2006年5月 9日 (火)

「国家の品格」 藤原正彦著

話題の1冊を私も読んでみました。

「国家の品格」 藤原正彦著 新潮新書

評価 ★★★★★

実は何度も白状しております通り、私は文字が小さくて難しそうな雰囲気の本はとても苦手です。新潮社とか岩波書店とかの新書は私の中で「難しそう」というイメージがあり、普段書店に行ってもあまり近づかない場所でもあるのです。

でも、先日たまたまテレビだったかでこの本のことを耳にし、ちょっと気になったので読んでみることにしました。

著者の藤原先生は数学者でおられるそうですが、この本に関していえばご専門とは直接関係のない内容です。恐らくとんでもなく頭のいい方だと思うのですが、幸いこの本自体は講演記録を元に手直しをされたとのこと。私でも読み切ることができました。(しかし、ご専門が数学というのに、日本の古典文学から海外文学、国内外の歴史など、あまりに広い知識をお持ちで、とにかく感心しっぱなしでした。)

感想をひと言でいうと、私はかなり好きな本です。
さすがに数学者でおられるので、内容はとても理路整然として読み易く、論理や既存の社会を単に否定するのではなく、それを受け止め、ある部分で認めた上で、「武士道精神」を復活させるべきだと述べておられます。

ここでいう「武士道精神」とは、戦うことではなく、「慈愛、誠実、忍耐、正義、勇気、惻隠、名誉、恥」などの意識をさしているようです。(本文で新渡戸稲造の「武士道」と紹介されていて、書店でそれが現代の文に訳されて文庫になっているのを見つけたので、つい購入してしまいました。)

弱いものイジメを「卑怯」と感じる心も著者のいう「武士道精神」に含まれるようですが、この本を読めば確かに「日本」や「日本人」に誇りを持てる気がします。(テレビでこの本を取り上げていたとき、街頭インタビューに答えている人たちがそんなことを言っていたのが印象に残っていました。)

この本が売れているというのは喜ばしいことのように思います。一人でも多くの日本人がこの本を読み、自分より弱いものを思いやる気持ちを持ってくれたら、世の中はもっともっと住みやすくなるに違いないと思います。

また、他に印象的だったのが、天才を生む土壌に共通していることのひとつに「美の存在」があるということでした。大天才を生んでいる土壌には共通して美しい風景や建物などが存在するというのです。また、様々な分野において「美的感覚」が非常に重要だとも述べておられます。なんだか興味深いですね。

とにかく読んでみて頂きたい1冊ですが、またまた気になる人物が増えてしまい、私の読みたい本はどんどん増える一方です。。。(苦笑)

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2006年1月23日 (月)

「齋藤孝のイッキによめる!名作選 」(2年生)

先日に続き、今回は2年生版のご紹介です。

「齋藤孝のイッキによめる!名作選 」(2年生) 講談社

評価 ★★★☆

これがまた、非常に微妙なのですが、1年生版では1ページの行数が10行だったのですが、2年生版では11行になります。
本当に若干文字が小さくなりますが、それでもまだかなり読みやすい大きさで、行間もたっぷりなので、読むのが苦手な子でもなんとか頑張れそうです。

2年生版のラインナップもまたバラエティーに富んでいます。
作家名で言えば、星新一、宮沢賢治、村上春樹、新美南吉、オー=ヘンリー、与謝野晶子(!?)など。
(すみません。。。与謝野晶子さんって歌人だと思ってました。。。)

アンデルセン童話や落語の「まんじゅうこわい」も収録されていますね。

2年生という学年は本当に意識する必要はないのではないかと思います。恐らく大人でも楽しめます。というか、どちらかといえば、村上春樹の短編など(本当に本当に短いのですが)、2年生の子が読んだらどう感じるのだろう?と思います。

本好きな子でも、どんな本を読んだらいいか迷うようなときには、まずこれを読んでみて、お気に入りの作家がいたら、その人の本を読む、そんな風にも使えそうです。

ちなみにもちろんこれにも、それぞれの物語の後にはクイズや齋藤氏の解説はついていますが、そのあたりは必要なら読む、必要なければ飛ばす、そんな感じでよろしいのではと。

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2005年12月25日 (日)

「百人一首 くもんのまんがおもしろ大事典」小杉 彰著

季節的にもいいのではと思い、今回はお子さん向けの書籍をご紹介します。
(心情的に若干ご紹介を躊躇うところがあるものの、よいものはよいのですからご紹介することにします。)

「百人一首 くもんのまんがおもしろ大事典 

小杉 彰著 くもん出版

評価 ★★★★ (お子さんに百人一首を知ってもらうにはという評価です。)

私の教室には児童書も少しずつ増やしていっているのですが、この本に関しては既に何人かの子が「貸して!」と言って借りて帰りました。

学校によっては冬休みに百人一首を練習させるところもあるようですし、小学校ではなくても、中学でそれをするところは今でも結構あるように聞きます。

この本では百首それぞれ、絵札の写真と歌、作者名、作者についての簡単な紹介、歌の意味(所謂現代語訳のようなもの)の紹介と共に、その歌が詠まれたときの背景をまんがで紹介しています。

間あいだでは、百人一首かるたでの遊び方やかるたの歴史なども紹介されています。

大人が読んでも案外楽しめるかもしれませんし、中学生になって和歌や短歌を習うまでに読んでおくと役に立つこともありそうです。(時間を見つけて私も一度きちんと読んでみたいと思ってはいるのですが、なかなか。。。)

お正月などに百人一首をされるとき、お子さん達が歌の意味も全く知らないままやるよりは、なんとなくでも内容がわかった方が楽しめるのではないかとも思いますので、そんなときには役に立ちそうな1冊です。

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