為末大さん
昨日の深夜(正確には今日のですね)テレビをつけていたら、ある番組のゲストが為末大さんでした。
その番組は何曜日の何時からあるのかもよく覚えておらず、遅い時間にテレビをつけていると時々見かけるという感じで、TOKIOの国分くんとイノッチが司会をし、30代前後の著名人をおひとり毎回ゲストに招いてトークするというものです。
そこに、初めて彼らより若いゲストとして為末さんが登場しました。
為末さんは皆さんご存知だと思いますが、陸上のハードル競技で日本人初のメダルを獲得した方です。現在27歳。
以前何かの番組で、彼がひとりでトレーニングを積んで、食事なども自分で作って管理している様子を見たことがあり、すごい人だなぁと思っていました。
ですので、普段はただついているだけということも多いのですが、ちょっと見入ってしまいました。
そして、見終わった感想は「凄すぎる」のひと言でした。
彼の話は最初から最後まで凄かったのですが、まずひとつ目は、世界レベルの選手が皆そうなのかどうかはわかりませんが、彼が言うにはオリンピックに出る選手は「何月何日の何時」というピンポイントにピークを持ってこなければならないので、そのためのスケジュール管理は「前日の何時に寝て。。。」に始まる計算が緻密になされ、そのスタートの日がオリンピックの翌日だというのです。
それを聞いて、国分くんが私の代わりに言ってくれました。
「オリンピックの翌日はお休みじゃないんですね?もうそこから始まるんですね?!」
為末さんは当たり前のように返事をされました。本当に驚きです。世界の頂点を目指すというのはそういうことなのだなと、世界の凄さを感じました。
彼の凄さはまだまだありました。
彼はもともと短距離で中学生の頃から既に素晴らしい選手だったそうです。世界大会で400Mの4位になったこともあるそうなのですが、彼はそのとき、世界1位との差があまりにも大きくて、これから30歳ぐらいまでの間に努力したらその差を詰めることはできるのだろうかと考えたそうです。
そのとき、同じ大会でハードル競技を目にし、「これなら世界一が狙えるかも」と感じて、高3でハードルに転向したというのです。
もともと400Mで世界大会の決勝まで進んだ高校生が考えることが、この競技では世界一にはなれないから別の競技にということだったということに心から驚きました。
更に、そのためのトレーニングについて話していたとき、「もっと速くなるためには、例えば体重はそのままで、腕のこのへんの筋肉の2%を足のこの辺に移すとか、そういうことも。。。」という表現が出ました。
腕の筋肉を落として足につけるとか、そういうことは理解できます。ただ、その緻密さが、腕でも特定の、ごく限られた一部の筋肉を落とし、代わりに足のやはり限られた一部にと、1%単位で計算してトレーニングするなんていうことは想像したこともありませんでした。
ここでもやはり「世界レベル」の凄さを感じました。
この前のオリンピックで2つ目の銅を獲得したときのレースの話も素晴らしいものでした。
その年はオリンピックまでに色々な世界大会などを転戦していたそうですが、結果は全く芳しくなかったそうです。正直言ってこのオリンピックでメダルが取れるなんてことはそれまで全く考えていなかったと。
実際の競技でも予選の結果はよくなく、コース的にメダルが取れる可能性は極めて低かったのだそうです。
しかし、その日、天候が荒れ、雨でコースコンディションも悪く、その状況を見たときに彼は思ったそうです。「もしかしたら。」と。
その理由がまた素晴らしかった。
その決勝には、珍しく若い選手ばかりが残っており、彼は8人中最年長だったのだそうです。
若い選手は経験が浅いため、天候を考慮し、さまざまな計算をした上でのレース運びは難しいはずと、自分が若い頃にそういう天候のとき一番されたくなかった戦法で決勝に臨んだそうです。その結果が銅メダル。
彼は陸上競技を引退したら、経営者になりたいそうです。(何の経営者になるかはまだ考えているところだそうですが。)
けれど、間違いなく彼はものすごく頭のいい人だと思います。何をやっても成功するだろうなと、見ていてそんなことを思っていました。
「侍ハードラー」と呼ばれる彼。
その呼び名が妙にぴったり来る、本当にかっこいい人だなと、改めて感じさせてくれた番組でした。
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