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2008年6月30日 (月)

「教えるということ」 大村はま著

またまた大村先生の本のご紹介です。
既にもう1冊と、苅谷夏子氏が大村先生の言葉をまとめられた本も購入していますので、まだまだご紹介は続きそうです。

新編 教えるということ」 大村はま著 ちくま学芸文庫

評価 ★★★★

この本は、4つの章から成っており、過去に出版された先生の著書の中からまとめ直されたもののようで、本書の最後にこう書かれています。

「教えるということ」「教師の仕事」は『教えるということ』(一九七三年、共文社刊)より、「教室に魅力を」は『教室に魅力を』(一九八八年、国土社刊)より、「若いときにしておいてよかったと思うこと」は『授業を創る』(一九八七年、国土社刊)より収録した。

ですので、それらの本を読まれた方はもう読んだことあるよ・・・というものばかりになってしまうかもしれません。
私の場合は、まだ大村先生の著書を読み始めたところですので、そういうことはありませんでしたが、先生が過去の著書の中から選ばれたもので、更にそれが「講演」でお話されたことでもあるため、「あ、このお話は前の本で読んだな」ということは、私でも何度かありました。
ただ、普段、1冊の本を何度も読み返すということをほとんどしない私には、大切な言葉を何度も読むことになって、ちょうどいいのかもしれませんが。

「教えるということ」は1970年8月、富山県小学校新規採用教員研修会での講演。
「教師の仕事」は1973年2月、山形県天童市東村山地区教育委員協議会主催講演会で講演。
「教室に魅力を」は1986年10月、大分文化会館第71回全国大学国語教育学会での講演。
「若いときにしておいてよかったと思うこと」は1985年1月、秋田県第16回冬季国語教育研修会での講演。
以上のように書かれています。

しかし、何を読んでも、一切反論したいところがなく、「そうですよね、その通りですよね」とか、「確かにそうですが、それができる指導者はなかなか居ないでしょうね・・・」とか、そんな気持ちを抱いてしまいます。

もう、そこら中に、耳の痛いこと、考えさせられること、感動することが書かれているのですが、ごくごく一部をご紹介します。

「教えない教師」より
(前略)例えば、国語の場合、よくこういうことがあります。
 まず、教室に子どもを入れて、開口一番、「読んできましたか」という人があります。これは何も教えないということになりませんか。学校はあくまで「学校」で、学習するところです。教室は学習室なのです。(中略)
 ところが、本来の学習室である学校を学習室にしないで、「読んできましたか」というのは、「読む」といういちばん大事なことは家庭でやるわけですから、それでは家庭が勉強の場所になり、学校は検査室になります。読んできたかどうかをみる検査室、読めるかどうかを調べる所、おっかない場所ですね、学校は。(後略)

この後に書かれている「読む」ことをどのように意識して指導するかについては、もう本当に、雲の上の方のように感じます。とにかく素晴らしい。(本来は指導者みんながそのレベルであるべきなのだと思いますが・・・。)

この後に作文指導のことも書いておられますが、作文を書いてこさせる、または、書けと言って自分は他の仕事をして放置し、書き上がったものの評価だけをする教師に対して「黙って書かせる批評家」と呼んでおられます。

「無責任な教師」より
 ある会社に勤めたとします。自分が一つの仕事をもらいます。その仕事をやれません。その場合に、「やったけれどもやれませんでした」などと言おうものなら、相手にされないのではないでしょうか。(中略)
一生懸命やりましたけれども、というのは、だいたい非常に甘えたことばだと思います。一生懸命やるのは、人間一人前ならあたりまえのことで、怠けてやられてはたまったものではないと思います。(中略)会社で失敗し、それで会社に損をかけたとします。その時、「課長さん、すみません。しかし一生懸命しました」と言えば、「ばかなこと言うな」としかられるに違いありません。
 ところが、教師だけはよくまあ言うと思います。「一生懸命指導しましたけれど、お宅のお子さん、どうもうまくおできになりません」私は、そういうことは、教師として言うべきでない。教師が一個の職業だというのなら言ってはいけないと思います。(後略)

他にも、

教師の禁句「静かにしなさい!」
「子ども好き」だけではダメ
「いい人」なんてあたりまえ
禁句「わかりましたか?」
素人でも言える指示する言い方

など、うなってしまうような内容です。

仏様の指
どの子にも成長の実感があること
「劣」に重みをかけすぎ、「優」を忘れていないか

などは、自分も常に心がけていたいと思う内容です。

同じ教材を与え、同じスタートラインで同じ方法で出発すれば、同じにゴールするはずはないと、言われてみれば極めて当たり前のことなのに、教育の現場では忘れがちになっているようなことも、改めて思い出させてくれます。

大村先生は学校の先生に向けて書いて(話して)おられるのだと思いますが、子どもに関わる全ての大人たちに一読の価値はあると思います。
ご興味がある方は是非。

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