« 言い知れぬ恐怖・追記 | トップページ | 違和感(4) »

2006年2月14日 (火)

念のため

以前から「読書感想ブログ」の方では何度か書かせてもらった気もするのですが、もしかするとこちらしか読んでおられない方もおられるかもしれませんし、誤解のないよう、念のためもう一度書かせて頂こうと思います。

今では教育関係者、小学生までのお子さんを持つ親御さんで知らない人はいないのではというほど有名になられた陰山先生。
先日、先生の支持者達が集っておられるらしい掲示板での議論を目にし、思わずブログに感想を書いてしまったところ、思いがけず糸山先生のサイトでご紹介頂き、このところ、どんぐりさんからいらしてくださっている方も結構おられるようです。

もしかすると、陰山先生の掲示板の関係者の方も読んでくださっているかもしれませんので、尚更きちんとお伝えしておこうと思いました。

私は陰山先生の山口小での実践報告を初めて本で読んだとき、本当に素晴らしいと思いました。
学校だけに留まらず、地域ぐるみでの実践。当然家庭でも親御さんたちが一所懸命朝から食事を作り、早寝早起きをさせ、挨拶をさせ、そんなことをやり遂げた結果、子ども達が伸びたという報告は本当に素晴らしいと思いますし、それを続けるには相当の努力が必要だったに違いないと思います。けれど、それをやれば間違いなく子どもは伸びるだろうなと、それは本当に心からそう思っています。
(そのあたりは恐らく、こだま先生も同じようなことをお感じなのではと思いました。)

陰山先生の実践をトータルで採り入れ、実践されるのであれば、恐らく多少100マスをやったって、さして害はないのかもしれないとも思うのです。実際、私達が子どもの頃にも計算ドリルは存在しましたし、ある程度は反復もさせられていましたから、100マスだって、1日1枚程度なのであれば、強烈な副作用が出るということもないのかもしれません。(もちろんそれも個人差があるとは思いますが。)

ただ、まだ書き終えていませんが、「違和感」というブログで書かせてもらっているように、小学校の先生方はとてもお忙しい。その分、手軽に導入できる100マスや漢字学習の前倒しなど、反復を必要とする部分だけを導入している先生もおられるような気がするのです。(子ども達の話を聞いていても、100マスをやっている先生は結構おられるようですし)

おまけにご家庭でも、書店で手軽に購入でき、メディアでは効果だけが紹介されているとなれば、他の実践は抜きにしてそれだけをやらせているということもあるのではないかと思うのです。

だとすれば、結局、私は最も恐れている「機械的反復学習」でしかなくなってしまうのではないかと、そのことを危惧しているのです。

学校での学習内容はかなり削られ、簡単になってしまったことは多くの方が知っている通りです。単純計算を鍛え、反復で漢字を覚えこみ、音読をさせていれば、恐らく小学校の間はある程度テストでも点が取れ、表面上問題が見えてこないということもあるのだと思います。
また、1クラスに30人、40人の子がいるのですから、優秀な子をより伸ばすということよりも、落ちこぼれを出さないことを優先した授業計画がされていてもなんら不思議はありません。
そういう意味では恐らく「100マスは効果がある」という結論になるのかもしれません。

落ちこぼれは減らせるかもしれませんが、そのかわり、伸びるはずだった能力を潰されていても、それを証明する方法がない限り、先生や学校の責任は問うことは困難でしょう。そこが何よりも怖いのです。

陰山先生は講演などで100マスのことは殆どお話されないというようなことを読んだような気がします。仮にそうだとしても、先生のことを知っている大人に「陰山先生といえば?」と尋ねれば、かなりの確率で「100マス計算の人」という答えが返ってくるのではないかと思うのは私だけなのでしょうか?

ご本人の意図と違った状況になっているのかもしれませんし、先生ご自身は100マスを推奨しているのではないのかもしれません。
けれど、もしそうだとしたら、もっともっと先生ご自身が「私はそんなこと言っていない。トータルの実践なしに100マスだけをやったって効果は望めない。」ぐらいのことを言って下さってもいいのではと思うのです。
ご自分がどれだけ有名になっておられるか、影響力がどれだけ大きいか、そのことをもっとしっかり感じて頂きたいと思うのです。。。

とにかく私は、子どもの無限の可能性を潰す危険のあることは、極力避けるべきだと思っているというだけのことで、特定の誰かを非難しているのでもなく、活動を妨害しようとしているのでもありません。

陰山先生を支持する方は先生の実践全てを支持し、実行してほしい。手軽な部分だけ取り出して、それだけを反復させることは危険だと知っていてほしい。
それが私の今の気持ちです。

|

« 言い知れぬ恐怖・追記 | トップページ | 違和感(4) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 念のため:

« 言い知れぬ恐怖・追記 | トップページ | 違和感(4) »