がある程度話が通じるようになった頃から、しょっちゅう父親の愚痴を言っていました。

幼い頃私は父親が大好きでした。
なのに、思春期にも重なり、その後延々と休日に家でダラダラしている父しか目にすることもできず、母の愚痴を聞いていた私は、いつの間にか父のことが嫌いになっていました。

本当に長い間、私は父と必要最低限の話しかしませんでした。かろうじて挨拶をする。話しかけられたら最低限の返事だけする。今思えば考えられないほど冷たい態度を取っていました。

それでも父はそんな私を一度も叱ったことはありませんでした。ただ静かにその状況を受け止めていてくれました。

私のその態度は大学になっても続いており、母の愚痴も相変わらずのものでした。
家ではひたすらダラダラしている(ように見える)父。いつも忙しそうにしている母。それを見る子どもとすれば、母の言い分に肩を持ってしまうのです。

父さんは頼りない。父さんは子どもみたい。。。

ずっとそう思っていました。

就職したとき、ほんの少しだけ意識が変わりました。
父親は、娘にあんなにも冷たい態度を取られながらも、文句ひとつ言わず、こうしてずっと仕事を頑張って私たちを養ってくれていたんだなと気づいたからです。

それでも、母の態度が変わることもなく、もうその頃には10年もそんな態度を取り続けてきていただけに、急に変わることはできませんでした。嫌いではなくなった。少し感謝できるようになった。その程度の変化でしかありませんでした。

結局、その心配は無用に終わりましたが、若い頃真剣に思っていました。「結婚式で父親に感謝の言葉なんて言えない。。。どうしよう。。。」と。

自分の気持ちに嘘が付けない性格なので、思ってもいないことを口にする自信はありませんでした。一時そんな話があったりもして、そのときには内心結構真剣に悩んだりもしたものです。

その後、震災に遭い、父の愛情を感じ、ちょうどそのタイミングで叔父がくれた言葉がようやく私の目を覚まさせてくれました。
(つづきます)

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コメント

母親って、父親の悪口を言うようにできているのでしょうか。

私の父は、周りの人からとても信頼され、愛される人でした。私も父が大好きで、思春期も成人してからも、一度も父を嫌いだと思ったことがありません。本当に自慢の父だったのです。

でも、母は、そんな父の悪いところばかりを口にしていました。父が癌になってからも別にやさしくなるわけでもなく、親戚の前で、「タバコばっかりすってるから癌になんてなったんだよ。」なんて冷たく言っているものですから、ついに切れて、大泣きしながら母親と喧嘩したことも・・・。

父は2年前に他界してしまいました。今でも寂しくて、恋しくて仕方ありません。最後の言葉すら聴くことができないほど、あっけない最後でした。でも、思うのは、父が最後に私に何か言うとしたら、「お母さんを頼む」だっただろうな~と言うことです。わかってはいても優しくできないんですけどね・・・。

なんだか、自分のことをつらつらと書いてしまいました。ごめんなさい。続きも読ませていただきます。

投稿: アオ | 2006年2月18日 (土) 20時15分

アオさん初めまして。
コメントありがとうございます。

アオさんのお父様は素晴らしい方だったのですね。
目に見えるお父様に会うことはできないのかもしれませんが
お父様はずっとアオさんの側で見守っておられると思います。

ではこれからもどうぞよろしく。

投稿: TOH | 2006年2月19日 (日) 10時27分

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