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2007年6月 7日 (木)

「夜回り先生のねがい」 水谷修著

これまでにも何冊か水谷先生の著書はご紹介してきましたし、「夜回り先生」と言えば、もう多くの方がご存知に違いありません。
心から偉大だと思う方ですし、どの本もいつも心を打たれるのですが、たくさんの本が出版されて、全てを買うのはちょっとなとこのところあまり手にしていませんでした。

しかし、この本の帯に書かれた言葉に思わず手に取ってしまいました。

「夜回り先生のねがい」 水谷修著 サンクチュアリ出版

評価 ★★★★★

水谷先生の著書はいつも涙なくしては読めず、大抵は読み始めて間なしから涙が溢れてきて、最後まで泣きっぱなしになってしまうというのがお決まりのパターンです。

また、どの本に書かれていることにももちろん心動かされましたが、先生の関わっておられる夜の世界、影の世界のことという点では全て共通しており、そういう意味では全部を読まなくてもいいのかなと思うようになりました。

しかし、書店でこの本を見たとき、これは読まなくては!とそう思いました。本の帯にはこう書かれていました。

夜回り先生が
痛みとともにつづった、
渾身の最終章

そして、裏にはこうも書かれていました。

私は夜回りを死ぬまで続
けるつもりです。しかし
この本は「夜回り先生」の
最後の一冊にしたいと思
います。

「最後」という言葉が色々な意味で心にひっかかりました。
ご病気を患っておられる先生。しかし、入院、手術という選択をせず、ご自身の人生全てを子ども達のために捧げようとしておられるかのお姿。

先生の余命がどれだけあるのかわかりません。ただ1日でも長く、お元気でいらして頂きたいと願っています。
その先生ご自身が「最後」と決められたのはなぜなのか。
ネット書店のレビューである方が、先生が講演で「大仕事をする」と話しておられたと書いておられたのですが、それが一体なんなのか、気になるところです。

今回も読み始めていきなり涙が溢れてきて、ある晩、布団に入って読み始めたのですが、結局泣きながら最後まで読み通してしまいました。

今回、これまでと一番違うことは、先生の大人への視線、メッセージです。
「はじめに」から一部引用させて頂きます。

 一方で、私はおとなたちを憎み続けていました。大人がきちんと見守り、優しく育てていれば、子どもはわざわざ自分を傷つけようとしたり、死を考えたりすることはありません。追い込んでいるのは、間違いなく両親や教員たちです。許せませんでした。(中略)
 しかし、私はあるとき知りました。決して弁護する気はありませんが、そういう大人たちも、実は会社や社会で否定され続けている存在なんだということを。(中略)そのせいで自尊心も失いつつあります。自尊心を失うと生きる力が弱まり、それだけ人間としての器が小さくなる。そのイライラを、暴力という形で子どもにぶつけているのです。(中略)

 私はすべての大人を一方的に敵として憎むことで、つねに子どもたちと同じ目線で生きようとしてきました。しかしそれは正しかったのでしょうか。
 今の日本には、心に余裕のない大人がたくさんいます。余裕がないからこそ、より弱い立場である子どもを追い詰めてしまう。もちろん、本当にひどい大人もたくさんいます。でもそれ以上に多くの大人が、自分の過去に苦しみ、悩み、なんとか罪を償おうと必死になっている。そういう大人たちが本来持っているはずの優しさも、もっと子どもたちに伝えていくべきだったんじゃないかと、今では悔やんでいます。

長い引用になりました。
こんなに書いてしまっては問題かもしれませんね・・・。(不都合があれば教えてください。)

その後には12のさまざまなエピソードが書かれ、やはり心を揺さぶられます。

そして、これまでと大きく違うことが「おわりに」にも記されています。
これまでの先生は子ども達に対してはどこまでも限りなく愛に溢れる方だと感じましたが、その愛する子ども達を守るために大人を敵視している点はあったように思います。
ただ、この本では、もちろん「敵」である大人は存在するものの、そうではない、苦しんでいる大人もたくさんいるのだということに先生自身が気付かれ、それを子ども達にも伝えておられます。

私はこれまでの本の中でこの本が一番好きです。
これまで「夜回り先生」の本を読まれたことのない方はもちろんですが、私のように、何冊か読んだからもういいかなと思っておられる方にも是非読んでみて頂きたい1冊です。

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