2007年3月15日 (木)

「ふしぎだね!?ADHDのおともだち 」

以前から順にご紹介しているシリーズの4冊目です。
バタバタしている間にどうやら6冊目か7冊目まで出ているようですね。まだ私はこの次までしか購入できておりませんが・・・。

ふしぎだね!?ADHD(注意欠陥多動性障害)のおともだち 」

内山登紀夫監修 ミネルヴァ書房

評価 ★★★★

個人的に、ADHDという言葉を耳にするようになったのは、ほんのここ数年という気がしますが、今ではかなり広く知られるようになっているようですね。

ADHD(注意欠陥多動性障害)という長い名前に表されている通り、注意力・集中力に欠け、じっとしていられない、しゃべりすぎる、そして、出し抜けに何かをしてしまうというような特徴を持つ障害のようです。

これまでのシリーズと同様、第1章では実際に起こりがちな事例を5つ挙げ、それぞれの場合にどのような働きかけが有効か、周囲はどのような対応をするのが望ましいかなどがわかりやすく紹介されています。(もちろん、子どもにもわかるような表現で。)

挙げられている事例は

①わすれものが多すぎる
②あちこち歩き回る
③また約束をすっぽかした
④教室からいなくなる
⑤休み時間にけんかしてばかり

もちろん、障害のない子でも上述の傾向のある子はいるかもしれませんが(特に忘れ物など・・・)、ADHDの特徴としての上述の例を挙げてあり、どうしてそうなってしまうのか、どう接すれば(指導すれば)よいのかなどが具体的に書かれています。

その後、第2章は「ADHDって何?」と題して、具体的な障害の内容などについての説明がされています。

ただ、その中にこう書かれているところがあります。

 「注意欠陥」か、「多動性・衝動性」の2つ、またはそのすべてが7歳までにあらわれて、その状態がずっと続いていると、ADHDと診断されます。ただし、ADHDの特徴は、だれでも同じようにあらわれるものではないので、専門家でも簡単には判断できません。

また、原因もはっきりとはわかっていないようです。
第2章は特に大人の方でも十分参考になるところがあるように思いますし、お子さんだけでは読んでも少し内容が難しいところもあるかと思いますので、親子で一緒に読んでみられてもいいかもしれませんね。

ADHDが原因でいじめにあった子の例なども紹介されていますが、確率的には30人学級に1、2人いるというほどの確率だそうなので、そうであれば、みんなが正しい理解をしておくに越したことはないのではと思います。(不必要な争いが起こらずに済む、いじめが起こらずに済むなど。)

きっと図書館などにも置かれているのではと思いますので、一度読んでみられてはいかがでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年12月11日 (月)

「ワイス博士の前世療法」 ブライアン・L・ワイス著

最近は本の購入は専らネット書店になっているのですが、実際に見ないとわからないものなどは書店の店頭で色々見てみることもあり、この本は表紙の写真に惹かれて買ってしまいました。

「ワイス博士の前世療法」 ブライアン・L・ワイス著 PHP研究所

評価 ★★★★ (本来の目的とは違うのですが、よく眠れます。)

随分以前に、飯田史彦氏の「生きがいの創造」などをご紹介しましたが、初めてそれを読んだ頃、同じく友人に勧められて、ワイス博士の「前世療法」の本を読みました。

このとき、とても印象深かったのが「退行催眠」の話で、もともと何かのトラウマや恐怖症などを治療する際、「催眠療法」が用いられることがあるそうなのですが、博士がその治療中、ある患者がトラウマの原因になっていることが何かを探るため、催眠療法を施していたとき、原因となった時点まで遡るよう指示したところ、今の人生とは違う、遥か昔に遡って、そのときの記憶を鮮明に語り始めたという経験をされたそうです。

それがきっかけで様々な研究を重ねてこられたようですが、この本は「瞑想CD」なるものがついており、帯には練習すれば自分で「過去世退行療法」が体験できると書かれています。

前世療法などについて全く知らない方でも、博士のご経験などがまとめて紹介されていますので、これを読めばある程度のことはお分かりになるかと思います。

基本的には幸せに過ごしているのですが、ところどころ、「なんで自分ってこうなんだろう?」と昔から思っていることもあり、そう高い本でもなかったので、ちょっと購入してみました。
読み物の部分は、私は既に読んだことのある内容が殆どでしたので、結局はCD代という感じですが、このCD・・・、なかなか侮れません。(苦笑)

アマゾンなどの書評にも書かれていたようですが、気づけば眠ってしまっているため、まだ一度も最後まで聞き終えたことがなく、(日本語版だと30分強。私にはわからない、博士の声で吹き込まれた英語版だと20分強なのですが)当然ながら過去世を体験するどころの話ではありません。(苦笑)

というわけで、なかなか眠れないという方などにはもしかするとかなりオススメかもしれません。どうも本来の使い方ではないような気がしますが・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年12月 4日 (月)

「天才脳のつくり方」 七田眞著

先日、あるブログで養老先生の「天才脳」の本のことを知り、その本を検索していたとき一緒に見つけたので、注文してみました。
養老先生の方はDVDがついていて、まだ見ていないのですが、こちらは文庫だったので先に読み終えました。

「天才脳のつくり方 七田式右脳開発術 

七田眞著 ぶんか社文庫

評価★★★☆

七田先生といえば、「七田チャイルドアカデミー」や「右脳開発」で有名な方ですが、私の中ではどうもちょっと「アヤシイ印象」が付きまとっていて、先入観で素直に読めない部分もあったように思います。

と言いますのも、幼児教育について詳しい方などはご存知かと思いますが、七田式で学んでいる子どもたちは超能力が目覚める割合が一般の子どもより高いというようなお話を聞くことがあるからです。

しかし、実際に七田先生が書かれた本は読んでみると共感できることが書かれていたり、素晴らしいと思えることが沢山あったりするので、今回もなるべく素直な気持ちで読んでみました。

その結果、右脳開発とか超能力とか言われているものについて、もう少し認識が深まったように思いますし、七田先生がそれを重視しておられる理由も多少は理解できたように思います。

まだ読み終わっていないのですが、今少しずつ読んでいる本に書かれていることと共通するところも多く、また、「前世療法」などの著書で有名なワイス博士のおっしゃっていることと通じるところも多いように感じました。

「右脳開発」と表現しておられますが、「教育」というよりはむしろ、私の認識としては精神世界や自己啓発関連の本と通じるものが多いように感じましたし、そう捉えれば「アヤシイ」と感じていた部分もかなり理解できる気がします。

著書の大半は具体例を交えながら、右脳を開くことで望める効果、瞑想の重要性、丹田呼吸の重要性などが繰り返し書かれていますが、終盤の第七章では「心の持ち方ですべてが変わる」と題し、こちらでは完全に「教育」というより精神世界よりの話が書かれています。
「プラス発想ですべてがよくなる」や「運命をよくする方法を知る」、「心が安らぎで満たされる生き方をする」など、見出しを見ても、それがお分かり頂けると思います。
続く最終章、第八章は「時代が求める人材になる」と題されており、こちらも右脳開発がどうこうというよりは、人との縁を大事にするであるとか、沢山本を読むことが大切であるとかいう話でまとめられています。

私自身はこれを読んで、「右脳開発」に興味は持ったのですが、何しろ無精者の上、現状ではなかなかまとまった時間も取れないので、さて行動に移そう!とはならないのですが、もしこの本に書かれていることが本当で、右脳を開くことでそんなにも世界が変わるのであれば、いつかチャレンジしてみてもいいかなと思ったりもしました。

「右脳開発」にご興味のある方はどうぞ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月13日 (月)

「気になる子がぐんぐん伸びる授業」 品川裕香著

タイトルがちょっと気になったので、ネット書店で注文してみました。

「LD・ADHD・アスペルガー症候群 気になる子がぐんぐん伸びる授業―すべての子どもの個性が光る特別支援教育」
高山恵子監修 品川裕香著 
小学館

評価 ★★★☆ (私にとってはこの評価ですが、学校の先生などには多分オススメです。)

今、自分が関わっている子に直接LDやADHD、アスペルガー症候群などのある(またはそう診断された)お子さんはいないのですが、少し以前からちょっと勉強してみたいと思っているところでもあるので、タイトルにも惹かれて注文してみました。

しかし、「授業」と言えば一般に学校のことで、本の構成としては学校現場において先生方が遭遇しそうな場面を細かく事例に挙げ、それぞれの場合の望ましい対処法や避けるべき言動などをわかり易くかなり具体的にまとめてあります。

そのため、学校の授業で30人なり40人なりの子どもたちの中にそういう障害の可能性のある子や実際にそう診断されている子がいる場合の教師の対処の仕方としては大いに参考になると思うのですが、さて、私に何か参考になるかというと、残念ながらあまり参考になるところはありませんでした。

また、ひとつひとつの事例に関するアドバイスが4コママンガの部分を含めて3ページ程度でまとめられているため、わかりやすい反面物足りないところもあるような気もしなくはありません。ただ、現場の先生方はきっととてもお忙しいでしょうし、そういう意味ではシンプルに要点だけをまとめられていて、かえって便利なのかもしれません。(そのあたりのことはちょっと判断がつきません。)

因みに、著書の初めに但し書きがあるのですが、もともとこの原稿は「小六教育技術」への連載原稿に加筆修正されたものだそうで、主に小学校高学年の児童を念頭において書かれているそうです。(教育技術という言葉にちょっと反応してしまいました・・・)

第1章は気になる子どもに対しての対処事例、第2章は同僚の先生など、教師に対する働きかけなどの事例、第3章は気になる子どもの保護者への働きかけの事例という構成になっています。

調査によると、6%以上の子どもがこれらの障害を持っているという結果が出ているそうで、クラスの中にひとりやふたりそういう子がいても不思議ではないということ。また、その割合は近年急に変わったものとは考えづらいので、大人の中にも少なからずそういう障害を持っていたり、障害とまでは診断されなくてもそういう傾向がある方もおられるだろうということ。
そういうことを踏まえた上で、どのような言葉、どのような態度で接していくことが大切かをわかり易くまとめてあるので、現場の先生方で気になる児童がおられ、どう対処すればよいのか悩んでおられる方などは読んでみられたらと思いますが、その他の方に関しては、例えばお子さんがそういう傾向があるのが気になる・・・というような方がもしおられましても、この本自体は参考になる部分は少ないように思います。

タイトル通り、学校の授業をいかに「障害を持つ子も含めてみんなを伸ばせるか」という視点に立って書かれているので、そういうことに関して知りたい方にはオススメだと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月25日 (月)

「お母さんはしつけをしないで」 長谷川博一著

ちょっと奇抜なタイトルが気になり、どんな内容なのか読んでみました。

「お母さんはしつけをしないで」 長谷川博一著 草思社

評価 ★★★★☆

著者である長谷川氏は大学の心理学の教授をされていて、ご専門が心理療法、犯罪心理、パーソナリティ障害などと書かれています。
また、親の立場から虐待問題にアプローチする「親子連鎖を断つ会」という会の主宰でもあられるようです。

本の帯にはまたなかなか衝撃的なことが書かれています。

いじめ、不登校、ひきこもり、非行、少年犯罪・・・・・・

いま、「しつけの後遺症」が子どもたちを苦しめている!
少子時代のしつけは「支配」。
「しつけようとしないしつけ」が親子を
もっと楽にします。

昨今、社会問題となっている様々な問題が「しつけ」の「後遺症」だという著者。
それは一体どういうことなのかを読み進めてみました。

もちろん、子どもは一人ひとり全て違った個性を持っているので、この本に書かれていることが全て正しく、全ての子どもに当てはまると考えることは危険だと思います。
ですが、こういう意見があるということを知ることは、子育ての上で何か役に立つのではないかと感じました。

著書の初めにこんなことが書かれています。

 次にあげる「読んではいけない人」に当てはまっていれば、私の本はここで閉じたほうがいいでしょう。これは、修羅場を踏んだ一カウンセラーからの助言です。
 読んではいけない人、それは「子どもという存在」について、次のページに掲げる五項目を強く信じこんでいて、これらの考えを手放すことを、ぜったいに認めたくない人です。(中略)

●次の五つの考えを、あなたは手放すことができますか?
 1 子どもの将来のために、小さいうちから勉強させるべきだ。
 2 子どもは努力と忍耐を学び、人に迷惑をかけないようにしないといけない。
 3 子どもはつねに親や先生など目上の人を敬い、言われたことには従うべきだ。
 4 人間は泣いたり怒ったりと、むやみに感情を出すべきではない。
 5 親が子どもの言い分に耳を貸すのは、たんなる甘やかしにすぎない。

 反対に、これらの五つの事項をしつけるのがうまくいかず、以下のようなつらい日々を過ごしている人には、ぜひとも読んでいただきたいと思います。効果てきめんかもしれません。

 6 子どもを思い通りにしつけられなくて、困っている。
 7 子どもが何らかの「問題」や「症状」を呈して、悩んでいる。
 8 子育て下手な自分のことが嫌いで、落ちこむことがある。
 9 家族関係がぎくしゃくしていることに気づいている。

さて、これを読んでくださっているお母さん方はいかがでしょうか?

この本を読みながら、気になったところ、心にひっかかったところを、以下順に引用してご紹介します。

近年、世間を驚かせたいくつかの凶悪な少年事件を起こした子ども達の中で、事件を起こすまでは「彼らは親の言うことをよくきく、自己主張をしない大人しいタイプの子どもたちだった」という共通点をもつ子ども達がいるようです。それについて・・・

 優秀な学業成績をあげていたという共通項から、私は、勉強を「やらされてきた」子ども時代を過ごす太字部分は著書では傍点がつけられています。以下同様。)という経験の問題性を指摘したいのです。幼少期から勉強に向かわせようとする強い介入は、非力な子どもでははね返すことができません。やがて子どもの心にゆがみがつくられていく・・・・・・。私はそう考えているのです。
 誤解のないようにつけ加えますが、子どもの頃に勉強ができるから事件を起こすという論理を主張しているわけではありません。しかし、そう考えておいたほうが無難ではないかとさえ思うのです。

また、しつけの面において非難されがちなお母さん方に、こんなことも書かれています。

 私が胸を痛めるのは、このように子どもを追いつめてしまうようなしつけは、母親なりに「いい子に育ってほしい」という強い思いがその背景にあることを、よく知っているからです。言いかえれば、それも愛情の一表現だということ。
 たしかに親の育て方に問題があったとしても、責任を親だけになすりつけようとする冷たいまなざしが社会にあることには、いたたまれない思いを禁じえません。

こう述べ、悩んでいるお母さん達に社会があたたかいまなざしを向けることを望んでおられます。

また、愛するあまり、体罰も含めた厳しいしつけをしていたお母さんと子ども(事件を起こし、少年鑑別所に入った少年)の例を挙げ、こう書いておられます。

 母親はいまでも、自分のした子育てを「しつけ(愛情)」だと信じて疑っていません。しかし、拓也くんが母親から学んだのは、暴力を用いて、相手を思い通りに従わせるという人間関係だったのです。母親の強い愛情はゆがんだかたちで伝わってしまったのです。

また、この記述も、これまで私は考えたことがなかったので、驚きました。(が、言われてみれば納得する部分も多いですね。)

 一昨年、非行で少年鑑別所に送られた少年について、しつけの実態調査をしてみました。同世代の一般高校生と比較してみたのですが、ここにも「甘やかし論」を打ち消す結果が読み取れます。たとえば、「長時間、正座させられて叱られましたか」の質問項目では、鑑別所少年(男子)の二五.五パーセントが「あった」と答えたのにたいし、同年齢の一般高校生(男子)は九.八パーセントにすぎませんでした。そのほか、暴言を吐くなどの心理的虐待に該当する多くの項目で、二つのグループの差が顕著だったのです。つまり非行少年たちは、一方的に叱られていて、甘やかされているのではけっしてないということです。
 その前年、日本弁護士連合会が、弁護士が扱った少年事件数千例の聞き取り調査をしていました。ここで浮き彫りにされたのは、犯罪に走った少年の親ほど「うちは子どもをきびしく育てた」と答える傾向にあったというものです。反対に少年のほうは、親のしつけを「虐待だ」と感じており、親子関係の理解の仕方に大きなズレがあったということです。

この部分も印象的でした。

(前略)人は無意識のうちに、自分の信念に合致するように振る舞うものなのです。「自分は悪い子だ」と思っていれば、それに合うような行ないを選択してしまう。「叱られるのがいやだから、そんなことはもうやめよう」というわけにはいきません。むしろ反対なのです。

これもイメージしやすい表現でした。お母さんが「父性化」していると述べている項で・・・

 前項で、母性的な姿勢として、「わかる」「認める」「受けとめる」「許す」「包みこむ」と書きました。(中略)
 しつけに熱心なお母さんたちは、子どもに「大人化」を期待するあまり、母性で接する余裕を失い、ついつい父性的な関係を子どもとのあいだにつくってしまう傾向があるのです。

「強迫」や「キレ」、「いじめ」、「ひきこもり」について書かれているところも、色々引用したいのですが、部分的だときちんと伝わらないでしょうし、かなり長くなってしまうので引用は控えます。

こちらは、数値で表されると改めて、「はぁ~、そうか・・・」と思ったのですが、日本の少子化に触れて・・・。

 一九五〇年以前は、子どもの割合は安定的に三六~三七パーセントで推移していました。比率を単純計算して比較すると、子ども一人にたいする大人の人数が一.七〇人だった時代(一九四〇年)から、現在の六.一九人へと、三倍以上になったことがわかります。すると何が起こるか・・・・・・。
 子どもたちが大人とかかわり、見られる頻度、はたらきかけられる程度が増していきます。世の大人たちがこぞって子どもを育て、しつけようとすれば、簡単に「適度」の閾値を超えて「過度」に至ってしまう危険にさらされるのです。

これよりあと、11章以降は、悩めるお母さんたちへのアドバイスが優しい言葉で書かれています。

私としては、子育てに悩んでいるお母さん、我が子をいい子にしなくては!と必死で頑張っているお母さん、お子さんが何か問題行動を取り始めたというようなお母さんなどは、是非読んでみられてはと思える内容でした。

もちろん、お子さんがおられるお母さんに限らず、私が読んでも「はぁ~」「ほぉ~」「ふぅ~ん」ということが色々ありましたし、共感する部分も少なからずありましたので、子育てをしておられない大人の方でも、子どもに関わる方は読んでみられてはどうかなと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006年8月 3日 (木)

「ふしぎだね!?LD(学習障害)のおともだち」

発達と障害を考える本のシリーズ第3弾です。
しかし。。。世の多くの塾の先生方からすればまだ楽な方だとは思うものの、本を読む時間がなかなか取れません。その上、さっき一部書きかけていた記事が突然消えてしまって、かなりショック。(苦笑)

夏休み中、週2回更新ペースが守れるかちょっと微妙。。。頑張ります。

「ふしぎだね!?LD(学習障害)のおともだち」 

内山登紀夫監修 ミネルヴァ書房

評価 ★★★★

色々な障害の中でも一番気になっているのが学習障害で、いずれもう少し詳しく学んでみたいとも思っているのですが、入門書になるかなと、自閉症、アスペルガー症候群に続けてこちらも購入してみました。

本の構成はこれまでと同じく、前半部分に絵を沢山使って、子どもにもわかりやす、LDの子どもに起こりやすい事例をあげ、どうしてそういうことになってしまうのか、そういう場合にはどんな対処をしてあげるといいのかが書かれています。

もちろん、あくまでも一例だと思いますし、同じ「LD」と言っても、何に障害があるかは人それぞれのため、基礎知識という感じで理解するには役に立つ本だと思います。

個人的にはLDが一番気になる理由のひとつが、本の後半にも書かれていましたが、LD児の場合、大抵のことは他の子と同じようにできるので、障害だと気づかれにくく、本人の努力が足りないのだと思い込んで悩んだり、周囲から叱られたり、からかわれたりして自信をなくしたりということが起こりうるということです。

この本には診断基準のようなものは書かれていないのですが、もしきちんとした検査を受ければ全ての子どもにある程度正確な診断ができるものなのでしょうか?(自分で何かを調べればいいんですよね。。。)

もしも早い段階で障害がわかれば、不必要に叱ったり、訓練させたりする必要もなくなりますし、望ましい対処の仕方もわかるでしょう。また、子どもも無駄に悩んだり、自信を喪失したりせずに済むように思うのです。

もちろん、我が子が何らかの障害があると診断されるのは決して嬉しいことではないでしょうし、気になっても認めたくないとか、うちの子は違うだろうとか、そう思って診断を受けない方も多いと思うのです。
その結果、いじめなどにつながっているケースも決して少なくないだろうとも思うだけに、「子どもは何歳になったら全員その検査を受けます」というような風になっていたらどうなんだろう?なんてことを思ったりもします。

もちろん、そんな簡単なことではなく、私が気づいていない難しい問題などもあるのでしょうし、圧倒的多数の子どもが障害がないと診断されることにもなるのでしょうから、実際には難しいと思いますが。

個人的にはLDの診断基準のようなものがもう少し書かれていたら嬉しかったなとも思いますが、基本的には子どもが読んで障害を理解するという目的で書かれている本だと思いますので、そういう目的からすれば、十分オススメできる1冊だと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年5月 2日 (火)

「ふしぎだね!?自閉症のおともだち」

先日、大人向けに書かれた「広汎性発達障害の子どもたち」を読み、もっと簡単な入門書のようなものはないかなと思っていたところ、この本を見つけました。

発達と障害を考える本〈1〉ふしぎだね!?自閉症のおともだち」 

内山登紀夫監修 ミネルヴァ書房

評価 ★★★★★

今日届いたばかりですが、少し文字の多い絵本という感じなので、大人であればすぐに読み終わります。漢字にはすべてふりがながふってありますので、小さいお子さんでも読むことは可能だと思います。(もともと、お子さん向けに書かれたものだと思います。)

ただ、前半は絵がメインで説明もわかりやすいので、小さいお子さんでも理解できると思うのですが、後半は高学年以上ぐらいでないと、自分で理解するのは難しいかなと思います。

この本はこれからシリーズで12冊出るそうです。その第1弾がこの「自閉症のおともだち」で第2弾が「アスペルガー症候群のおともだち」。これら2冊は既に発刊されています。次いで5月には「LDのおともだち」が発刊される予定のようです。

子ども向けなのだと思いますが、私にはわかり易く、読み易かったので、大人の方の入門書としても十分役に立つのではと思っています。

現在、発達障害のお子さんに直接関わってはいないのですが、この本の最後に「文部科学省の調べでは、特別な支援が必要な人は小中学校の通常学級で学ぶ子どもの6.3パーセントをしめ、全国で約68万人にものぼるといわれています。」と書かれており、とすれば、軽度の障害なども含めると、それはもう「障害」とはいえないぐらい当たり前に存在するのかもしれないということだなと。

だとすれば、子どもの頃から発達障害などへの正しい理解を促すことはとても大事なことだと思いますし、理解できないから怖がったり、のけ者にしたりしてしまうということを減らせるのではないかとも思います。
また、多くの人が障害の特徴などを知ることで、障害を持つお子さんに不安を与えたり、傷つけたりすることも減らせるのではないかと思います。

1冊1,800円と若干高いのですが、学校や塾、図書館などに揃えて、大人も含めてひとりでも多くの人が読んでくださったらいいのになと思います。
私も全部揃えられるかどうかはわかりませんが、自分の勉強のためにも少しずつでも揃えたいなと思っています。
(もちろん、この本でなくてもいいのですが、私が今知る範囲で子ども向けのこういう本はこれが初めてでしたので、何か他にもお勧めの本があればご紹介頂けると嬉しいです。)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年4月28日 (金)

「広汎性発達障害の子どもたち」 辻井正次著

どうにかこうにかようやく読み終わりました。。。かなりの日数を要しました。。。

「広汎性発達障害の子どもたち-高機能自閉症・アスペルガー症候群を知るために 

辻井正次著 ブレーン出版

評価 ★★★☆

この本を読んで、著者の辻井先生は恐らくとてもとても愛に溢れた、また、偏見や先入観を持たずに障害がある子でもない子でもその子そのまんまを見詰め、その子にとって望ましいことは何かを考えておられる、そんな先生なのだろうなということはひしひしと伝わってきました。

最近気づいたのですが、私の本の読み方というか、読んでいて評価を大きく左右しているのは「子どもへの愛があるかどうか」ということのように思い、そういう意味ではこの本は星5つでもいいとは思うのです。

ただ、この本はご自身が理事長を務めておられるNPO法人「アスペ・エルデの会」の親御さんたちを対象に話したことをもとに書かれているそうで、文章の途中途中に唐突に(と私には感じられました)質問のようなものが書かれ、それに対する答えという感じで説明が進められてはいくものの、会話というのはその場の雰囲気や流れ、前後の会話全てがないとわかりにくいところがあるように、読んでいてもどうもすんなり理解し切れないところが多かったのです。

アマゾンなどの評価では分かりやすいとかよい本だとか書かれていますので、単に私に読解力がないだけなのかもしれません。おまけに、言葉自体は話し言葉ですから、決して難しい言葉を使っている訳でもないのです。それでもどうもよくわからないという感覚が残りました。

ただ、これまで発達障害についてまともに学んだことがなく、自閉症などについてかなり断片的な偏った知識しかなかった私には、もっと正しく知りたいと思えるきっかけをもらえたようには思います。

100人にひとりぐらいの割合でこの障害をもつ子がいるそうです。ということは、これまでにこの障害を持つ何人もの方に出会ってきていたのかもしれません。

そして、周囲の理解がないばかりに、障害の度合いがきつくなってしまった子も少なからずいるのだろうということもわかりました。

更に、辻井先生が何度も書いておられ、それが一番心に残ったのですが、我が子が障害を持っているかもしれない、我が孫が障害を持っているかもしれない。。。そう思ったときに、それを打ち消し、対応が遅れ、その結果二次障害などを引き起こすことがあるということ。そして、早い段階からきちんと支援が受けられれば、将来社会に出て働くことも可能であるということ。
普通に考えて、親は子どもより長生きすることはないのだから、障害を見ないふりしたり、家庭内だけで隠したりするのではなく、その子のできることをひとつひとつ積み重ね、大人になったときにお給料を得て働けるということを目指すべきだと。
そういうことを読みながら、障害のある子はもちろんですが、この考え方は障害のない子に対しても言えることなんだろうなと思いました。

いい学校に入るとか、テストでいい点を取るとか、今目の前にあることだけを見るのではなく、将来社会に出てそれがどう生かせるか、将来幸せになるためにはもっと優先すべきことがあるのではないか、そんなことを意識することも大切なのではないか。著者が直接それを言いたかったかどうかはわかりませんが、そんなことも考えました。

更に、私にだって得意なことと苦手なことがあり、できないことの範囲が広かったり、程度が激しかったりする場合、障害という診断を下されることがあるけれど、その診断を下されない人が必ずしもみんな「障害がない」とは言えないのかもしれないなとも思いました。

知らなかったことだらけでしたが、この本を読んだことで、発達障害についてもっときちんと知りたいと思うようになりました。
なかなか時間が足りませんが、少しずつでも学んでいきたいと思います。

また、私のように発達障害についてよくわかっていない方にも、是非もっともっと知って頂きたいなと思います。社会が障害に対する意識を変えることが一番大切なのではないかと思っています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年4月 2日 (日)

「脳内汚染」 岡田尊司著

このところ忙しかったため、読み終わるのに予想以上に時間がかかってしまいました。
読んでいる途中で何度ご紹介しようと思ったかしれません。
ようやくのご紹介です。

「脳内汚染」 岡田尊司著 文芸春秋

評価 ★★★★★
(面白いとかためになるとかは一旦置いておいて、とにかく読んでみてほしいと思います。)

以前、この本を読み始めたときにコメントを頂きました。「多分洗脳されるだろう」というものでした。
また、アマゾンの書評を見ても、見事に賛否両論。低い評価をしている人の受け止め方を心に置きつつ、なるべく客観的に、冷静に読むよう心がけたつもりです。

しかし、どこをどう読んだって、酷評されるべきことはどこにも書かれているようには思えないし、何より岡田氏が「お金儲け」のためにこの本を書いたなどというとらえ方などできようもありませんでした。

この本を読みながら一番感じたのは、結局早い段階で危険を感じた誰かが警鐘を鳴らしても、科学的根拠がない、金儲けだ、思い込みだ、証拠を出せ、そんな言葉を並べ、危険性を直視しない人は、悲しいことに大勢おられるのだなということです。

霊の存在、生まれ変わりの存在を科学的に証明しろと言われたら、結局は不可能で、だから霊などいないのだ、生まれ変わりなど存在しないのだ、そういう意見を持っている人がいることは知っています。
もちろん、霊や生まれ変わりは信じない人は信じなくていいでしょう。直接他人に迷惑をかけるわけでも、自分の心身に害を及ぼす訳でもありませんから。

ただ、多くの先生方が機械的反復学習が危険だと言っても、本当に危険なら規制されるだろう、科学的な証拠がないじゃないか、うちの子は大丈夫だった、そんな反論で耳を貸してくださらない方と、この本に対して酷評をしている方とがなんだか重なる気がしました。

この本に書かれているのは、ゲームをはじめとした、テレビ、ビデオ、携帯電話などのメディアによる脳への悪影響についてです。
しかし、岡田氏の主張は常に「危険性がある」「悪影響を及ぼす可能性が高い」などの表現に留まっており(また、現段階では科学的に実証しきれるものでもないだけに、尚更断言のしようがないのだと思います。)、ただ、大切な子ども達のために、大人達がその危険性に目を向けてほしいというものなのです。
この主張のどこが「金儲け」のためだったり、「いたずらに恐怖心を煽るもの」だったりするのでしょう?
私にはどうしてもわかりません。

私が何度も幼児・低学年期の機械的反復学習は危険性が高いと言っているのと同じで、脳が完成していない幼い時期に刺激の強いものを与えると危険性が高いという著者の主張のどこがおかしいのでしょう?

私はむしろ、この本を世に送り出すこと自体、かなりの覚悟が必要だっただろうと思います。今や私達の生活には欠かせないものとなってしまっているテレビやビデオ、携帯電話、更に最近では大人まで巻き込んで大流行しているテレビゲームなどのゲームに対し、真っ向から危険性を指摘することで、著者自身、恐らく誹謗中傷、場合によってはそれ以上の被害を被る可能性だってあると思うのです。
精神科医である著者がそんなことぐらい予想しないはずはないと思うのです。

世の多くの大人が薄々は感じているのではないかと思うのです。テレビやビデオ、ゲームを長時間子どもにさせていては何か悪影響があるのではと。
ただ、私達自身、テレビがあるのが当たり前の環境で大きくなり、少し後の世代では、子どもの頃からビデオやゲームも当たり前のようにある環境で大きくなっているだけに、その危険性を認めることを躊躇ったり、自分達が大丈夫なんだからと特に意識をせずにいたり(気にしないようにしたり)するのではないかと思うのです。

著書の中には色々なデータや専門的な言葉、難しい言葉なども沢山出てきます。
正直言って、私にはわかり辛いこともありましたが、データや難しい表現を全部読み飛ばしたとしても、それでも読んでみる価値はあると思うのです。

著書の中で岡田氏は、メディアの脳に対する悪影響について、アスベスト被害や水俣病被害などを例に挙げておられますが、科学的データが出揃って、やはり危険だとみんなが認識する頃には取り返しのつかない大きな被害が出ているというのが大抵のパターンです。
大切な子ども達が取り返しのつかない状態になって初めて気づく不幸は当然ひとりでも少ない方がいいに決まっているのです。

読んで共感するかしないかはわかりません。どう評価・判断されるかもわかりませんが、情報のひとつとしてひとりでも多くの方に是非読んで頂きたいと切に思っています。

ご紹介したいところはいくらでもあるのですが、キリがないのでごく一部抜粋でご紹介します。(以下青字部分引用)

 本書で取り上げた問題には、水俣病をはるかに凌ぐ規模の、膨大な数の人々の健康や人生がかかっている。だが、その一方で、はるかに莫大な利益がからむ問題でもある。その影響は、日本だけでなく、アメリカやヨーロッパやアジア、オセアニアの国々までを覆う。多くの企業と利害関係者がもつれあっている。学者や研究者といえども、当然その利害の渦に巻き込まれている。政治家やマスコミさえ、その柵から自由ではない。中立性を保ち、利益集団の利害と無関係に発言することは、非常に難しく、勇気がいるのである。
 いくら論理的に、客観的に証拠立てて論証しようとしても、さまざまな中傷や反撃が襲いかかってくる。もっと権威ある存在を担ぎ出してきて、事実を巧みにねじ曲げようとするだろう。だが、それに気づいた者が一人でも多く、真実の叫びを上げるしか、これ以上の不幸を押しとどめる手だてはないのである。

 逆に、ゲーム産業の側から見れば、幼いユーザーを獲得することは、末永く利用してくれる固定客を獲得することにほかならない。しかも、こうしたコアなユーザーは、ゲームの強い擁護者であり、支持者でもある。早い段階で「洗脳」して「信者」にしてしまうようなものなのである。その快感を組み込まれ、「信者」となった幼い脳は、親や教師の言うことにも耳を貸さない。その点は、カルト宗教の「信者」に近いものがある。幼い頃に、一旦できあがった「信仰」は、生涯変わらない刻印を心に残すともいえる。彼らは、大人や他人を信じなくても、「ゲーム」を信じるのである。

 そうした状況(テレビやビデオ漬け)を作り出してしまう原因の一つは、ある思い込みによる。それは退屈させることが悪いことであるという思い込みである。子どもが退屈したらいけないので、すぐに気を紛らわすものを与えようとする。そこから、メディアへの依存も生まれてしまうし、将来のさまざまな依存症の種を蒔くことにもなる。(中略)
 子どもを退屈させることが悪いことだと思ってはいけない。むしろ、逆である。子どもをほどよく退屈させることは、心の発達にとっても必要なのだ。退屈し、子ども自身が何かをしようとすることが自発性の原点なのである。

 悪循環を止め、メディア漬けの状態を一週間だけでもやめてみればいい。そうすれば、あなたはどれほど自分の脳に、余分な情報負荷がかかっていたかを感じるようになるだろう。過負荷から解放された脳は、徐々にダメージから回復を始め、リフレッシュしていく。過剰な情報がどれほど心に無理を強いていたかを実感するようになるはずだ。
 これからの新しいライフスタイルは大量の情報をむやみに取り込むことではない。むしろ、質のいい情報を、ほんの少しだけ嗜むスタイルの洗練が求められるのである。だらだらと情報のシャワーを浴び続けることをやめ、脳に空白とゆとりを残すことが、心の健康のためだけでなく、真の意味で豊かな生活を送ることにもつながるのである。

300ページあまりの内容の極々一部の抜粋ですが、この文章のどこに「お金儲け」のために書いたと感じられるところがあるのか、私はやはり不思議でなりません。

私自身、忙しくてテレビはほとんど見なくなりましたが、ネットなどに取られている時間をもう一度しっかり見直してみなくてはと思ったりしています。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2006年3月16日 (木)

まだ読み始めたところなんですけど。。。

ちょっと異例のパターンでのご紹介です。

まだ読み始めたところで、ハードカバーの300ページ以上ある、内容も濃そうな本のため、読み終わるのにしばらくかかりそうなのです。(まだ10分の1も読んでいませんので。。。)

しかし、これはひとりでも多くの方が少しでも早く知るべきことが書かれている気が。。。(まだ読み始めたところでの感覚なので、もしも違ったらお許しください。。。アマゾンのレビューを見ると、完全に、面白いぐらい賛否両論のようなので、もしかすると読み進めるにつれ、がっかり。。。という可能性もあるかもしれません。。。)

読み終わったら改めてきちんとご紹介する予定ですが、ひとまず帯に書いてあることだけでもご紹介しておきます。

子ども部屋に侵入したゲーム、ネットという麻薬!

「勇気を奮い起こして声を上げなければならない。
それが、人間として、一臨床医としての責務ではないのか」

医療少年院勤務の精神科医が世に問う警告の書!

「脳内汚染」 岡田尊司著 文芸春秋

| | コメント (2) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧