2006年9月18日 (月)

「驚異のつがわ式漢字記憶ドリル」 津川博義著

以前、「世界最速「超」記憶法」をご紹介した津川先生の漢字「記憶」ドリルということでどんなものか購入してみました。

「誰にでも役立つスラスラ記憶術 驚異のつがわ式漢字記憶ドリル 

津川博義著 主婦と生活社

評価 ★★★★

以前ご紹介した著書で紹介されていた記憶法を利用した漢字学習のためのドリルです。

取り上げている漢字は漢字検定の級を目安にし、5級レベルから準1級・1級レベルまでの8段階になっているのですが、各レベルで20個の漢字・熟語が取り上げられているだけですので、実際に漢字検定を受けようとか、各学年で学習した漢字をしっかりマスターしようという目的で使用するには量が不足しています。(ステップ8のみ30個。)

ここ数年流行っている「脳の活性化」や「頭の体操」のために大人が利用するにはそれなりに役に立ちそうではあるのですが、今度は逆に初めの方は簡単すぎて(人によってはステップ5や6ぐらいまでは余裕でできてしまうと思いますし、漢字が得意な方であれば最後まである程度「記憶術」を利用せずに書けてしまうかもしれません。)物足りないかもしれません。

物足りない方にはこの上級編が出ているようですので、そちらの方がいいのかもしれませんね。

ステップがひとつ終わるごとにコラムのようなページがあるのですが、そこに書かれていることは前出の著書でも紹介されていたことです。(地図記憶法や暗証番号の決め方、人名記憶法など。)

実際、私も解いてみたのですが、この記憶術が効果があるのかどうか確かめるためには現時点で書けない漢字、覚えていない漢字で試さねば効果がわからないため、まずはどこまで書けるのか書いていったところ、ステップ7までは9割5分ぐらいの正解率できてしまったため(10割じゃないところが微妙に悲しいのですが。。。)、試せるのはステップ8の30問だけという、イマイチ効果の測りにくい結果となってしまいました。。。(苦笑)

おまけにそこまでに180問も漢字を書いたので、疲れてしまい、ちょっと休憩。。。

で、とりあえず試してみましたが、確かに文字の一部分だけを○で囲むというのは印象に残りやすい気はします。ただ、私は例で囲んである部分以外の部分が覚えづらいということも中にはありましたし、そういう場合はそちらに○をつけるとか、ややっこしい字であれば○を2ヶ所につけるとかの工夫も必要なようです。

表紙の一番上に「衰えた『脳』と『記憶力』が蘇る!」と書いてあるのですが、確かにそういう利用法であれば、ある程度効果が望めるのではないかなと思います。

ただ、もし純粋に漢字検定であるとか、学校の漢字テストのためなどに漢字を覚えたいと思っている方には、こちらのドリルよりは、「世界最速「超」記憶法」の本で記憶法を学ぶ方がオススメかなと思います。(こちらの本は漢字に限定せず、地図や英単語などの覚え方も紹介されていますので。)

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2006年2月14日 (火)

「わかったつもり」西原克彦著

最近やっと読み終わった国語の読解に関する本のご紹介です。

「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 

西原克彦著 光文社新書

評価 ★★★☆

ひと言で言うと、多分とてもいいことが書かれているのですが、私には難しかった。。。そんな感じです。

著者である西原氏の学歴は東京工業大理工学部卒、東京大学大学院教育学研究科博士課程中退となっているのですが、本の内容は純粋に国語の読解力についてのものでした。

ちょっと難しい言葉があるとすぐ拒否反応を示してしまうおバカな私の頭はこの本には若干ついていけない感じがありましたが、それでも感心させられることが色々ありました。

読解力と言っても、かなり高いレベルでのことで、高校生以上を対象としているのかなという印象です。

ただ、説明する際の例に挙げてある文章は殆ど全て小学校の教科書で扱われている文で、その文をまず読ませ、読んだ後にわからないところはないか意識をさせた上で、その読みがいかに曖昧であるかや思い込みで読んでいるかということなどに気づかせるという形を取ってあります。

初めの章で扱われている文などは小2の教科書の文で、誰が読んでもわからないところなどないという内容です。しかし、さらっと読めるということは「読みが深まらない」こととも言え、「わかったつもり」になっているのだと筆者は述べています。

正しく、深く読むときに一番障害になるのは「なんとなくわかる」「わかったつもりになる」ということだと述べ、それについて色々なパターンの「わかったつもり」を挙げておられます。

その上で終章の5章では「わかったつもり」の壊し方をまとめておられます。
私の頭では、これをきちんと理解し、納得するには何度か繰り返し読む必要がありそうですが、さすがに理系ご出身の方というのか、とても理論立てて書かれており、「ふむふむ、なるほど」と思えることが多いです。

あくまでも私の勝手な感覚ですが、理系が得意で読解が今ひとつ苦手という高校生などが読むと、何か大きなきっかけを掴めるのではという印象です。
また、中学生や高校生など読解指導をされる立場の方が読まれても参考になりそうです。

最後のまとめに書かれている文で印象に残った部分を引用します。(以下青字部分引用)

 整合性のある解釈は、複数の存在が可能です。したがって、唯一絶対正しいという解釈は存在しません。しかし、ある解釈を「整合性がない」という観点から否定することは論理的にも実際にも可能で、しかも簡単です。ですから、「正しい」と「間違っている」という判定は、シンメトリーなものではありません。後者は明確に判定できますが、前者は「整合性はある」とか「間違っているとは言えない」という判定しかできないのです。
 このような非対称性をベースにしていることと、多くの人が持つ国語教育に対する違和感を考慮すれば、「最も適切なものを選べ」という設問は避けるべきであろうと思います。それに代わるものとして、「次のような解釈があるとする。このうち可能なものはどれか。可能でないものはどれか」といった設問形式がよいのではないかと私は考えるのですが、読者の方々はどのような印象を持たれるでしょうか。

これだけでも、この本で書かれていることがある程度お分かり頂けるかもしれませんね。
私にはやや難しい本でしたが、読む価値はあるのではと思います。

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2006年2月 9日 (木)

「世界最速「超」記憶法」

読み終わった後子どもに貸し出ししていて、戻ってきましたのでご紹介します。

「世界最速「超」記憶法」 津川博義著 講談社+α新書

評価 ★★★★

私は無精者で丸暗記もコツコツ努力も苦手なので、子どもにも何か少しでも楽をして覚える方法がないものかと思っています。

幸い、私が指導しているメインは算数・数学なので、暗記してもらうことはごく限られていますが、他の暗記科目が苦手な子に何か参考になればと記憶法の本はいくつか読みましたし、これからも読むと思います。

「つがわ式記憶法」はテレビでも取り上げられ、番組撮影中に全く何の準備もない司会者の方がその方法で7行の英文記憶に挑戦したそうです。

ご本人もディレクターに向かって、覚えられるはずがないと言っておられたそうですが、10分足らずで7行の英文を単語1箇所を除いて全て覚えられたのだそうです。

その暗記方法について、「漢字記憶法」「英単語スペルの覚え方」[地図記憶法」やものの置き場所、暗証番号、人名などの「日常に役立つ記憶法」などが具体的に紹介されています。

また、どうして覚えられるのかや、「つがわ式記憶法」が生まれた経緯などについても述べておられます。

そもそも、この記憶法を作られたきっかけが、先生ご自身が英単語の丸暗記がどうしてもできず、大学受験で不本意な結果に終わり、「いつか英語が誰でもできるようにしてやりたい」と思ったことだそうです。ですので、その後は、本を読む限り執念にも近いぐらいのこだわりで研究を続けられたようです。

読みやすいですし、言っておられることも分かりやすい。また、多分実際にやってみたら覚えられるのだろうなと(すみません。。。例によって自分が何か覚える必要に迫られていないもので、最初の方の漢字記憶法ぐらいしか試していません。。。)思いました。

新書で価格もお手頃ですので、自分に必要なところ、使えそうなところだけを参考にしてもいいのではないかと思います。
英単語・漢字を覚えるには特にお役立ちの1冊ではないでしょうか。

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2006年2月 3日 (金)

「最強の勉強法-究極の鉄則編」 吉田たかよし著

先日ご紹介した吉田たかよし氏の続編のご紹介です。
私的にはこちらの方がよりオススメです。

不可能を可能にする最強の勉強法―究極の鉄則編 」 

吉田たかよし著 PHP文庫

評価 ★★★★☆

この本も以前単行本で読んだはずなのですが(内容を見ても読んだ記憶があるので読んでいるはず。)どうやら貸し出したまま戻ってきていないようです。
なので、今回は文庫になって出ていた方を改めて買い直しました。(文庫になったのは昨年秋のようです。)

1冊目も面白かったのですが、こちらはより具体的・実践的な勉強法が紹介されており、前作同様とても読みやすくまとめられています。

ただ、勉強法と言っても、大人が資格試験の勉強をするとか、高校生の大学受験とか、ある程度年齢を重ねた人向けの方法が中心になっていると思います。

小学生に参考になることはごく僅か、それも親など大人が読んだ上で指導に活かすという形になるかと思います。

としましても、高校生以上ぐらいの方には大いに参考になるのではと思います。
ひとつひとつは決して難しくなく、また、ネーミングも笑えるものがあったりと、読んでいるだけでも楽しめます。(例えば。。。「松岡修造式勉強法とか。。。)

また、直接の勉強法ということではなく、私としてはとても興味深く読んだところがあります。

4章の中に「五感マルチ勉強法」というものが紹介されているところがあるのですが、お医者様でもある著者が、幼児・小学生の教育という視点とは全く違う視点から書いておられるある文章に、機械的反復の危険性をよりすんなり納得させてもらえました。

長くなりますが、一部ご紹介します。(青字部分引用)

(前略)思考力も、主に前頭前野の部分で生み出されています。推理や推測ができるのも、知識が応用できるのも、すべてこの部分のおかげです。(中略)
 ところが、読んだり書いたりする学習法を、なんの工夫もなく、ただ機械的に行うと、この部分
(前頭前野のこと)は、ほとんど使われません。例えば、目で見たことを、そのまま紙に書き写すだけなら、前頭前野の力を借りる必要はありません。このため、前頭前野は眠ったような状態となってしまうのです。これに伴って、前頭前野に向かう脳の血管も収縮して細くなってしまいます。当然、酸素や栄養素の供給も、少なくなっていきます。この結果、前頭前野の活動は、さらに低下せざるを得ません。こうして、前頭前野はますます萎縮し、思考力はいっそう低下してしまいます。使わないから機能が低下する。機能が低下するから、もっと使わなくなる。こうした悪循環に陥ってしまうのです。
 こんなことを繰り返していれば、思考力そのものの低下も免れません。丸暗記だけに頼った勉強をしていれば思考力が衰えてしまう。このことは、脳の仕組みから考えれば当然のことなのです。
(後略)

幼児や低学年のことを書いた本に反復は危険だと書かれているものは何冊も読みました。そして、私自身もそれを実感はしています。ただ、どうもすっきりと「あぁ、そうか」と思うには至っていなかったのを、幼児・低学年という視点を全く外し、大人に焦点をあてて書かれた本にこう書かれていたことで、大変納得が行きました。

大人の脳でさえこんな現象が起きるのであれば、脳が作られる幼い時期に多量の機械的な反復をした場合、回路そのものが作られないことすらあるのではないかと思えます。もともと存在しない回路を、大きくなっていくら使おうとしても、それは不可能なのではないでしょうか。この本を読んで、一層幼児期の機械的反復が怖くなりました。

脳の機能についてもうひとつ書かれていますが、私は初めて知ったのですが、「46野」という部分が存在するそうで、そこでは五感からの情報や記憶をコントロールしているそうです。ここがうまく働かないと、記憶を引き出してくることができなくなると書かれています。

この部分は、仮に忙しくバリバリと仕事をこなしているサラリーマンでも、受け身の業務ばかりこなしているとこの部分の機能が衰えていくのではないかとも書かれていて、脳の仕組みから考えても「機械的反復・機械的な丸暗記」は決して効果的な学習法ではないと述べておられます。

繰り返しになりますが、大人でさえそうなのですから、子どもの時期にはもっと慎重に学習法を選択すべきなのではないかと改めて強く思いました。

とにかく全体に興味深く、面白い内容なのですが、最後の6章では「結論を先に書く、作文・論文の技術!」と題し、作文・論文の書き方について、とてもわかりやすく書いておられます。

これまで私は作文とかで頭を悩ませた記憶がほとんどないもので、苦手な人の気持ちが今ひとつわからないのですが、ここで書かれていることは、確かに試験などで作文や論文を課される人には相当参考になるのではと思います。(特に苦手な方には。)この部分に関しては小中学生で作文が苦手な子への指導にも応用できるように感じました。

文庫になって価格的にも手頃になりましたし、かなりオススメの1冊ではないかと思います。(まあ、どちらかといえば大人の方にですが。)

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2005年12月26日 (月)

「図解 できる人の記憶力倍増ノート」

先日ご紹介した椋木先生の記憶術の本をもう1冊ご紹介します。

1分間で、「面白いようにモノが覚えられる」アタマを作る!図解 できる人の記憶力倍増ノート」 

椋木修三著 PHP研究所

評価 ★★★★

先日ご紹介した本は単行本でしたが、こちらはB5判で、タイトルにもあるように「ノート」といった感じの1冊です。

中身も赤黒2色刷りで、見開きごとに1項目、図表や例を交えながらまとめてあります。
非常に見やすく、さっと読めます。時間のない方、文字を読むのが苦手な方は図表だけを拾って読んでいってもある程度内容は理解できると思います。

記憶力を高めるために、記憶のパイプを太くする方法、想像力や発想力を高める練習、連想力をつける練習、連結力をつける練習など、色々な項目を挙げてそれぞれについて具体的な方法を紹介しておられます。

一度会っただけの人の名前を覚えるコツや数字を語呂合わせやイメージに置き換えて覚える方法なども紹介されており、読むこと自体にはそんなに時間をとられるものではありませんので、記憶力を高めたいと思っておられる方は一度読んでみられれば、きっと何か参考になることがあると思います。(立ち読みでも読めてしまいそうな内容です。)

無精者の私には数字をイメージに置き換えるという表を作る作業自体が無理っぽいので(現在必要性もあまり感じていませんし)、実践してはおりませんが、なかなか面白い発想も色々紹介されていると思います。

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2005年12月23日 (金)

「読むチカラ」 齋藤孝著

昨日に引き続き、国語読解関連の著書のご紹介です。

「東大国語」入試問題で鍛える! 齋藤孝の 読むチカラ」 

齋藤孝著 宝島社

評価 ★★★☆

以前に齋藤先生の著書をご紹介したときにも書きましたが、先生のご本で紹介される内容はある程度以上の学力、読解力などがある方にオススメという印象はこの本でも同じです。
まあ、もちろん、この本に関してはタイトルからして、ある程度レベルが高いことは予想がつかれると思いますが。

内容は高校生以上社会人までを対象に書かれているように思います。
1章では、例を交えながら、実社会での「読むチカラ」の重要性について述べておられ、2章では東大の入試問題について、どのような観点から出題されているか、どんな人間をほしがっているかなどをまとめておられます。

そして、3章では問題を解くときのポイント、4章では実際の東大入試過去問の現代文を取り上げて、その考え方および解説がまとめられています。

東大を目指していて、読解力を更に伸ばしたいという方や社会人で読む力を高めたい方には参考になるかと思いますが、東大の問題に特化して書いておられるため、他の明らかに傾向の違う大学志望の方には参考にならないかもしれません。(もちろん、内容でためになることはありますが。)

私自身は、小中学生の子ども達の読解力を伸ばす方法を探していて読んだ中の1冊でしたので、そういう目的で読むにはあまりオススメは致しません。

大人の方が読み物として読んだり、高校生の指導などをされている方が読んだりするには、内容もしっかりしていますし、そんな視点があるのかなど発見もあるかとも思いますので、参考になる1冊だとは思います。

ちなみに、sachi先生が随分以前にこの本のご紹介文を書かれていました。
とても具体的で素晴らしい紹介です。この本にご興味のある方は是非ご参考になさってください。
sachi先生の「読むチカラ」の紹介文はこちら。
http://sachinet.livedoor.biz/archives/26584062.html

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2005年12月18日 (日)

「どんぐり倶楽部」

今回は糸山先生のサイトをご紹介します。
以前、先生の著書の紹介をしたときに少しだけ触れましたし、著書の中にも書かれていますが、ご存知ない方のためにご紹介させて頂きますね。

「どんぐり倶楽部」公式ホームページ
http://homepage.mac.com/donguriclub/index-pc.html (パソコン用サイト) 
http://homepage.mac.com/donguriclub/keitai.html  (携帯用サイト)   

本当は自分がきちんと読ませて頂いた上でご紹介をと思っていたのですが、とにかくこちらのサイトは先生の思いがあまりにも沢山詰まっていて、そうそう簡単に読破できそうにありません。。。

とにかく素晴らしい内容がぎっしり詰まっています。
ただ。。。(先生ゴメンナサイ。。。)パソコン画面上でかなりの量の文字を読むことが苦にならない方でないと、ちょっと気合が必要かもしれません。

初めのうち、私はプリントアウトして読んでいましたが、恐らく先生のサイトの項目全てをプリントアウトしたらちょっとすごいことになるのは間違いない。という訳で、ちょっとずつしか進まず、読破を待っていてはいつまでもご紹介できそうにないなと、先にご紹介させて頂くことにしました。

幼児・児童期にさせてはいけない学習法や望ましい学習法、先生が作られた教材など本当に充実の内容です。
これだけの内容が無料で読めるのはすごいことだと思います。
是非皆さんも少しずつ(いえ、もちろん一気にでも結構です)読んでみられてはいかがでしょう。

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2005年12月10日 (土)

「生きがいの創造」 飯田史彦著

今日はまだ会社員を辞めて間もない頃に読んだ古い本のご紹介です。
ベストセラーになった上、その後「生きがい」シリーズは継続して出されているようですので、ご存知の方も多いかと思いますが、いずれご紹介したいと思っている本の前にまずこちらをご紹介しておく方がいいように思い、改めて取り上げさせて頂きます。

「生きがいの創造―“生まれ変わりの科学”が人生を変える 

飯田史彦著 PHP研究所

評価 ★★★★★

私がこの本と出会ったのはもう10年近く前のことだと思います。(最近過去の記憶があやふやなのですが。)震災後、色々考えた末会社を辞め、次の道を模索していた頃、友人が読んでみてと紹介してくれたのがきっかけでした。

この本は友人達の間で回し読まれ、みんなで語り合ったりもしましたが、念のため事前にお断りすると、みんな所謂「典型的日本人」で特定の宗教を信仰している訳でもなく、また、仕事に関しては私を除いて皆バリバリ活躍しているような人たち。そんなみんなが共感した1冊でした。

タイトルの副題にあるように「生まれ変わり」をテーマにした本です。
ただ、本の初めに著者である飯田先生が書かれていますが、先生はもともと経営学を研究されている大学の助教授で、主に「会社や社員を元気にする方法」をご研究されているようです。

また、先生ご自身も特定の宗教信仰はなく、「正月には神社に、盆には寺に、クリスマスにはツリーを飾る」生活をされているとも書かれています。

その方が書かれた「生まれ変わり」に関する著書でしたので、宗教色もなく、大変読み易い内容で、しかも、とても興味深いものでした。

もともと先生はどうしたら社員の仕事に対するやりがい意識を高められるかというようなことを研究されておられたようですが、それについて調べていく中で、どうしても「生まれ変わり」ということを認めざるを得なくなったと書いておられます。

医師などが何かに対する恐怖心やトラウマを治療するために行う催眠治療の中に「退行催眠」というものがあるそうです。この本では、アメリカの医師の例を取り上げていましたが、例えば、なぜかわからないけど水に対して強い恐怖感を覚えるという人に催眠をかけ、その恐怖心を抱くきっかけとなった段階まで戻らせると、患者が今とは全く別の時代、別の国、別の人間として洪水で溺れ死んだことを語り出したり、というようなことが次々と起こり、アメリカ人医師は「生まれ変わり」を認めざるを得なくなったということが書かれています。

また、著者はこうも述べておられますが、「生まれ変わり」や「霊の存在」などというものは、科学的に立証できるものではないし、認めたくないと思えばどれだけ実際の現象を見せられたところで否定することはできるのだから、著書でそれを立証したり、認めさせたりするつもりはないと。

しかし、今世(現世)を生き抜くに際し、「生まれ変わり」を信じることのデメリットはないし、信じることで仕事へのモチベーションが高まるのであれば、信じればいいと述べておられ、その主張はもっともだと思っています。

かなりボリュームがありますので、全てをご紹介する訳にもいきませんが、ごく簡単に「生まれ変わり」について書かれていることをまとめると、人間は皆何十回と生まれ変わってこの世に降りてくるのですが、事前に今世での自分がクリアすべき課題などを設定した上で、どの親の元に生まれるのかも選んで生まれてくるのだそうです。

そして、自らが事前に課した課題に真剣に向き合いクリアしていくことで魂が成長し、次はより素晴らしい人生を送れるようになるのだけれど、課題から逃げてばかりで真剣に解決しなければ、何度も何度も同じような問題が起き、それをきちんと解決するまで次の人生でもまた同じような困難に出会うのだということ。

また、今世で誰かを傷つけたり苦しませたりしたことは、自分が今回の人生を終える際、全て自らへの痛みとして返ってくるということ。ただ、その傷つけ方、苦しめ方も、そうしてしまった動機が止むに止まれずというようなものであれば、痛みはあまり感じないのに対し、意味もなく誰かを傷つけたりした場合には相当の苦しみを味わうとのこと。

そして、自分に先立った大切な人たちは、ずっと自分を見ていてくれるし、縁の深い魂同士であれば、生まれ変わってもまた必ず巡り合うのだということ。(赤い糸ということだけにとどまらず、親子、兄弟などの肉親関係であったり、逆にとことん憎しみあったような場合でも、それは縁が深いということにもなるようです。)

本当に大雑把にまとめるとこのようなことが実例と共に紹介されており、信じるか信じないかは読者にお任せしますというスタイルを貫いておられます。

このことに関しては書きたいことが色々ありますが、こちらは書籍紹介ですので、このあたりにさせて頂きます。

宗教がかった「輪廻転生」や「前世」のお話に抵抗がある方でも(私自身がかなりそうですので)、この本は読み物としても十分面白く読めると思いますし、私としては世の中の人がひとりでも多くこういう考え方を受け入れて生きてくだされば、もっともっと世界は平和になるのだろうにと思っています。

お読みになったことがない方には是非一度読んでみて頂きたい1冊です。

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2005年12月 9日 (金)

「知らないと恥ずかしい日本語の常識350」

今回はちょっと手軽な1冊をご紹介。

「知らないと恥ずかしい日本語の常識350」

日本語の常識研究会編纂 彩図社

評価 ★★★

最近、書店などで、読めないと恥ずかしい。。。であるとか、知っているようで知らない。。。であるとか、こういった類の本を見かけます。

私もたまに買ってみるのですが、一番最近買った1冊がこれでした。
内容は初級・中級・上級に分かれており、仮名遣いや送り仮名、慣用句の意味、敬語の使い方など、テスト形式(殆どが記号選択)で出題されています。

実際やってみたのですが、「常識」と銘打っている割に結構難易度の高いところまで入っているような印象です。(単に私の常識レベルが低すぎるのかもしれませんが。。。)

ものによっては、今の世の中では、正しく使うとかえって相手が理解してくれないのではないかというものもかなりありました。

因みに、初級の1ページ目の問題は「曲のさわり」「憮然とした顔」などの正しい意味を選ぶものですが、1ページ目でこれですから、大体のレベルがお分かり頂けるかと思います。
(多分、現代の若者の多くは殆どお手上げ状態なのではと。。。)

ただ、テストで覚えなくてはいけないとかいうことでもないので、頭の運動がてら楽しんでみようという方には、「へぇ~、そうだったのか」と思うこともあったりで、楽しめるのではないかと思います。

あ、国語に非常に長けた方は当然のことばかりでちっとも楽しくないかもしれませんが。(笑)

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2005年12月 7日 (水)

「齋藤孝の勉強のチカラ!」 齋藤孝著

先日に続き、齋藤先生の本のご紹介です。

「齋藤孝の勉強のチカラ!」 齋藤孝著 宝島社

評価 ★★★☆


齋藤先生の著書は次々と書店に並ぶので、当然全てを読んでいる訳ではありませんし、対象とするお子さんも幼児・低学年よりは少し上のお子さん達のように思いますので、多くの著書の中から気になるものだけを読んでいます。

この本は、中高生であれば自分で読むことができるよう意識して書かれているようですので、1つの見出しに対して5ページ程度で内容がまとめられており、文字も大きめで読みやすいとは思います。

ただ、わかりやすくは書いてありますし、著書の中で先生ご自身も「中学生、高校生はもちろん、大人になっても・・・(以下略)」読んでほしいと書いておられるのですが、本を読み慣れていないお子さんだと中学生には少し難しいかもしれません。

また、本の前半は「なぜ勉強するのか」「勉強するとどんないいことがあるのか」そういうテーマが中心で、ここに関しては、勉強しようと思えばできるけど、する意味がわからない。したくない。そんな風に思っているお子さんには参考になるかと思いますが、何から、どうやって勉強したらいいかわからないというようなお子さんの答えにはならないようにも思います。

後半では「教科」の楽しみと学び方と題し、教科ごとにポイントをまとめておられるのですが、あくまでも私の個人的な印象では、頭のいい人の感覚がかなり入っているような気がします。
高校生で平均以上の学力のあるお子さんが今以上に力をつけたいというのであれば参考になる。そんな印象です。

その後の章では勉強の技とコツと題して先生との付き合い方や参考書などの選び方などが紹介され、終章では「教養」について先生のお考えをまとめておられます。

全般に、中学生というよりは高校生で大学受験を意識しているような方には参考になる1冊ではないかと思います。

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