発売直後から気になってはいたのですが、買うまでもないかなぁと躊躇っていたところ、教室に来ている子が本棚を眺めながら「せんせ~、ホームレス中学生ないん?」と。
「買ってほしい?」と尋ねると、「うん!」との返事。読んでみたい気持ちはあったので、とりあえず購入したのですが・・・。
「ホームレス中学生」
田村裕著 ワニブックス
評価 ★★★★ (ほのぼのするけど、やはり買うほどではないような・・・)
もう有名過ぎるので、説明するまでもないかと思いますが、お笑いコンビの麒麟のひとり、田村裕の自叙伝です。
ダンボールを食べたという話は何度も耳にしましたし、テレビなどでの紹介で、ある日突然お父さんが「解散」と宣言していなくなってしまったと、冗談のような話を聞いていただけに、真相はどうなんだ?とも思っていました。
でも、買って読むほどでもないかなぁとそのままになっていたのですが、子どもの希望もあり、購入決定。早速読んでみました。
本文中でご本人も書いているのですが、正直なところ、文章は決して上手ではありません。印象としてはちょっと作文の上手な小学生か中学生か?という感じ。
まあ、ある意味、難しい言葉は出てきませんし、子どもの作文チックですし、お笑い芸人さんなので書いていることは笑えることが多く、色々な意味で「とても読みやすい本」ではあると思います。
小中学生でも十分読めるのではないかという感じです。(買ってほしいと言った子は5年生なので、十分読めるかと。)
小学校の半ばぐらいまでは経済的にも余裕のある生活をしていたということなのですが、お母様のご病気、ご逝去、その後のお父様のご病気、失業、差し押さえ・・・とある意味でドラマのような展開でどんどんと「貧乏」になっていったようです。
しかし、そんな中でも友人やそのご家族、彼らを取り巻く近所のおじさん、おばさん方が本当に親切で(読んでいて驚くほど優しくてあったかい方がたくさんおられたようです)、また、お兄ちゃんやお姉ちゃんがおり、みんなで助け合って、なんて素敵な兄弟なんだろうと、しみじみ感動することも少なくありません。
ただ、きっと田村さんは本当に本当に心がきれいな優しい人なんだろうなと思いました。
そもそも、いくら破産しようが、差し押さえされようが、父親が未成年の子ども達を放り出していなくなってしまったら、普通なら絶対恨むのではないかと思うのです。
「解散」から程なく、町で自転車に乗ったお父さんに遭遇する場面があるのですが、お父さんはその時点で自転車に乗って元気に過ごしていたわけです。その時田村さんは中学生ですから、普通なら殴りかかるなり、どこでどうしているか問い詰めるなりしそうな気がするのですが、そんなこともせず、そのまま別れてしまうのです。
そして、著書の中にお父さんはよく頑張ってくれた、恨んでいないというようなことも書いている。それは多分本心なんだろうなと。
自分ならあり得ないだろうと思います。未成年の子ども達を放り出し、自分はどこかでなんとか生活している。そんなこと常識で許されるとは思えません・・・。
でも、きっと、田村さんは本当にお父さんのことを恨んだりもせず、置かれた過酷な状況の中でも卑屈にならず、人に感謝しながら過ごしていたからこそ、たくさんの人が救いの手を差し伸べてくれたのではないかと、そんな気がします。
あまり内容を書いてしまうとネタバレになりますので控えますが、ここだけ引用させて頂こうと思います。自分達を放り出していなくなってしまったお父さん(これを書いた時点ではどこで何をしているか全くわかっていなかったはず・・・)に彼はこう書いています。
よくみんなに「お父さんに恨みは無いのか?」と聞かれる。
確かに家が無くなって苦労はしたが、全く恨みは無い。
むしろ感謝の気持ちでいっぱいである。
お父さんは本当に頑張っていたと思う。
お母さんの死に関しても、きっと僕達よりショックは大きかっただろう。
それでもお兄ちゃんをちゃんと大学に行かせ、お姉ちゃんを高校に行かせ、僕にも部活を続けさせてくれた。
僕達に働くことを強要したりは一切しなかった。
お父さんはちゃんと僕達を育ててくれた。お父さんはちゃんと父親の役目を果たしてくれた。
しかし、お父さんの父親としての役目はまだ終わっていない。僕達が親孝行するために帰ってこなければならない。
今度は僕達がお父さんを守る番。
一日も早くそうしたいと願っています。
お父さん、あの頃は何も手助けできなくてごめんなさい。
「おわりに」のこの言葉も素敵です。
学が無いので、もちろん文章力も無く、間違った表現や言葉もあると思います。読みにくいかもしれませんが、たくさんの人に読んでいただき、何か感じるものがあればいいなと思います。
僕は、お湯に感動できる幸せのハードルの低い人生を愛しています。
ささやかなことの中に幸せを感じられる人生はきっととても素晴らしいものだと思います。
芸人本としては先日の千原ジュニアや以前ご紹介した島田紳介さんなどの本のように強くお勧めはできませんが、気持ちが優しくなる素敵な本には違いないと思います。
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