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2007年6月25日 (月)

「奇跡と呼ばれた学校」 荒瀬克己著

先日、都麦さんのメルマガで日経ビジネスの話題が出ていて、ちょっと気になったので、普段は読むことのない日経ビジネスを購入。
その中の特集記事に、京都堀川高校のことが紹介されていて、興味を引かれたため、読んでみることにしました。

「奇跡と呼ばれた学校 国公立大合格者30倍のひみつ

荒瀬克己著 朝日新聞社出版社

評価 ★★★★

日経ビジネスを読んだところ、京都の公立高校である堀川高校が2001年には国公立大合格者が6人だったのが、2005年には180人と30倍になったということ、その授業内容などがかいつまんで紹介されていました。
一体どんな改革をしたのかが気になって、早速こちらを購入。期待しつつ読んでみました。

生まれてから神戸を出たことのない私は他府県のことはほぼ全く知りません。
京都にもどれだけの学校があって、どんな選抜方法で・・・ということも全く知りませんでした。

著者である荒瀬克己先生が校長を務める京都の堀川高校は、95年に立ち上がった「京都市立高等学校21世紀構想委員会」の答申で、京都市立高校改革のパイロット校になったそうです。

その後、99年にいよいよ新しい堀川高校がスタートし、このときの1年生が卒業する年、前年には6人だった国公立合格者がいきなり106人になったそうです。(既に20倍近いですね。)

それまでの京都の公立入試は戦後、総合選抜で行われてきたものが85年に改革があり、その頃から人気校、不人気校の格差が生まれ始め、更に、「公立はあかん」と、大学受験するなら私立だという風潮もできあがっていっていたようです。

そこで立ち上がったのが上述の委員会。荒瀬校長ご自身、この会の委員として尽力されたようです。

その後、様々な議論が重ねられ、堀川高校はそれまでの普通科のほかに「人間探求科」と「自然探求科」を新設、新たなスタートを切ったようですが、どんな取り組みをしたか、どんな変化があったかなどが綴られています。

私は単純なので、もし私が中学生のときに京都に住んでいて、この学校の存在を知ったら、多分ここを受けたいと言っていただろうなと思いながら読みました。
荒瀬校長のことは、今回まで全く存じ上げませんでしたが、書かれている教育論、価値観など、とても多くの部分で共感でき、この方が校長を務めておられるのであれば、その元に集う子どもたちは幸せだなと思いました。(もちろん、校長のお考えが全教職員に伝わっていればということになるかもしれませんが。)

高校に関することが書かれているのですが、最後の第5章は「若者たちの巣箱-校長アラセはこう考える」と題されて、荒瀬校長の思いが綴られています。
この章は特に、小さいお子さんをお持ちの方でも大いに参考になるのではと感じることが多かったです。
一部引用しますと・・・

 言葉は、人が成長していく上で何よりも大切なものです。しかも、いい言葉、正しい言葉を浴びて育っているかどうかは、大きな問題です。
 しかし、その大事な言葉が本当に大切にされているだろうか。残念ながら、そうとは言えない状態があります。いい言葉を浴びていない子どもの中に、いい言葉が育つはずはありません。
 高校生たちを見ていると、右手の親指一本で、見事なスピードでメールを打っています。携帯メールは、語尾を言わなくても通じたり、単語だけで会話をしたり、さらに言えば絵文字だけでも通じてしまう便利な道具です。時代によって言葉のあり方は変わるので、それもひとつの表現手段と思えば、何も心配することはないのかもしれません。しかしながら、丹念に言葉をつむぐことが必要な時期に、そのことから若者を遠ざけてしまってはいないでしょうか。(後略)

 知識や経験を得られる場所は、学校や教室の中だけではありません。さまざまな体験、特に自然の中での遊びの体験は、子どもたちにとって大きな学びのチャンスです。身体を使って失敗や成功を繰り返しながら、知識を活用する経験を重ねるという、大切な時間と場所を得ていきます。
 しかし最近は、「遊ぶ」ことを本当に体験している子どもたちが、減っているのではないかということをつくづく思います。(中略)
しかし、野外で遊んだり、友達とちょっと遠くまで冒険してみたり、そういったことを通しての学びは、教室で学ぶこととはまた違った重みがあります。(中略)
 そんなふうに、自然の中でさまざまな体験をすることによって、子どもたちは脳に刺激を受け、忘れることのない言葉を覚えます。(中略)
夕日を見る、自然体験をする、そこから滋養のある言葉が生まれます。

そのほか、「おばあちゃん子が成功する!?」や「意識した理不尽も必要」「手を使う、手で考える」など、興味深いこと、大いに共感することが書かれています。

新書でお手頃ですし、ご興味のある方は是非どうぞ。

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