« 「父と子の約束」 渡邉美樹著 | トップページ | 「算数脳がグングン育つ「手づくりパズル」のすすめ!!」 高濱正伸著 »

2008年2月 4日 (月)

「自閉症の僕が跳びはねる理由」 東田直樹著

かなり驚きの連続でした。これまで発達障害についての本も多少は読んできたのですが、自閉症について知りたいなら、まずこれを読むべきでは?と、そう感じた1冊です。

「自閉症の僕が跳びはねる理由」 東田直樹著 エスコアール

評価 ★★★★★(←自閉症について知りたい方に)

この本のタイトルは以前に何かで目にしたことがありました。この本ではありませんが、自閉症の方同士の対談のような本があるようなことも何かで読んだ気がするのですが、結局そのままになっていました。

今回、ネット書店をめぐっていたところ、たまたまこの本に行き着き、サブタイトルを見てかなり興味を惹かれました。
サブタイトルには「会話のできない中学生がつづる内なる心」と書かれており、この本が自閉症の中学生の男の子本人が書いたものであるようだと。そこで早速注文してみました。

著者の東田直樹さんは1992年生まれ。1998年3月に「自閉傾向」と診断され、その後公立小学校に入学、2004年4月に養護学校に編入し、そのまま中学部に進学と紹介されています。
また「、第4回・第5回「グリム童話賞」中学生以下の部大賞受賞をはじめ、受賞歴多数。」とも書かれており、実際に彼の書いた童話は何冊も絵本として出版されているようです。

これだけを見ると、自閉と言っても軽度なのでは?と思ってしまうのですが、実際のところ彼は「はじめに」でこう書いておられます。

僕たちの障害

 自分が障害を持っていることを、僕は小さい頃は分かりませんでした。
 どうして、自分が障害者だと気づいたのでしょう。
 それは、、僕たちは普通と違う所があってそれが困る、とみんなが言ったからです。
 しかし、普通の人になることは、僕にはとても難しいことでした。

 僕は、今でも、人と会話ができません。声を出して本を読んだり、歌ったりはできるのですが、人と話をしようとすると言葉が消えてしまうのです。必死の思いで、1~2単語は口に出せることもありますが、その言葉さえも、自分の思いとは逆の意味の場合も多いのです。(中略)
 自閉症を個性だと思ってもらえたら、僕たちは、今よりずっと気持ちが楽になるでしょう。
 みんなに迷惑をかけることもあるけれど、僕らも未来に向かって楽しく生きていきたいのです。

 僕は、会話はできませんが、幸いにも、はぐくみ塾の鈴木さんとお母さんとの訓練で、筆談というコミュニケーション方法を手に入れました。そして、今では、パソコンで原稿も書けるようになりました。
 でも、自閉症の子供の多くは、自分の気持ちを表現する手段を持たないのです。ですから、ご両親でさえも、自分のお子さんが、何を考えているのか全く分からないことも多いと聞いています。
 自閉症の人の心の中を僕なりに説明することで、少しでもみんなの助けになることができたら僕は幸せです。

 この本を読んで下されば、今よりきっと自閉症の人のことを、あなたの身近な友達のひとりだと思っていただけると思います。(後略)

内容は5章から成っていて、それぞれ、自閉症の人の私たちには不可解な行動などについて彼なりにわかりやすく答えてくれています。
章のタイトルは以下の通り。

第一章 言葉について 口から出てくる不思議な音
第二章 対人関係について 
コミュニケーションとりたいけれど・・・・・・
第三章 感覚の違いについて 
ちょっと不思議な感じ方。なにが違うの?
第四章 興味・関心について 
好き嫌いってあるのかな?
第五章 活動について 
どうしてそんなことするの?

これを読むと、これまで読んだ色々な自閉に関する本は何だったのだろう?とさえ思ってしまうほど、全く知らなかったこと、思いもよらなかったことが綴られています。

本の内容はもちろん多少は「子どもが書いた文」という印象はあるものの、とてもしっかりと理路整然と書かれており、だからこそ尚更、彼の苦悩がひしひしと伝わってくる気がしました。

何もわかっていないのではなく、自分がしたい通りにできない、言おうと思っていることと違うことを口にしてしまう、じっとしていたいのにしていられない・・・そんなジレンマと闘い続けているのだと(もちろん、全ての自閉症の方がそうなのかはわかりませんが・・・)いうことを知り、心が痛くなりました。

更にそれだけれなく、彼は(他の自閉症の方もなのかもしれません。)とても純粋で自然を愛し、自然の中に安らぎを感じるのだと書いており、特に印象に残ったのはここでした。

 僕らは帰りたいのです。ずっとずっと昔に。人がまだ存在しなかった大昔に。
 自閉症の人たちは、僕と同じようにそう考えていると思います。
 生物が生まれて進化して、なぜ陸に上がって来たのか、人になって時間に追われる生活をどうして選んだのか、僕には分かりません。
 水の中にいれば、静かで自由で幸せです。
 誰からも干渉されず、そこには自分が望むだけの時間があるのです。
 じっとしていても、動いていても、水の中なら時間が一定の間隔で流れているのがよくわかります。
 僕たちはいつも目や耳からの刺激が多すぎて、1秒がどれだけで、1時間がどれだけなのか見当もつきません。
 自閉症の人には自由がないのです。
 なぜなら、僕たちは原始の感覚を残したまま生まれた人間だからです。
 僕たちは時間の流れにのれず、言葉も通じず、ただひたすらにこの体に振り回されているのです。
 ずっとずっと昔に帰れたなら、きっと今のみんなのように生きられるでしょう。

これを読み終えてから、もう1冊の彼の著書を注文しました。
彼のように、自閉症の本人の言葉は、どんな著名な先生が書かれた本よりも心に響くものがあり、新しい発見がありました。

是非皆さんにも読んでみて頂きたい1冊です。

|

« 「父と子の約束」 渡邉美樹著 | トップページ | 「算数脳がグングン育つ「手づくりパズル」のすすめ!!」 高濱正伸著 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/96750/17875866

この記事へのトラックバック一覧です: 「自閉症の僕が跳びはねる理由」 東田直樹著:

« 「父と子の約束」 渡邉美樹著 | トップページ | 「算数脳がグングン育つ「手づくりパズル」のすすめ!!」 高濱正伸著 »