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2007年5月24日 (木)

「そのオモチャ、本当に買ってあげていいの?」 ガリー・バフォン著 

書店に行くとついつい買い込んでしまうため、最近は極力ネット書店利用なのですが(届けてくれるから重くもないし)、子ども達の本は中を見ずに買うのは難しく、取り扱いもまだ限られているので、そういうときについつい他の棚も覗いてしまいます。

そのとき目に留まった1冊がこちら。
なんとも心にひっかかるタイトルだと思いませんか?

「そのオモチャ、本当に買ってあげていいの?」 

ガリー・バフォン著  遠藤 公美恵 訳  

ディスカヴァー・トゥエンティワン

評価 ★★★★★ (私にとってはかなり興味深かった。)

著者であるガリー・バフォン氏は著者紹介によると、臨床心理学者であり、裕福な家庭特有の「心の問題」を扱う第一人者となっています。
実際、この本自体もアメリカの上流階級に属している親向けに書かれているそうで、内容としては日々の生活には全く困らないだけの資産がある、経済的に成功した親が子どもにどう接するべきかという形で書かれています。

更に、アメリカを基準に書かれた本ですので、普段の私であれば、国も違う上、私自身を取り巻く環境とも無縁の層に対するものであり、読もうとさえ思わないはずなのですが、これは違いました。

アメリカではこういうことが上流階級のみで問題になっているのかもしれませんが、本書で扱われている「シルバースプーン症候群」と呼ばれる症状は日本の多くの子ども達にも共通する症状が出ているのでは?と、読めば読むほど感じました。

そもそも「シルバースプーン症候群」というものがなんなのか。
私自身、この本を手に取るまで聞いたことのなかった言葉ですが、本書によると「豊かさが子どもにもたらす弊害と、それによって引き起こされるさまざまな症状」のことをそう呼んでいるようです。

ちなみに、本の表紙を開くと、こんなことが書かれています。

あなたは、こんなふうに思っていませんか?
!「子どもには、自分たちがもてなかったものを与えてやりたい」
!「子どもに好かれたい」
!「すばらしい子ども時代を与えてやりたい」
!「お金の苦労をさせるのはしのびない」
!「ちゃんとお金がすべてではないと教えているから大丈夫」
その思い込みが、子どもをダメにする!

ここだけ読んだら、どういうこと?という感じかもしれませんが、お子さんを持つ親御さんでここに挙げられていることの多くに頷かれる方は、是非一度読んでみられてはと思います。

本書は前書きと後書き他10章から成っており、それぞれの章のタイトルは以下のようになっています。

はじめに お金があれば幸せになれる?
第1章  「シルバースプーン症候群」ってなんだろう?
第2章  忙しい親がおかす五つのあやまり
第3章  処方箋① 必要以上にモノを与えない
第4章  処方箋② モノではなく愛情を与える
第5章  処方箋③ 努力して手に入れさせる
第6章  処方箋④ 金銭管理のスキルを身につけさせる
第7章  処方箋⑤ 親が身をもって示す
第8章  お坊ちゃま、お嬢ちゃま病を予防する(3~12歳)
第9章  反抗期を乗り越える(13~20歳)
第10章 一人前の大人として旅立たせる(20~30代)
おわりに 子どもに本当に遺したいものは?

更に、症候群の診断テストが全部で7つ載っており、現在の我が子の状況を簡易診断できるようにもなっています。

因みに、「シルバースプーン症候群」の診断テストでは以下の5つの質問が挙げられています。

① お子さんは、何事につけやる気がなく、本来の能力を発揮できていないようですか?
② お子さんは、自分の思いどおりにならないとかんしゃくを起こしますか?
③ お子さんは、欲しいものは何でも努力せずに手に入れられると思っていますか?
④ お子さんは、お金をきちんと管理するのに必要な知識やスキルが欠けていると思われますか?
⑤ お子さんは、流行最先端のおもちゃやブランド物の服、ステータスシンボルになるような車をもっていないと、自信がもてませんか?

この本自体、幼い子だけでなく、親にとっての子ども、それこそ、成人して社会に出て独り立ちするまでのことについて書かれているため、小さいお子さんをお持ちの方だと上の5つのうち殆ど当てはまらないと思われる方も多いかもしれません。

ただ、内容的には読めば絶対共感したり、子どもへの接し方を振り返ったりするきっかけを得たりされる方が多いのではないかと思いました。

「努力せずに手に入る」「与えられることが当たり前である」
これらは、少子化が進み、「6ポケッツ」という言葉まで使われるようになった現代の多くの子ども達には決して珍しいことではないように思います。(もちろん、私自身、「裕福な家庭」とは言えませんでしたが、実家を離れるまでは生活の全てを親が面倒を見てくれて、大学の学費を出してもらうのも当たり前のことのように思っていましたので、自分は違うというつもりはありません。)

しかし、それに慣れ切って育つことで、目標が見つからないであるとか、何事に対しても真剣になれないであるとか、人をお金のあるなしで判断するであるとかいった人間に成長していく危険性をこの本では教えてくれているように感じます。

最後に訳者である遠藤氏が書いておられることから一部を引用します。

 もたざることに苦しんだ世代。より多くもつことを目指してきた世代。もっていることを当たり前だと思っている世代――そしてついに、もっていることに毒され、苦しむ世代が登場している。常にアメリカの後追いで社会現象が生じる日本においても、これはけっして対岸の火事ではない。本書が想定する読者は世帯年収が十万ドル以上――日本の共働き夫婦であれば、ごく普通に達成できる金額だ。
 しかも、たとえそれほど収入がなくても、子に不自由な思いをさせまい、引け目を感じさせまいと、親は無理をしてでも子どもの欲求をかなえてやろうとする。「人並み」であることを重視する日本人はその典型で、本書の警告やアドバイスは、だれしも思い当たる節があるのではないだろうか。遊びに連れて行ってあげなければ、自分の部屋を用意してあげなければ、携帯電話をもたせてあげなければ、私立の学校に行かせてあげなければ、「子どもがかわいそう」。しかし、本当にそうなのだろうか?
 あなたも、自分自身に問いかけてみてほしい。
「そのオモチャ、本当に買ってあげていいの?」

長い引用になりましたが、遠藤氏の言葉に何か感じられた方は是非ご一読をお勧めします。

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