「国家の品格」 藤原正彦著
話題の1冊を私も読んでみました。
「国家の品格」 藤原正彦著 新潮新書
評価 ★★★★★
実は何度も白状しております通り、私は文字が小さくて難しそうな雰囲気の本はとても苦手です。新潮社とか岩波書店とかの新書は私の中で「難しそう」というイメージがあり、普段書店に行ってもあまり近づかない場所でもあるのです。
でも、先日たまたまテレビだったかでこの本のことを耳にし、ちょっと気になったので読んでみることにしました。
著者の藤原先生は数学者でおられるそうですが、この本に関していえばご専門とは直接関係のない内容です。恐らくとんでもなく頭のいい方だと思うのですが、幸いこの本自体は講演記録を元に手直しをされたとのこと。私でも読み切ることができました。(しかし、ご専門が数学というのに、日本の古典文学から海外文学、国内外の歴史など、あまりに広い知識をお持ちで、とにかく感心しっぱなしでした。)
感想をひと言でいうと、私はかなり好きな本です。
さすがに数学者でおられるので、内容はとても理路整然として読み易く、論理や既存の社会を単に否定するのではなく、それを受け止め、ある部分で認めた上で、「武士道精神」を復活させるべきだと述べておられます。
ここでいう「武士道精神」とは、戦うことではなく、「慈愛、誠実、忍耐、正義、勇気、惻隠、名誉、恥」などの意識をさしているようです。(本文で新渡戸稲造の「武士道」と紹介されていて、書店でそれが現代の文に訳されて文庫になっているのを見つけたので、つい購入してしまいました。)
弱いものイジメを「卑怯」と感じる心も著者のいう「武士道精神」に含まれるようですが、この本を読めば確かに「日本」や「日本人」に誇りを持てる気がします。(テレビでこの本を取り上げていたとき、街頭インタビューに答えている人たちがそんなことを言っていたのが印象に残っていました。)
この本が売れているというのは喜ばしいことのように思います。一人でも多くの日本人がこの本を読み、自分より弱いものを思いやる気持ちを持ってくれたら、世の中はもっともっと住みやすくなるに違いないと思います。
また、他に印象的だったのが、天才を生む土壌に共通していることのひとつに「美の存在」があるということでした。大天才を生んでいる土壌には共通して美しい風景や建物などが存在するというのです。また、様々な分野において「美的感覚」が非常に重要だとも述べておられます。なんだか興味深いですね。
とにかく読んでみて頂きたい1冊ですが、またまた気になる人物が増えてしまい、私の読みたい本はどんどん増える一方です。。。(苦笑)
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