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2006年1月28日 (土)

くらべる量ともとにする量

今、5年生は学校で割合を習っているか、そろそろ終わったかという時期。そして、割合は速さと並んで苦手な子がとても多いところです。

個人的には、公式を覚えさせようとすることが諸悪の根源なのでは?と思っており、それに近いことは私が言うまでもなく、とっくの昔に糸山先生やこだま先生、城内先生などなど素晴らしい先生方がおっしゃっているかと思います。

今日、一緒にレッスンするようになって3ヶ月目の5年生の子達と割合の学習をしていました。
学校では割合をほぼ習い終えようとしているところ。因みに彼らは4年生の1年ほど関西の中学受験塾御三家といわれるうちのひとつに通っていたとのことで、そこでも一度習ったそうなのです。

でも、プリントをやらせてみると非常にあやしい。手が出ていないところも沢山あるし、答えを書いているところにもあり得ないような答えがいくつも見受けられます。

2人一緒にレッスンしているのですが、2人の性格はかなり違っていて、ひとりは学校で言われたことを忠実に覚えて使おうとするタイプ。もうひとりはそれが苦手なタイプ。学校では前者は好成績を修め、後者は今ひとつという状態のようです。

後者の子が素直に言いました。
「割合わからないから教えてください。」

私は、それはダメという方もおられるかもしれませんが、中学以降で活かせるであろう考え方は教えますが、公式は教えません。
当然、私の説明には「くらべる量」という言葉も「もとにする量」という言葉も出てきません。

そもそも、その言葉ってわかりにくくないですか?私だけでしょうか?
意味を考えたらわからなくはないけれど、どっちがどっちかわからなくたって問題の意味を考えれば解けるのですから、教える必要性を感じないのです。

そこにもうひとりの子が尋ねました。
「せんせ~、どっちがもとにする量ですか?」

それさえわかれば公式を覚えているから解けるというのです。
それを「解ける」というのでしょうか。

もちろん、彼は何にも悪くありません。学校では当然、恐らく多くの塾でも「くらべる量÷もとにする量=割合」とかいう公式を覚えるように言われるのですから。そして、きっと先生によっては「覚えて当てはめなさい」という指導をするのですから。。。

例えばこんな問題がありました。

「定価2000円のぼうしを1800円で売ることにしました。定価の何%にしたのでしょう。」

わからないから教えてといった子にまず尋ねました。
割合で使う計算は+、-、×、÷のうちどれ?と。それはちゃんとわかっていて、「×と÷だ」と答えました。

次にこう尋ねました。
2000円が1800円になったら、これは100%より多いの?少ないの?と。
これも間違えずに「少ない」と答えました。

そこで彼に言いました。この問題で使える数字は2000円と1800円しかないよと。答えは100%より小さくならなくてはいけないのですから、できることは決まってしまいます。

こんな問題もありました。

「庭の面積は48㎡です。庭の0.75がしばふです。しばふの面積は何㎡でしょう。」

これも間違えていた彼に長方形の図を描いて尋ねました。
これが庭だったら、しばふはどのぐらい?と。
彼はなんとなくですが、ちょうど4分の3ぐらいの広さのところに線を引きました。

そこでもう一度言いました。使える数字は48㎡と0.75だけだよと。
面積と割合は足したり引いたりできる?と尋ねると、「ううん」と。そして、求めたい面積は48㎡より狭いことを図でわかっているのですから、それ以上は言わなくても答えを出してくれました。

そんなやり取りを何度かすると、後は自分で考えられるようになっていきました。

私はただの一度も「くらべる量」や「もとにする量」という言葉を使っていませんが、使う必要を感じないのです。。。

そんなやり取りをしているのに、隣りでは頑なにもうひとりの彼がまだどっちがもとにする量なのかに拘っていました。

彼は何にも悪くない。だけど、このままでは彼は近い将来壁にぶつかるでしょう。
まだなんとも言えませんが、彼ら二人を知る人はほとんどみんな、前者の彼より後者の彼の方が賢いと思っているでしょうし、本人達もそう思っているのではないかと思います。

けれど、私は後者の彼の方が不安なのです。

二人とも本当に可愛くていい子達です。
なんとしても中学に上がるまでに「考える力」をつけてあげたい。そう思っています。

それにしても。。。「くらべる量」や「もとにする量」って言葉は使わなくちゃ、今後何か支障があるんでしょうか?少なくとも私はまだ感じたことがないのですが。。。

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