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2007年11月 1日 (木)

「世界で一番いのちの短い国」 山本 敏晴著

長らく映画もレンタルビデオ、DVDも見たことのない生活・・・。
お知り合いの塾長さんがある映画を薦めてくださったのですが、それを見るより先にこちらを読んでみました。

「世界で一番いのちの短い国 シエラレオネの国境なき医師団 

山本 敏晴著 白水社

評価 ★★★★★ (教育には直接関係ないと思いますが・・・)

帯に書かれている言葉がショッキングです。

5歳になるまでに、子どもの3分の1が
死んでゆく・・・・・・。平均寿命最短の知られ
ざる国で、若き医師が救う彼らの「命」

私自身、シエラレオネという国は全く知りませんでした。国名を聞いたのも今回が初めてだと思います。
著者の山本氏は医師であり、写真家。また、非営利非政府組織「宇宙船地球号」代表を務めておられる方だそうです。

この本の写真も山本氏自らが撮影されたそうですが、子ども達の表情がとても生き生きと写されています。

また、著書の最後に、山本氏の著書は全て、「営利目的ではなく、国際協力の世界を読者に知っていただきたい願いによって刊行されており、印税・原稿料をいっさい受け取っておりません。」と書かれています。

5歳になるまでに3分の1の子どもが死んでいく。世界最短の平均寿命の国・・・。
正直言って全く想像がつかず、どんなつらく壮絶な生活なのだろうと思いながらページを開いたのですが、著者の文章がとても明るく、前向きに楽しく書かれているため、読んでいてもむしろ楽しくどんどん読み進めることができます。

しかし、著者の実際の医療活動、現地での生活を側で見ていたとしたら、あまりの過酷な労働に言葉をなくしてしまうだろうと思うほど、朝から晩まで、ろくに睡眠もとらず、食事も味やバランスなどとは言っておられない環境で半年間、現地の方たちのために働き続けられたことは恐らく間違いなさそうです。

HIVの陽性患者が沢山いる中、危機的な出産で母体の出血が止まらず、大きな病院に着くまでの2時間、止血のために手袋なしでそこに腕をつっこみ続けたというエピソードが初めの方に出てくるのですが、もしもその母親が陽性だったら、著者もHIVに感染する可能性は極めて高かったそうで(幸い事なきを得たそうですが)、本当の意味での「命がけ」の国際協力なのだなと、読み進めるほどにそれを感じます。

山本氏が素晴らしいと思うのは、先進国からの押し付けにならないよう、現地の言葉をできる限り覚え、現地の習慣なども学び、現地の方の立場に立った協力を心がけておられることや、自分たちが去った後に同じレベルの医療サービスが受けられるよう、現地のスタッフを教育し、そのほかにも現地の一般の人たちに広く衛生教育などを広めていく活動をしておられることなど、本当に本当に素晴らしい方だと思いました。

文章もとても読みやすく、面白く、ご自分で写真まで撮ってしまい、本業(?)はお医者様。ものすごい才能の持ち主だなと思いますが、この本には山本氏なりの国際協力のあり方なども書かれており、国際協力に関心がある方には大いに参考になるのではと思います。

私のように、直接国際協力とか考えていない人間でも十分面白く読め、また、色々なことを考えさせられもしました。
そして、日本に生まれた自分たちが、それだけでいかに恵まれているかということも感じました。平和で長寿命の国に生まれた幸せに感謝して、しっかり生きていかねばと思う1冊です。

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