今日少し切なかったこと
今日のレッスンでちょっと切ないことがありました。
低学年の女の子で、わざと乱暴な言葉を使ったり、やんちゃしたりして、自分を見てもらいたいと思っているのではと感じる子がいます。
それと別に彼女は、まるで正反対のことのようですが、ふざけることで大人を笑わせて、怒られないように自己防衛しているようにも感じることがあります。
とても可愛い、いい子なのですが、性格的にどうも落ち着かないのはどんな要因があるのだろうということがずっと気になっています。
少なからず家庭での親御さんの接し方による影響があるはずとは思うものの、そこまで踏み込むこともできず、日頃からもどかしく思っているのです。
そんな彼女に今日可哀想なことをしてしまいました。
彼女のお母さんはとても礼儀正しく、子育てにもとても熱心で本当に色々とお勉強されておられ、素晴らしい方なのです。それは本当に。
けれど、恐らく私への気遣いもあってだと思うのですが、レッスンの終わりにお迎えに来られると、普段でもとにかく「早くしなさい」、「きちんとしなさい」と何度も口にされるのです。
私はいつも「いいですよ」、「大丈夫ですよ」とお声をかけるものの、やはり遠慮されているのでしょう。必ずのように彼女はお母さんに急かされます。
まだ2年生の小さな女の子ですから、何でも大人の思うようにさっさとはできません。だから必死でやっているのがわかります。なのに、雑になると「きちんと」と、正に多湖先生のご本に書かれている例そのままを求められます。
お母さんが悪い訳ではないのです。私がもっとはっきり、急かしちゃダメって言わなければならないのだと思うのです。その辺りが私のまだまだダメなところです。
しかし、今日のことは後悔しています。
私の教室ではレッスンが終わった後、小さい子達には飴をあげます。缶に入っている中から好きなのを選ぶことは、こんなにものが溢れている今の子達でも意外なほど喜びます。
そして、今日のレッスンが済んだとき、彼女に飴の缶を差し出しました。
すると彼女は、小さな声ですがきちんと「ありがとうございます」と言ったのです。そんな子は滅多にいません。(「ありがとう」という子はいますが、大変喜んでもらってはくれるものの、お礼を言わない子もいます。)
内心、かなり感動していました。えらいなぁと思っていました。
ちょうどそのとき、彼女の後姿を見ていたお母さんがおっしゃいました。
「○○ちゃん、何してるの。早くしなさい。」
彼女が言いづらそうに、「これ。。。」と飴の缶を指差したところ、お母さんがおっしゃいました。
「なんて言うの?ちゃんと、ありがとうございますって言いなさい。」
彼女は言い返せず、お母さんに言われるままにもう一度言いました。
「ありがとうございます。」
彼女がそれを言う前に私はお母さんに言わなければならなかったはずです。彼女はちゃんとお礼を言ってくれましたと。なのに、一瞬の躊躇いが彼女に先を越され、そのまま私はお母さんに何も言えずに彼女を見送ってしまいました。
本当に申し訳ないことをしてしまいました。
やっぱり私はまだまだです。今日は自分の弱さを悔いています。
○○ちゃんのお母さんはこちらを読んではおられないと思いますが、書かせて頂きますね。
彼女はちゃんとお礼を言ってくれました。それは間違いなくお母さんの躾がきちんとされているからです。素晴らしいと思います。彼女は沢山のことができます。いいところが沢山あります。彼女が今よりもっと伸びるために、もっともっと褒めて、彼女に自信を持たせてあげてください。
でも、私は本当にお母さんのことを素晴らしいと思っています。間違っていると責めているのではないのです。それは本当です。
これを読んでくださっているお母さん方へ。
私は子育てもしたことがありませんし、育児の大変さは想像でしかわからないものの、私にはとてもできないかもしれないとさえ思っています。だから、本当にお母さん方のことは尊敬しているのです。
だからこそ、経験もない私が偉そうなことを言ってもいいものかと迷います。
けれど、より素敵なお子さんになってもらいたいから、まだ限られた経験からですが言わせて頂きます。
もしお子さんが、明らかにふざけてだらだら、ぐずぐずしているのであれば、それは「早くしなさい」と言ってもいいのかもしれません。
けれど、そうでない限り、うんと辛抱して見守ってあげてください。応援してあげてください。上手にできたときにはうんと褒めてあげてください。
これまで出会った子ども達とそのお母さん方を見ていて、お母さんは朗らかで大らかにおられるのが一番だと感じています。
どんなに子育てに熱心で、一所懸命勉強され、努力されておられるお母さんでも、いつもニコニコしていて、優しく子どもを見守っておられるお母さんにはかなわないような気もするのです。
実は、幼い頃のことなのであまり覚えてはいませんが、うちの母親はどちらかといえば「早くしなさい」、「きちんとしなさい」、「それはダメでしょ」、そんなことを連発していたように思います。
そのせいかどうかはわかりませんが、兄は几帳面で神経質な人間に育ちましたし、実は私も以前は相当神経質な人間だったのです。こう見えて、小さい頃は遠足などの前には「行った先でトイレがなかったらどうしよう。。。」「バスの中でトイレに行きたくなって我慢できなくなったらどうしよう。。。」「あれも持っていかないと困るんじゃないかな。。。」そんなことばかり考えて、集合時間が近づいてくるとお腹が痛くなるような子どもでした。そして、結局今でもずっと出不精で、新しい環境に身を置くのはとても苦手です。
そんな風に育って得することは殆どないように思います。
今日は自分を反省すると共に、お母さん方にもう一度、お子さんへの接し方を意識して頂けたらなと思って書かせて頂きました。
何か感じて頂けたら嬉しいです。
| 固定リンク
« 自分を辿る(1) | トップページ | 春の七草 »
コメント
生徒さんのこと本当に真剣に向き合っているんですね。
その気持ち、きっと親御さんにも伝わりますね。
投稿: 新潟 フリースクール 寺子屋ありがとう | 2006年1月 7日 (土) 22時53分
コメントありがとうございます。
そうでしょうか。。。
まだまだです。がんばります。
投稿: willseeds | 2006年1月 8日 (日) 10時47分