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2009年1月26日 (月)

「お母さんと一緒にお料理で学ぶ小学算数」  大嶋秀樹著

ある有名な教育系メルマガで紹介されていて、なんとなく気になるタイトルだったので注文してみたのですが・・・。

「お母さんと一緒にお料理で学ぶ小学算数」 大嶋秀樹著 実業之日本社

評価 ★★★☆

B5サイズで、100ページ弱、カラーで写真やイラストもたくさん使った「お料理しながら算数のお勉強をしよう」という趣旨の本のようです。

本の表紙には「算数はキッチンで教えられます!」と書かれており、また、帯には

「料理が好きな子は算数も大好き」
カリスマ先生の大好評シリーズ第5弾!
親子で料理をしながら算数問題に挑戦。
見ちがえるほど集中力と成績がアップ。

とも書かれています。

著者の大嶋先生は東京都江戸川区で1998年に「マップ教育センター」を設立開校し、今日に至っておられるとの紹介がされています。
この本のほかにも「一番わかりやすいシリーズ」というものを4冊出しておられるようです。

料理を通じて、かさや重さ、分数などの学習の基礎を作ることができるということは、私も全く異論のないところなのですが、しかし、この本は個人的には正直どうなんだろうなと・・・。

クッキーやサンドイッチ、ピザ、たこ焼きなど、子どもでもできそうなメニューを中心に、後半に進むとハンバーグやコロッケなど、やや難易度の上がるメニューも登場します。
もちろん、「親子で」となっているので、子どもがひとりで作ることを求めているわけではありませんから、多少難しくてもそれ自体は問題ないかと思います。

ただ、クッキーを作ったら繰り上がりや掛け算の勉強、サンドイッチを作ったら面積や体積、角度の勉強、ピザを作ったら分数の勉強、手巻き寿司で場合の数の勉強・・・とメニューのあとには必ず、そのメニューを使って何か算数の勉強をするようになっています。

もちろん、そういう目的で書かれた本なのですから当然のことなのですが、もし私が子どもだったらどう思うのかなぁと。

「お料理しようか?」とお母さん(お父さん)に声をかけられ、一緒に楽しく料理をして、さて後は食べるだけ!と思ったら、「ちょっと待ってね。ピザを4人で分けたら、何分の1になる?」なんてことが始まったら・・・・・・。
私だったらだんだん、一緒に料理するのがイヤになるんじゃないかなと・・・。(あくまでも私が子どもだったらということですが。)

料理の経験には、後に算数に役立つ要素がたくさん含まれていることはわかりますし(というか、むしろ、算数の勉強の中に実生活で役立つものが含まれていると考えるべきかもしれませんが。)、親子で料理をすることも楽しくていいだろうなとも思います。
ただ、親子で料理をして、それに「明確な算数のお勉強」が付いてくるというのはどうなのかなと。

この本を子どもさんが見て、「わあ、楽しそう!」と思われるようなら、きっと大いに役立つだろうと思いますが、お料理に興味がないとか、お料理は好きだけどそれに算数がセットになるんだったらイヤとか、そういうお子さんにはどうかなと。

教室にも置いてありますので、ご興味のある方はどうぞ。

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2009年1月19日 (月)

「日本の教師に伝えたいこと」 大村はま著 ちくま学芸文庫

随分前に読み始めたのですが、どうも一気に読むことができず、ほかを読んでは戻り、他を読んでは戻りしていたため、かなり時間がかかってしまいました。

「日本の教師に伝えたいこと」 大村はま著 ちくま学芸文庫

評価 ★★★★

こちらはもともと1995年3月20日に筑摩書房から出されたものを2006年に文庫化したもののようです。
内容は以下の5つのテーマになっており、それぞれが大村先生が講演されたものを元にご自身でまとめ直されたもののようです。

いきいきとした教室
身をもって教える
話し合うこころ
目標をさだめて
国語教師に望まれること

あとがきによりますと、1つ目は1993年に秋田県の本庄市教育講座で、2つ目から4つ目までは1991年から93年にかけて、広島県の大下学園国語科教育研究会で、5つ目は1990年に秋田県の日本国語教育学会秋田県支部で講演されたものを元にまとめられたそうです。

先生ご自身があとがきにお書きになっておられますが、講演でお話されたことが元になっているため、内容が重なっているところもところどころありますし、少なくとも、大村先生が教師をしておられた間ずっとお持ちだったお考えというものは一本筋の通ったものであることは恐らく間違いありませんので、先生の他の著書を読まれた方だと、それらとも重なるところはあるかと思います。

ただ、どれを読んでも、大村先生がどれだけ偉大な方だったかということ、どれだけ生徒に寄り添い、生徒の気持ちになっておられたかということ、全ての生徒を伸ばすために私からすれば想像を絶するような努力、万全の準備をし続けられたということ、それらがひしひしと伝わってきます。

主に中学校で指導をされていたのに、どの教材も一度しか使わないということだけでもすごいと思うのに、その「一度」も、適当に準備して適当になどということは一切なく(恐らくそんなことは絶対にできないというお気持ちだったのだと思います)、いつも真剣に、それこそ「命がけ」という言葉も決して大げさではないぐらい、真剣なご指導をなさっていたのだということが感じられ、圧倒されます。

内容はもちろん素晴らしいのですが、中でも印象に残ったところをひとつご紹介します。
長くなるので、まずは簡単にまとめさせて頂きますと、先生が中1、中2の2年間指導されたクラスの中に、小学校の頃から声を出したことがないSさんという男の子がいたそうです。
小学校からの申し送りでわかっており、生徒の中にも「S君はね、何も言いませんから、先生、気になさるな」と忠告してくれる子もいたそうです。
中3は担当なされないまま、Sさんは卒業していかれたそうですが、社会に出てからSさんの消息を聞くことができたそうです。
Sさんは偶然出会った同級生に彼の方から挨拶をし、今どんな会社でどんな仕事をしているかなど色々話してくれたそうです。そして、以下は引用です。

 そして、その変身した動機です。それがいつであったか、もう昔のことで分かりませんが、一時間きりの単元で、インタビューというのが、ありました。四つのグループになっていました。参観のお客様のあった時間でした。(中略)
 時間をきっちり守ることが大事なことでした。壁の時計など見ていると、それだけロスになりそうです。それで、南部鉄のきれいにちーんとひびく鈴がありましたので、それを置き、Sさんを呼んだのです。「Sさん、私はね、指導にまわらなきゃならないんだし、四グループもあるから忙しくて、今何分だなんてとても知らせられない。ここに時間書いてあるから、このストップウォッチを使って、正確に、時間を知らせてね。あまり大きな音をさせないで、ちーんとやってちょうだい。この授業は四十分でやるところに意味があるんで、どうしても合図がいるのよ。お願いね」私は真剣でした。「分かったわね」と言ったら、こっくりだけはしてくれました。私は、任せました。いよいよ、始まり。ひょっと見たら、細い指を鈴の上に当てて、ほっぺたをぽおっと赤くしていました。一所懸命になっていたのです。そしてつつがなく役目を果たしてくれて、授業は終わりました。私はSさんにお礼を言いましたが、彼は何にも言いませんでした。私もみんなも正確に合図してくれてほんとうに良かったと喜んで、張り詰めた一時間の授業を終わったのです。そんなことがありました。
 その日だそうです。緊張して、口はきかなかったけれど、人の役に立つ、かけがえのない位置を与えられて、自信がついて、何かあの日にぱっと心が開いたような気がしたというのです。しかし急に口をきくわけにはいかず、中学にいるあいだは沈黙の人のまま、卒業したのだそうです。
 卒業した途端に花開いて、それから会社に勤めて、今そうやって「Kさん、しばらく。お元気?」などとあいさつする、普通の人になっていました。私は驚きました。ほんとうの効果というのは、そういうものではないでしょうか。(後略)

なんだかとても素敵で、とても考えさせられるエピソードだと思います。
もちろん、他にも素晴らしい内容がたくさんあります。
ご興味のある方はどうぞ。

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2009年1月12日 (月)

「算数パズルで難関中学の入試問題がスラスラ解ける」 田邉亨著

新年早々、お知り合いの「りんご塾」の田邉先生の本が出ました。

「算数パズルで難関中学の入試問題がスラスラ解ける」

田邉亨著 エール出版社

評価 ★★★★★(算数パズルが好きならオススメです)

私がこの「読書感想ブログ」を始めて間もない頃、このブログで紹介していた本について問い合わせを頂いたのが田邉先生とお知り合いになったきっかけでした。

お知り合いになる以前からパズルは作られていたようですが、その後も先生はパズルについてあれこれ考えられ、現時点での結論として、パズルで中学入試問題が解けるようにするということをひとつのテーマに置かれたようです。
そのテーマで書かれたのがこの本です。

パズルマガジンを創刊されてから随分経ち、私が言うのは大変おこがましいですが、先生の作られるパズルの見た目もレベルも格段に上がられたように思います。

慶応や開成、ラ・サールなど難関校の過去問をやさしいレベルのパズルから始めて、無理なく解けるようにするというものになっています。
中学入試を考えていない子でも、算数のパズルが好きな子であれば十分楽しめると思いますし、中学入試を考えておられるのであれば、こういうものをまだ多少余裕のある時期に勉強ということをあまり意識せずに取り組まれるといいのではと思います。

もちろん、全く同じ問題は出ないでしょうけれど、類題は出る可能性はありますし、また、こういものに余裕を持って触れておくことで、初見の問題に対しても柔軟な発想ができるようになるのではとも思ったりします。

うちの教室でも、これまでも一部の子にはりんごパズルを使っていますが、新年度をめどにみんなに取り組んでもらおうと考えています。
本は教室に置いておきますので、ご興味のある方はどうぞ。

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2009年1月 5日 (月)

「フィンランド 豊かさのメソッド」 堀内都喜子著

ここ2、3週間ほとんど読書していません・・・。
新しい年になりましたし、またしっかり読まねばと思いつつ・・・。

「フィンランド豊かさのメソッド」 堀内都喜子著 集英社新書

評価 ★★★☆ (フィンランドという国や国民について広く知りたい方にはお勧めかと。)

新書なので、普段持ち歩いてちょっとずつ読んでいたのですが、読みはじめから多分3ヶ月ぐらいかかっているのではないかと思います。

フィンランドといえば、学力調査で1位を取ったりして、書店でも「フィンランドメソッド」などの本をよく目にするようになりました。
こちらの本も帯に「貧困化する日本と対極 格差なき成長の秘密とは?子どもの学力調査(PISA)1位、国際競争力ランキング4年連続1位」と書かれており、タイトルにも「メソッド」という言葉が使われているので、教育のことが結構書かれているのかなと思って購入しました。

しかし、実際にはもっと広く、フィンランドという国について、政治について、文化について、習慣について・・・などさまざまなことが書かれていました。
内容は以下のようになっています。

第1章 不思議でとても豊かな国
第2章 学力一位のフィンランド方式
第3章 税金で支えられた手厚い社会
第4章 日本と似ている?フィンランド文化

教育について書かれていることは、以前読んだ本などに書かれていたことと同じ内容もありましたし、教育のことがメインの本ではないようですので、フィンランドという国そのものに興味のある方なら、読みやすいし、わかりやすい内容なのではないかと思います。

すごいなと思うのは、税金は高いものの、私立の学校というものが存在せず、基本的に学校教育は全て無料。17歳以上の学生であれば、援助金までもらえるとか。
また、教育だけでなく、医療や福祉も充実しているようです。

あまり海外に興味がなく、ほかの国に行きたいとか、暮らしたいとか思うことはないのですが、フィンランドで生まれ育っていたら、それはそれで楽しそうだなとそんなことを思いながら読みました。(もちろん、高齢化などの問題もあるようですが。)

フィンランドに興味のある方はどうぞ。

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2009年1月 1日 (木)

新年明けましておめでとうございます。

いつも覗いてくださっている皆さま、ありがとうございます。
昨年は予想外の出来事が次々と起こり、じっくりゆっくり本を読む時間や精神的余裕があまりなく、ご紹介も半ばやっつけ仕事のようになってしまい、お恥ずかしい限りです。

また、今年は集中して取り組まねばならないと思っていることがありまして、ますます読書ペースが落ちるかもしれません。
このブログを続けているので、なんとか無理矢理でも月に7~8冊は本を読んでこられたのですが、続けると決めたことはやらないと落ち着かないくせに、時間の使い方が下手で、今年は読書より明らかに優先しなければならないことがはっきりとありますため、新年からは基本的に月曜週1回更新、もし余裕があれば木曜か金曜にも更新ということに変更させて頂こうと思います。

ますます更新頻度が落ちてしまいますが、今年もどうぞよろしくお願い致します。

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