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2007年8月 9日 (木)

「子供をゲーム依存から救うための本」オリヴィア・ブルーナー&カート・ブルーナー著

先日書店の店頭で目に留まり、ちょっと気になったので読んでみることにしました。
ただ、この類の本は過去にも読んだことがありますが、賛否両論。ある本を紹介した際には批判的コメントを頂いたりもしましたので、さて、これはどうなんだろうと思いつつ読み始めたのですが・・・。

「子供をゲーム依存から救うための本」 

オリヴィア・ブルーナー&カート・ブルーナー著 木村博江訳 文藝春秋

評価 ★★★★

個人的には、共感できるところが多く、また以前ご紹介した物々しい黒表紙の話題書のようにゲーム漬けになることで起き得る害などで恐怖心を煽る(もちろん、そういう面も実際にはあるのだと思いますが)という方向ではなく、読んでいても不安や恐怖を感じることなく落ち着いて読むことができました。

著者はアメリカ人ご夫妻で、実際にご自分たちのお子さんをゲーム依存から脱却させたご経験をもとに書いておられます。
アメリカでのことではありますが、アメリカでは日本よりメディアなどへの年齢規制などが厳しいようなことも聞きますので、ある意味で日本の方がもっと深刻な事態なのかもしれないと思いつつ読みました。

本の帯にはこう書かれています。

わが子をゲーム中毒から救い出した両親がはじめて書いた!

<こんな人は要注意!>
・子供が幼いころからゲームをしている
・ゲームがいつも身近にある
・宿題をさせるためにゲームをだしに使う
・「あと1レベル」の罠にはまる
・子供との衝突を避けるために弱腰になる

そして、表紙をめくるとこんなチェックリストが。

□ あなたの子供は、ほぼ毎日ゲームをしますか?
□ あなたの子供は、長時間(つづけて三、四時間)ゲームをすることが多いですか?
□ あなたの子供は、ゲームで興奮しますか?
□ あなたの子供は、ゲームができないと落ちつきをなくしたり、いらいらしたりしますか?
□ あなたの子供は、ゲームのために友だちづきあいやスポーツを犠牲にしますか?
□ あなたの子供は、宿題をやらずにゲームをしますか?
□ あなたの子供は、ゲームを短時間で切り上げようとしても、できないでいますか?
□ あなたの子供は、現実の体験に興味を失っているように見えますか?

チェック(本では赤でチェックの印)が四つ以上の人は、いますぐ本書を読んでください。

また、はじめににウォルト・ラリモア医学博士という方が書いておられることの一部を引用してご紹介すると・・・

 カイザー・ファミリー財団が二〇〇五年におこなった大規模な調査によると、青少年がメディアコンテンツ(テレビ/ビデオ/ゲーム/パソコン/音楽/映画/雑誌など)についやす時間は、過去五年間で一日一時間以上ずつ増加し、現在では日に八時間になっている。増加のおもな原因は、ビデオゲームだという。なんと、フルタイムで働くのとおなじ時間数だ!(中略)
 ブルーナ夫妻は、毎日パソコンの前でゲームを相手にすごす子供たちが、どれほどマイナスの影響を受けるか、数多くの例をしめしている。実際に、あなたの子供や家族がビデオゲームに刺激され、有害な(下線は本文では傍点)影響を受けることは、ほぼ一〇〇パーセント確実なのだ。
 ブルーナ夫妻は、なぜ子供がビデオゲームに夢中になるのか、そしてこの"デジタル・ドラッグ"にたいする依存症から子供を守るにはどうすればよいのかを解きあかし、人びとに伝えようと努力をつづけている。(中略)
 医療センターのウィリアム・ディーツ博士は「テレビを見ることほど、エネルギーを使わない行為はない」と述べているが、ビデオゲームも同じだ。そして、スクリーンの前にいる時間が長くなると、子供がきょうだいや親と過ごす時間は減ってくる。
 ほかにもいろいろ挙げられるが、もうおわかりだろう。
 あなたの子供が、子供らしい健康な活動ではなく、ビデオゲームの世界に引き込まれていたら、この本はあなたのものだ。
 ビデオゲーム依存は深刻だ――社会にも、あなたの子供や家族にも、長く影響を残す。
 親は誰でも、自分の子供がしあわせで健全で生産的な大人になることを望むものだ。ブルー名夫妻は、プレステ王国ではその目標がきわめて達成しにくいと、強く主張している。
 規則をもうけてゲーム時間を制限したり、ビデオゲームを家に置かないと決断する場合、弱腰になってはいけないと、この本は教えている。愛情をもって子供をしつけるときは、毅然とした態度が大切だと説いている。そして「子供の人格を育てあげるより、子供を甘やかすほうがたやすい」とも語っている。(中略)
 彼らの目的は家族のきずなをとりもどすこと、子供の環境を整えること、子供の夢と創造力をのばすこと、子供を守り育てることだ。
 実際に、ビデオゲームやテレビにのめり込まなかった子供は、健康的な人間関係を築く割合が高い。彼らはきちんと食卓について夕食をとり、スポーツ、ボードゲーム、散歩、音楽、映画などを楽しみ、ペットの世話をし、家事や庭仕事を手伝う。
 ビデオゲームをしたい放題にしても親から文句を言われず、インターネットへのアクセスも制限されなかった子供は、いずれ深刻な問題を抱えるだろう。私はそのことに疑いをもたない。(後略)

引用が長くなりましたが、小さいお子さんをお持ちの方は、今ご自分のお子さんはゲームをしておられなくても、また、しているとしても時間を守ってしておられるのだとしても、一度読んでみられてはと思う内容が色々書かれていました。

もちろん、アメリカでの話ですので、そのまま日本に置き換えることはできない面もあると思いますが、この本で一番納得したのは、過去に読んだ本などで殺人ゲームなどを延々続けていると、現実と仮想の区別が曖昧になってきて、実際に思いもよらない、また現実味のない凶悪犯罪を起こしてしまうなどということが書かれており、それに対しての反論も多くあったように思いますが、この本では、そういう例も取り上げてはいるものの、もっとシンプルに、ゲームというのはどんどんのめりこんでしまうように作られているものなので、小さい子供であれば尚更、時間を守れといってもなかなか難しく、結果、本当ならもっと生産的な活動に使えたであろう時間をゲームに費やしてしまうことのもったいなさのようなことに主眼を置いて書いておられる印象を受けました。

その点においては、きっと反論の余地もないのでは?と思うのですが、いかがでしょう?
著者ご夫妻は全てのゲームを否定しているわけではなく、コントロールがきかなくなることの恐ろしさや、それによってどれだけのものを失うかということなどを分かりやすくまとめ、子を持つ親御さんには大いに参考になる内容になっているのではないかと思います。
ご一読をお勧めします。

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