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2007年1月29日 (月)

「ことばの遅れのすべてがわかる本」 中川信子監修

書店の店頭でなんとなく目に留まり、少し関心もあったので読んでみることにしました。

「ことばの遅れのすべてがわかる本」 中川信子監修 講談社

評価 ★★★★

何版と呼ぶのでしょうか、B5の縦を短くして正方形に近くしたぐらいのサイズで、挿絵を多用し、2色刷りで作られており、とても読みやすい本でした。

著者の中川氏は「言語聴覚士」という資格をお持ちのようですが、実はこれまで私はそんな資格があることを全く知りませんでした。国家資格で、言語関連の悩み、障害について広い知識を持っており、そういうことに関して悩んだり困ったりしておられる方の相談、指導、療育などを行うお仕事だそうです。

そんなお仕事の専門家でおられる著者が書かれているからということもあるのか、とてもわかり易く、悩んでいる方、不安に感じている方にはとても参考になるのではないかなと♪思いながら読みました。

著書は5章からなっており、

第1章 ことばをはぐくむ10のポイント
第2章 うちの子は、ことばが遅い?
第3章 原因探しより、対応が大事
第4章 困ったときは、専門家に相談
第5章 対応のゴールは、楽しく暮らすこと

それぞれ以上のようなタイトルになっています。
私は子育てをしたことがありませんし、教室に来てくれる子達も基本的にしゃべれる、ある程度はひらがななども読めるという状態になってからの子達ですので、直接何か参考になるということはありませんでしたが、読みながら、お母さん(お父さん)方は子どものことで本当に日々色々なことを考え、迷い、悩みながら育てておられるのだなぁということも改めて感じました。

特に、今のように情報が氾濫している社会では、一層他のお子さんとの差が気になることもあるでしょうし、子どもの数も少ない分、その差が目立ってしまったりすることもあるのかもしれないなと思いました。
そんな中、お子さんのことばのことで悩んでおられる方には十分参考になるのではないかと思います。

また、「ことば」に関することがメインで書かれてはいますが、ことばの発達に関しては特に気になることがないという方でも、子育ての参考になることが色々書かれているのではと思います。

まず1章の「ことばをはぐくむ10のポイント」で書かれていることからいくつか紹介しますと、「ことばを教える前に心と体を育てよう」とか「発音が間違っていても、気持ちを受け止める」とか、「テレビを消して、話す時間を増やす」とか、これまでに読んだほかの育児書、教育書でも大事だとされていることなどが挙げられています。

要するに、「ことば」を育てたいからといって「ことば」だけを教え込もうとしても望むような効果は得にくいということなのだと思いますが、結局子どもを育てるにはバランスよく、体も頭もしっかり使うというようなことが望まれるということなのだろうなと思います。

また、4章「困ったときは、専門家に相談」に書かれているのですが、一部引用します。

迷っているなら、
行ってみたほうがいい

 相談機関や療育機関はそれぞれに特質が異なり、ことばにくわしいところもあれば、別の問題をあつかうところもあります。
 行ってみなければわからない、というのが現状です。行く前から悩まず、困ったらまず相談するようにしてください。主な悩みがはっきりすれば、その専門家を紹介してもらえるでしょう。

このように書いておられ、どんな相談機関があるかなども具体的に紹介してくださっています。
また、ことばが遅れている原因が「難聴」や「口蓋裂(上あごや唇が割れている状態のことだそうです)」など具体的に身体的な障害がある場合は、少しでも早く治療や手術などをすることでことばの発達を促すことができるとも書いておられ、そういう意味でも気になることがあれば早目に相談してみるということも大事なのだなと感じました。

私は本を読むときについつい感覚で読んでしまうところがあるのですが、著者はきっと愛情に溢れた方なのだろうなと、この本を読みながら感じました。
子どもへの優しい思い、悩んでいるおうちの方たちへの配慮が伝わってくるような、そんな1冊でした。

乳幼児をお持ちの方などは一度読んでみられてはいかがでしょうか。(他の方でも参考になることは色々あると思います。私でも興味深く読めたところが沢山ありましたので。)

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2007年1月25日 (木)

「ワーキングプア」 門倉貴史著

今回の本は直接仕事には関係なさそうですが、どうもタイトルが気になったので読んでみました。

「ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る 

門倉貴史著 宝島社新書

評価 ★★★☆

ネット書店をうろうろしていたところ、たまたま目に留まった本でした。タイトルも気になりましたし、「いくら働いても報われない」というのは一体どういうことを言っているんだろう?と、他の本を頼むついでもあり、取り寄せてみました。

届いた本の帯にはいきなり

労働人口の4人の1人は生活保護水準で暮らしている

と書かれており、そんなことってあるのか?と思いながら読み始めてみました。

例によって、経営とか経済とかには全く疎いので、著者のことは全く存じ上げていませんでしたが、これまでにも何冊も著書を書かれ、ベストセラーも出されたことのあるエコノミストだそうです。

本書は5章からなっており、それぞれの章は以下のようなタイトルがついています。

第1章 日本の労働者の4人に1人は生活保護水準で暮らしている
第2章 働き盛りの中年家庭を襲う「ワーキングプア」の恐怖
第3章 崩壊する日本型雇用システム
第4章 非正社員で働く若者達
第5章 「構造改革」による自由主義経済と民営化の果てに

また、それぞれの章の終わりには「ドキュメント『ワーキングプア』」と題し、実際に「ワーキングプア」に陥っている方などへのインタビューを全部で10本紹介している。

私はこの言葉を知らなかったが「ワーキングプア」とはそのまま「働く貧困層」という意味で、著書ではこう説明されている。

 「ワーキングプア」とは、汗水たらして一生懸命働いているのに、いつまでたっても生活保護水準の暮らしから脱却できない人たちのことをさす。

この言葉は1990年代にアメリカで初めて登場したとのことだ。

また、著書の中では日本の「ワーキングプア」について、厳密な定義が存在しないとのことで、著者が著書でこう書いておられる。

年収がいくらを下回ったら「ワーキングプア」であるという厳密な定義はまだ存在しないが、ここでは、東京23区の生活保護水準(=2004年度で年間支出194万6040円)を基準にして、働いているのに年間収入が200万円に満たない人たちを便宜的に「ワーキングプア」と呼ぶことにしたい。
 厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によって、所定内給与が年間で200万円未満の人の数(所定内給与なので、残業代やボーナスを含めると年収はもう少し多くなる)をみると、2005年は男女合計で546万860人にも上る。

個人的には、この「所定内給与」というのがちょっとわかりにくく、ボーナスや残業代が含まれていないというのであれば、このデータから労働者の4人に1人が生活保護水準と言ってしまうのはどうなのかな?と思わなくもないし、また、基準が「東京23区」になっているので、地方で東京よりは土地や家賃その他の物価も安いという方も含んでいるのだろうから、単純に4人に1人という感覚はちょっと違うのかなと思ったりもする。(と、こんな風に感覚的にものを言っていたら、先日ご紹介したばかりの鈴木氏の著書で何も学ばなかったことになってしまいそうだが・・・。)

まあ、労働者に占める割合はもう少し少ないとしても、実際にそう呼ばれる層は存在し、どうやら拡大しているということは間違いなさそうだ。(しかし、私は雇用されていないので「労働者」とは言ってもらえないわけだが、まあ、多分しばらくの間この層に属していたんじゃないかと思われる。(笑)というか、給与ってことはそれだけは生活するために使えるってことだろうから、間違いなく属していたなぁと。(苦笑))

著者は「ワーキングプア」が増える最大の要因をこう述べておられる。

 最大の要因は、日本の企業が正社員の数を減らして、派遣社員や契約社員、嘱託社員、パートタイマー、アルバイトといった、いわゆる非正社員の数を増やしていることがある。

要因がわかっても、企業も生き残りをかけて人件費を削ってきたという背景もあるだろうし、人件費を削らずにいれば、会社自体の存続が危ぶまれることだってあるのだろう。そうなれば、その会社で正社員だった人たちもいきなり「ワーキングプア」に仲間入りしてしまうかもしれないのだ。
そう考えると、解決の道は非常に険しいのかもしれないと思わざるを得ない。

日本は少し前までは終身雇用が当たり前になっていて、就職というよりは「就社」というイメージが強かったようだ。
そのシステムが確立し、スムーズにまわっていた間は「若いうちは安い賃金だけれど、歳を取れば賃金が上がっていく」という年功序列の賃金制度をきちんと機能させていたとも書いている。

それが崩れ、バブルもはじけ、生き残りをかけての大量リストラ、生き残れなかった企業の社員は失業、ゼネラリストではなくスペシャリスト、初心者の育成ではなく即戦力の中途採用、高い人件費は払えないので安い外国人労働者などの雇用・・・などなど様々な要因が重なって、若い人も中高年も「ワーキングプア」に陥ってしまう危険が高まっているということのようだ。

章ごとに紹介されるドキュメントのインタビュー記事を読んでいると、今どんな高遇を受けている会社員でも、絶対安心ということはないのだなと改めて思う。(もちろん、人生に「絶対」ということはそうそうないのはわかっているが。)

インタビューを受けている人の中には年収800万だったという人や年商14億円の会社社長だったという人なども紹介されているし、教育系の4年制大学を出て一旦は学校の教師になったという女性なども紹介されており、単に学歴がないからとか、もともと安定した仕事に就けなかったからとか、そういう単純なものではないということがわかる。

また、この本を読んで初めて気づいたことがある。さすがの私も「最低賃金」が都道府県ごとに決められていることは知っていたが、初めてその一覧のようなものを見たのがアルバイト情報誌だったこともあって、アルバイトの時給の最低というような感覚で捉えていた。
それも、高校生などの場合がそういう最低賃金を基準に決められているのかなぁみたいな漠然とした思い込みをしていたのだ。

しかし、著者がこう書いているのを読んで、ああ・・・そうなのかと思った。

 この最低賃金を大幅に引き上げることが、「ワーキングプア」の問題を解決するためには、非常に重要といえる。
 実際、現在の最低賃金はあまりにも低すぎて、「とても生活していくことができない」と指摘する声が強まっている。

こう述べ、次いで青森県労働組合総連合とあおもりパート・臨時労組連絡会が行った検証を紹介しておられる。

それは最低賃金での生活が可能であるかを実際に14人の人が参加して検証してみたというものだ。
条件は、青森県の最低賃金による時給で1日8時間、22日間働くことを想定した月収で普通に暮らせるかという検証をした結果、参加者は「ストレスが溜まって、1ヵ月の期間限定でなかったらこのような生活はとてもできない」との感想をもらしたと書かれている。

しかし、読み終わってみて、「ワーキングプア」が発生してしまう要因は理解できたし、また、その要因は例えば一部の人間が利益を搾取するために生じている場合はごくごく限られているであろうとも感じた。であれば、その要因を解消するには非常に高いハードルがあるようにも思える。

正直なところ、私自身いつも将来の不安は抱えているし、仮に私が今の仕事ができなくなってしまったら、この年齢で何か特別な技術を持つわけでもない私がどこかの企業に正社員として、ある程度まともな待遇で就職することは恐らく不可能だろうとも思っている。
要するに、企業で働いていない私でさえ、他人事ではないということだ。

読んでいても気分が明るくなるようなものではないし、ドキュメントの部分などを読んでいるとそこから言い知れぬ無力感、虚脱感のようなものが伝わってくる感じもして、気持ちが落ち込んでいるようなときには決してオススメはできないなぁという感じだ。

ただ、私のように社会や経済に疎い方がおられたら、こんな現実があるということは、知っておかれてもいいのではないかと思う。

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2007年1月22日 (月)

「なぜ勉強するのか?」 鈴木光司著

怖い話は嫌いで、当然怖い本も読まなければ、そういうテレビも映画も見ない。そんな私は鈴木氏のことを「ホラー作家」だと思っていたのですが、お知り合いのある塾長先生がなんと鈴木氏と直接のお知り合いで、その鈴木氏が教育に関する本を出されたと伺いました。それはあまりに意外な!?と思ったのですが、せっかく教えて頂いたので読んでみました。

「なぜ勉強するのか?」 鈴木光司著 ソフトバンククリエイティブ

評価 ★★★★☆

本書はインタビューに答えるという形式で書かれているのですが、鈴木氏に対する私の先入観と偏見はこの本を読み始めて間もなくガラガラと音を立てて崩れていきました。(苦笑)
どうやら鈴木氏は非常に博識で、色々なことをしっかり学んでおられ、それに基づいて小説なども書いておられるようだということがしみじみよくわかりました。

お知り合いの先生に思わず「紹介してください!」と言いそうになったぐらい、どうも素晴らしく頭のよい、そしてきっと人間的にも素晴らしい方のようです。

慶応の仏文をご卒業されたそうですが、作家を目指しておられたので、生活費を稼ぐために家庭教師や塾でのアルバイトをされたようで、そのご経験や、「主夫」として子育てをしてきたご経験なども踏まえてこの著書は書かれているようです。

しかし、非常に論理的で読んでいて何度も自分の考え方の甘さ、いい加減さを思い知らされたりもしましたし、「へぇ~っ、すごいなぁ」と何度も感心もしました。
新書で手頃な価格ですし、是非皆さんに読んでみて頂きたいと思いました。

読み始めたときには、文字がびっちりだし、これはなかなか読み進められそうにないなぁと思ったのですが、難しい話が苦手な私でもなんとか読めましたし、内容はしっかり詰まっているなと感じます。
5章からなっていますが、それぞれの章のタイトルは以下のようになっています。

第1章 すべてに通じる理解力、想像力、表現力
第2章 明晰に、論理的に、分析的に
第3章 正しい学習法
第4章 世界に通用する論理
第5章 未来をよりよくするために勉強する

印象に残ったところを紹介しますと・・・。(実は殆ど全てを紹介したいぐらいなのですが)

第1章より

 大学に入るまでに、学ぶ基本能力を身につけ、大学に入ってからはもっと広く学ぶというのが正しい勉強の仕方であって、そうやって勉強したものは必ず社会に出てからも役に立ちます。
 ところが、勉強する意味を考えずに、ただ受験勉強に追われていると、大学に入学した途端、目標はクリアされたことになる。もったいないだけでなく、これではちゃんとした教養人、知識人が育っていきません。日本にはたくさんの大卒者がいるのに知識人が少ないのは、多くの人が大学に入ってから勉強しなくなるからでしょう。学べるチャンスを手にいれ、勉強する能力も余力もある人たちが勉強をストップさせてしまうのだから、知識人が育っていくはずがない。
 また、そういう人は自分の子どもに受験勉強はさせても、勉強する意味は教えようとしません。「学校の勉強なんて社会に出ても何の役にも立たない」と、自分の子どもに対しても必ず言うようになるでしょう。
 日本はもう少し本物の教養人、知識人を増やし、その知恵を結集することを考える必要があると思います。(後略)

第2章のはじめには「UFOは存在するかどうか」という質問を投げかけ、それについて論を展開しておられるのですが、これはもう不勉強な私には耳が痛い、そして、非常に感動すら覚える内容でした。
私はずっと、宇宙には数え切れないほどの星があるのだから、他にも地球のような星があっても不思議はないと思ってきたのですが、その論の甘さみたいなものをズバッとびしっと書いておられます。

もちろん、絶対に存在しないとおっしゃっているのではないのですが、議論をするのであれば、どれだけの根拠があって述べるのかということの大切さのようなものを述べておられます。

また、「サルは言葉をしゃべれるか」という質問を投げかけ、それについても論じておられますし、「脳死」についても鈴木氏の論理的な説明がなされており、とにかく私は頭をがんがん殴られているような状態に陥りました。(苦笑)

2章の最後にこう書いておられます。

 日本人はもっと世界に通用する論理を身につけるべきですし、理解力・想像力・表現力はそのための基礎となる。勉強でこの三つの力をしっかり養い、さまざまな問題を合理的、論理的に判断する人が増えていけば、社会の幸福度がよりアップする確率が上がると信じています。

第3章の「正しい学習法」に書かれていることも非常に素晴らしい内容なのですが、特に印象に残ったのはここでしょうか。

 教育の場や家庭においても、教師や親が絶対に言ってはいけないことが一つあります。それは「競争社会」という言葉です。「勉強しなさい」と激励するのはまだいいとして、その理由として「世の中は競争社会なのだから」「社会に出たら競争なのだから、負けてはいけない」と言うのは、子どものためにならないだけでなく、間違っています。世の中は断じて競争社会ではないからです。
 現代社会に競争の要素がないとは言いません。サル山のボス争いと同様の現象は確かに起きうる。しかし、これは社会全体を見れば、ほんのわずかなことにすぎません。同じ種の内部、人間なら人間社会においては、競争より協力することによって、生き延びるケースの方がずっと多いのです。

しかし・・・本当に全てを紹介したい・・・。
第4章も是非読んで頂きたいという内容です。

日本社会は母性か父性かで言えば、非常に母性の強い社会だと鈴木氏は述べておられますが、(もちろん、全て論理的に根拠を挙げながら書いておられます。)確かに白黒はっきりさせずに、曖昧な表現を好み、他者との争いを好まず・・・などと挙げ、欧米などと比較すれば明らかにそうなのだろうなと思わざるを得ません。
鈴木氏は母性や父性のいずれかが素晴らしいとかダメだとか言うのではなく、そのバランスが大切だと述べておられます。

すごいなぁと思ったのは、少子化問題の原因のひとつに母性への偏りが挙げられるのではないかというご意見です。
男女平等が叫ばれ始め、ジェンダーフリーの考えが広まる中で、男らしさや女らしさがだんだん失われ、その結果、男女の差がだんだんと縮まっていく。すると、セックスレスになり、次世代が生み出されなくなるおそれがあると鈴木氏は述べておられます。

とにかく、この本では自分がこれまで思ってもみなかったことや、情緒(感情)で何となく流されて考えていたところなどをズバズバと指摘された感じがします。

そして、最後の第5章でも素晴らしいご意見が書かれています。

 アンケート調査で日本人に「世界はよくなっていると思いますか、悪くなっていると思いますか」と尋ねると、八割が「悪くなっている」と答えるそうです。アメリカ人に訊くと、「よくなっている」と「悪くなっている」が五分五分か、「よくなっている」が少し上回るぐらい。日本人がいかに未来を悲観しがちかがうかがえます。

第5章はそういう書き出しで始まるのですが、ここがまた素晴らしいと感じました。鈴木氏は、世界はよくなっているのだとおっしゃっているのですが、悪くなっていると言う人は何を根拠にそんなことを言うのだと、また論理的に意見をまとめておられます。

一番端的に書いておられるのはここでしょうか。

 人間は天国ではなく、地獄の中から這い出してきました。辛い暮らしに満足しなかったからこそ、社会システムを変えてきました。もしも、人間が過去の時代に満足していたら、現在でもサルと同じような生活スタイルを続けていたに違いありません。サルもライオンも鳥もその暮らし方は昔から変わっていません。しかし、人間だけが過去に安住せず、住みよい居場所を求めてここまで来たのです。

まだまだ紹介したりない気がしますが、ご興味を持たれた方は是非読んでみてください。きっと読んで損はないと思います。

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2007年1月18日 (木)

「学力がケタ違いにのびる算数脳の育て方 」 高濱正伸著

以前「小3までに育てたい算数脳」「 なぞペ~」などでご紹介した高濱先生の新しい本のご紹介です。
実は少し以前から書店で目にはしていたのですが、タイトルが以前ご紹介したものと似ていたので、長らく手にとっていませんでした。

学力がケタ違いにのびる算数脳の育て方 」 

高濱正伸著 幻冬舎

評価 ★★★★☆

A5版になるのでしょうか、小さいサイズの問題集などと同じサイズで、内容も図や絵が多く、とても読みやすいものです。
速い方であれば、ものの1時間という感じでしょうか。

ただ、中になぞぺ~などで紹介している問題や、パズル問題の作り方の例として色々な問題が出ていますので、それを解いていたりすると、私のように多少時間がかかるかもしれません。(笑)

内容としては以前ご紹介したものと同様のことが書かれているかと思いますが、こちらは具体的に例を挙げながら、よりわかりやすく、実践しやすくまとめられているという印象です。

ページ数は130ページあまりですが、7章構成になっており、それぞれ以下のようになっています。

Part1 算数脳を育てる学習法
Part2 算数脳とはどういうものか
Part3 算数脳を伸ばす―パズル&ゲーム
Part4 算数脳が育つ外遊びのすすめ
Part5 子育てのテクニック
Part6 算数脳を育てる親の役割
Part7 後伸びする子を育てる

毎度毎度不思議な気分になるのですが、私が尊敬している先生方は皆さん同様のことを述べておられるように感じます。
実際、この著書で高濱先生が述べられていることは、伊藤先生も糸山先生もそれぞれの著書の中でほぼ同様のことを書いておられたりしますし、その先生方は恐らく直接のお知り合いやお仲間ではないであろうと思われるだけに、本当に子どもにとって効果がある指導というのは突き詰めれば同じということなのでは?と思えてきます。
(高濱先生のことは残念ながら直接存じ上げませんが、あとの先生方は素晴らしい方々ですが、それぞれに確固たる信念をお持ちのように感じられますので、どなたかの主張を真似てということをされるタイプの方には思えません。その皆さんが同じようなことをおっしゃっているというのが、結局そこに真理があるということなのでは?と思えます。)

見出しだけいくつか並べてみても、もし伊藤先生のことをご存知だったり、糸山先生のことをご存知だったりする方は、あれ?同じこと??とお感じになられたりするのではないでしょうか。

算数脳は思考力

計算力と思考力は、全く別のもの

算数脳は人生を切り拓く力

算数脳は10歳までに育てる

また、「算数脳」と呼ぶのは以下のようなことだとも書いておられます。

算数脳は2つの力   「見える力」「詰める力」

「見える力」・・・図形センス 空間認識力 試行錯誤力 発見力
「詰める力」・・・論理性 要約力 精読力 意志力

Part4では「外遊び」の重要性を述べておられますが、外遊びによってどういう能力が高まるかということを、「木登り」、「川遊び」、「異学年との遊び」など具体的な例を挙げつつ説明しておられます。

そして、都会では外遊びができないという考え方に対して、こんな風に述べておられます。

 これ(注:都会での外遊びは困難だという考え)については、いくつか言いたいことがあります。
 まず第一に、「子どもに外遊びをさせられない」ことに手を打てない大人たち・社会というのは、大事な次世代へ「生きる力」というたすきを渡すことを放棄している状態だということです。それは、何としてでも解決すべきですし、できることはたくさんあると思います。(中略)
 第二に、保護するだけでは人は育たないということです。小学2年生くらいからは、「車」も「危ない人」も、自分で判断して遠ざけるように育てたいものです。「危ない人に追われたりしたときに、駆け込める家」や自転車の前カゴについている「パトロール中」という表示など、地域力の再構築と呼ぶべき試みが徐々に増えてきているのは、喜ばしいことでしょう。大人たちがこまやかな連携の網を張り、その中で子どもが自由に遊べるようにしていくことは、とても大事だと思います。

Part5の子育てのテクニックに書かれていることは、私はこれまで色々な先生の色々な著書で読んできたことと共通するところが殆どでした。(内容は共感・納得できることが書かれています。)

Part6で興味深かったのは「子どもと遊べない親が増えている」と題された項目で、自分の子どもとどんな風に遊んだらいいのかわからないという親向けに、外遊びや室内遊びの例を具体的に紹介しておられます。(子育て経験のない私は、そういう親御さんもおられるのだなぁと思いつつ読みました。)

すぐに読めてわかりやすいですので、高濱先生の「小3までに育てたい・・・」をまだお読みになっていない方などはまずこちらを読んでみられてはと思います。
とても素敵な1冊だと思います。

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2007年1月15日 (月)

「教室の悪魔」 山脇由貴子著

こういうのを読むと、また気持ちが重くなるかもと思いながらも、気になる新刊だったので読んでみました。

「教室の悪魔 見えない『いじめ』を解決するために 

山脇由貴子著 ポプラ社

評価 ★★★★

著者の山脇氏は東京都児童相談センターで心理司をしておられ、また、ベトナム政府からの依頼を受け、児童相談所のスタッフの養成のための講演をされるなど、国内外で活躍されている若手臨床家と紹介されています。

いじめなどがテーマの本はしばしば見た目が重苦しかったりするのですが、こちらもその点は例に漏れず、白黒模様の表紙に白文字でのタイトル。薄いグレーの帯に書かれた「悪魔」だけが赤文字という、なんともまあ、見ただけで手に取るのをやめようかなぁと思ってしまいそうな外観です。

しかし、こちらの本は、前回ご紹介した本と比べ、内容がかなりマイルドで、だからと言って中途半端で役に立ちそうにないということはなく、こういうテーマを扱った本としては、比較的すんなり読める上、いじめの現状についても個々の例をあまり強烈にならないところまで紹介してあり、また、どういう対処をしていけばよいのかなど、大人が取り組むべきこともすっと受け入れられるような書き方をしてあるように思います。

本書は5章からなっており、第1章は「『いじめ』は解決できる」として、実際の相談事例を紹介して、著者と親がどういう対応をしていじめを解決したかが書かれています。
最初にその事例から書かれており、また、文章にも穏やかさと愛情が感じられ、いじめ自体はとても残酷でグロテスクなものでありながらも、読んでいて気分が悪くなったりということがありませんでした。

第2章はいじめの事例を9つのケース紹介し、それぞれの事例について解説をしてあります。
現代のいじめには携帯を使って嘘のメールをばら撒くというようなものもあるそうで、例えば、全くのでっちあげでいじめのターゲットにされた子の名前と顔写真で援助交際の相手を募集するメールがばら撒かれるなどのケースが紹介されています。

また、昔と違い、いじめのやり方がどんどん巧妙かつ悪質になっていて、いかに大人にばれずにやるかということを考えているということも繰り返し書かれています。

読んでいてやはりぞっとするところはありましたし、何よりも、子ども達がこんな風にまでなってしまったのは、間違いなく私たち大人が作り上げた社会に問題があるということなのだろうと、まずは私たち自身が今のいじめの現状を正しく把握するところから始めなくてはいけないのではないかと感じました。

第3章では「なぜクラス全員が加害者になるのか?」と題して、今時のいじめのパターンを紹介していますが、まずこの章の最初に書かれている部分を引用します。

いじめというのは、特定の個人に起こる問題ではない。いじめられる側に原因があるからいじめられるのでもない。誰でも被害者になり得るし、誰でも加害者になり得る。いじめは循環する。些細なきっかけで、そのターゲットは替わり、次々と移行してゆくのだ。だから、いじめ被害の体験があると同時に、加害者になった体験もあるという子は実は非常に多い。
 現代のいじめに、理由はない。だから被害者と加害者の地位は簡単に入れ替わる。
その事を理解してもらうために、消極的加害者が被害者になってしまった事例を紹介しておきたい。

こう書かれた後、クラス全員が誰か一人をいじめのターゲットにし、それがある日あるきっかけでターゲットが変更された事例を紹介しています。

とにかく、読んでいて驚くのが、まるでゲームのように、特に理由があるわけでもないのに誰かがクラス全員からいじめられ、嵐が過ぎるとまた別の子がターゲットとなり、それまでいじめられていた子が今度はいじめる側に回るということが珍しくないらしいということでした。

もし私が今の時代に子どもだったら、ここで紹介されている事例などから考えると、ずっといじめられ続けたかもしれません。ここで紹介されていることが多くの場合に当てはまる事実なのであれば、正義感の強い子、間違っていることは間違っていると主張する子、みんなと群れるのが嫌いな子、そういう子たちがターゲットになりやすいような気がするのです。
今の学校は本当にそんなことがあちこちで起きているのでしょうか・・・。

第4章は「『いじめ』を解決するための実践ルール」と題し、親ができること、すべきこと、絶対してはならないことについての著者の考えを紹介しています。

最後の第5章では「いじめに気づくチェックリスト」がついています。

お子さんがおられる方はもちろんですが、子どもに関わる大人は一度読んでみて頂きたいように思います。
「いじめ」の本ばかり読んでいると、気持ちが滅入ってくるので、当分は読まずにお休みにしようとは思っていますが、この本はそういう意味では比較的読みやすいのではないかと思います。  

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2007年1月11日 (木)

「赤ちゃんと脳科学」 小西行郎著

約1年前に読んだ「早期教育と脳」がとても素敵だったので、その後すぐこの本を購入したのですが、タイトルからして私にとって急いで読むべきものという意識がなかったため、他の本を先に先に読んでしまい、結局長らく「積ん読」になっていました。

「赤ちゃんと脳科学」 小西行郎著 集英社新書

評価 ★★★☆

以前ご紹介した本はとても興味深く読めたのですが、この本はまあ、確かに非常にタイトルに忠実で、そういう意味では評価は星5つでもいいのか?という話なのですが、「赤ちゃん」を「脳科学」の視点から見て、実際に色々なデータなどを紹介しつつ書き進められているものでした。

何度も白状しています通り、私は難しい本が苦手でして、この本も大半が科学的データや専門用語などで赤ちゃんについての研究結果が紹介されていたりして、読んでいてもどうもすっと頭に入ってこず、おまけに、そもそも現時点で(というかこの先も?)「赤ちゃん」について詳しく知りたいという欲求や必要性をあまり感じていないということもあるのか、尚更うわべだけを読み流しているような状態になってしまいました。

途中で読むのを断念しようかとまで思ったのですが、個人的に、4章以降は興味を惹かれるところも結構あり、どうにか最後まで読み通すことができました。後半部分は星4つか4.5個という感じです。

さて、本書の構成に戻りますが、全部で8章からなっており、それぞれの章のタイトルは以下のようになっています。

序 章 悩める母親の育児事情
第1章 誤解を生んだ「科学的根拠」
第2章 胎児の能力の不思議
第3章 生後二ヶ月革命
第4章 神経ダーウィニズムと子育て
第5章 テレビと育児
第6章 育児の目的と目標
第7章 子どもの発達を幅広く「見る」

私は第4章以降がと書きましたが、赤ちゃんをお持ちのお母さんやこれから出産される予定のお母さんなどは、きっと前半部分も参考になるところが沢山あるかと思います。

昨今の「脳」ブームや幼児教育ブームなどで数え切れないほどの情報が氾濫していますが、情報に振り回されるのではなく、どういう風に判断し、子育てをすればよいかなど、小西先生なりのお考えがデータと共に書かれています。

以前ご紹介した著書でも感じたのですが、小西先生の赤ちゃんや子どもに対する視点には愛情が溢れているように思います。また、絶対これが正しいのだ!というようなご意見ではなく、赤ちゃんや子どもが幸せになるためにはこの方が望ましいのではないかという控え目ながら納得の行くご意見が書かれているように思います。

本の帯にもこう書かれています。

「天才」に育てるより、
「幸せ」な人間に育てたい!


胎教、早期教育は有効?
三歳児神話の呪縛?
赤ちゃん学の第一人者が、
最新の脳科学の知見から、
赤ちゃんとの上手な
つき合い方を説く。

ある意味、この帯の言葉でこの著書の紹介が全てなされている感じですね。

第4章以降で特に心に残った部分を引用でご紹介します。

第4章より
 子どもを叱ることはいくらでもできます。観察などしなくても、自分の基準に合わなければ感情一つで怒ればいいからです。しかし誉めるのは、相手を見て、きちんと「観察」していなければできません。ですから「見守る」ことが重要なのです。
 子どもがその能力を伸ばすのは、脳に情報を詰め込んだときよりも、うまく誉められてやる気がでたときです。

同じく第4章の以下の文章からは、小西先生のお人柄、価値観がよくわかる気がします。

 二〇〇二年、NHKで『奇跡の詩人』という番組が流され、言葉も発せられないほど重度の障害児が素晴らしい詩を書いている、と賛美されました。(中略)
 しかし、私が思うには、重度の障害児が詩を書いたからといって、それを「奇跡」だとするその姿勢のほうが問題なのではないでしょうか。障害をもった子どもが訓練の結果で詩を書けた、だから素晴らしい、というのであれば、努力しても詩も書けず、言葉も発することができない障害児は素晴らしくない、ということにもなりかねないのです。
 どんな障害をもった子どもでも、あるいはのんびりした子どもでも、ありのままに人生を幸せに送ることができれば、それこそが素晴らしいことであると私は思うのです。

第5章は「テレビと育児」と題されており、小さなお子さんがおられる方は是非一度読んでみられてはと思うことが書かれています。
現代社会において、さまざまなメディアとのつき合いが必要なのは間違いないだろうとした上で、現在はまだ科学的なデータが限られており、テレビやビデオ、ゲームについて更に科学的研究をしなければならないとしておられます。

その上で、先生なりにこのように締めくくっておられます。

人間は、外部から与えられる情報による受動的な教育と自ら求めて新たな情報を得る能動的な教育のバランスを保ちながら、成長、発達を遂げていく生き物です。
 極端に生活の中からテレビを排除したり、逆に生後間もなくからテレビを長時間見せ続けるようなことは避けるべきです。

第6章より

ヨーヨー・マの姉の早期教育の例や、海外で暮らす親子の事例などを紹介しつつ、こうまとめておられます。

どのような教育方法であれ、将来に対する目的や目標を設定せずに、良いといわれることを人にいわれるまま、過剰に行うことに問題があるのではないでしょうか。

こちらもちょっと印象に残りました。

 よく小児科の外来で、子どもをスポーツや習いごとの教室とか学習塾などに通わせることについての相談を受けます。
「この子がサッカーをしたいと言うのですが、サッカースクールに入れたほうが良いでしょうか?」
 とか、
「この子がサッカーをしたいと言ったものですから」
 という母親は少なくありません。
 でも待ってほしいのです。子どもが「サッカーをしたい」と言っても、それは親や友人たちと「遊びたい」という意味で言っていることが多いのだと思います。たとえば父親と一緒にサッカーをすることで、ときには父親の偉大さがわかったり、案外へたくそでいっそう父親に親しみをもったりするかもしれません。

第7章では、小西先生の言葉ではないのですが、感動した言葉を引用させて頂きます。

福井大学で障害児教育に携わる松木健一郎助教授から聞いたお話ということで紹介されている文です。
障害によって生まれたときから寝たきりでチューブで栄養を取っていた翼(仮名)くんがあるときから医師に口まで流動食を運んでもらって摂取できるようになり、発達を上へ伸びることと捉えた場合、一般には、次は自分で・・・とか、固形物を・・・とかいう発想になるのかもという話の続きに書かれています。

しかし、松木氏の考えは違っていました。
「医師に口まで流動食を運んでもらい、飲み込めた翼くんは、次に母親に手伝ってもらって食べられるようになると思う。母親はそれを心待ちにしていたからね。で、次はひょっとしたら父親だろう。そうすると、相手によって会話の内容も変わるでしょう?
 中には食べさせるのが下手な人や、気の合わない人もいて、翼くんはいやがるかもしれないな。翼くんの感情はどうなるだろう?一人で食べられないとはいっても、他人との関わりの中で食事ができるようになれたんだ。大きな進歩じゃないか。私は、そうやって着実に翼くんの世界を広げてやりたい」

この後は小西先生の言葉です。

 誰が口まで食事を運ぼうと、翼くんが「他人に食べさせてもらう」ことに変わりはなく、発達の段階としては同じレベルにあります。
 しかし、木が上に伸びながら、同時に横にも葉を茂らせたり、花を咲かせたりするように、このときの翼くんも自分以外の誰かと関わる機会が増えることで、縦へ横へと広がったのだと思います。これが、本来の子どもの発達のあるべき姿だと私は思うのです。その意味で、子どもはやはり大きな可能性を秘めているのです。

きっと、小西先生はとてもとても愛情に溢れる素敵な先生なのだろうなと、この本を読んでも改めて感じました。

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2007年1月 8日 (月)

「あきらめないでお母さん」 浅谷昭子・村岡ちづ子著

大先生オススメということでご紹介頂き、早速読んでみました。

「あきらめないでお母さん 幼児期から高校生までの子育てアドバイス 

浅谷昭子・村岡ちづ子著 ザメディアジョン

評価 ★★★★☆

本の帯に

MHK教育テレビ「ハートをつなごう」で、授業内容がクローズアップされたYESエグゼ教育グループの“本物の成長”がある指導法。

と書かれているのですが例によって殆どテレビを見ない私は、その番組も全く知りませんでした。

大先生がオススメされるというのはどんな内容なのだろうと思って読んでみたのですが、もし私に子どもがいて、こちらの教室に通える範囲に住んでいたら、きっと子どもを体験に連れて行くだろうなと思うような内容でした。

毎度毎度不勉強で恐縮なのですが、YESエグゼ教育グループでは、幼児部門はピグマリオンの提携教室になっているそうで、スタッフをピグマリオンに2年間通わせ、それだけに留まらず、海外などにも飛んで、幼児教育その他について様々なことを学ばれた上で、素晴らしい「幼児教育」を提供しておられるようです。
(もしかしたら、以前大先生の教室でこちらの塾のどなたかとご一緒させて頂いたことがあるのかもしれません・・・。知らないってのは恐ろしいことですね。。。)

非常に読みやすい本で、集中すれば1時間もあれば読めてしまう方もおられるのではと思います。

本書は6章からなっており、第1章は「幼児教育への関心」、第2章は「幼児期のお子さんをもつお母さんへのアドバイス」、第3章は「幼児教育のしくみ」、第4章は「小学生のお母さんへのアドバイス」、第5章は「中学生のお母さんへのアドバイス」、第6章は「教育法について」となっています。

こちらの教室の素晴らしいところは、ピグマリオンの教材をベースに独自の学習法を作り上げられ、幼児だけでなく、中学生、高校生にまで能力トレーニングを組み込んだ指導をされているということです。
是非一度見学させて頂きたい!と思ったのですが、もともとピグマリオン教育に関心をお持ちで、既にお子さんが少し大きくなってしまっているのでちょっと間に合わなかった・・・と思っておられるような方がもしお近くにお住まいなのでしたら、見学に行かれてはいかがでしょう?(私も行きたい。今年のひとつの目標にしよう。。。)

第1章は短いのですが、その中の印象的な部分を引用しますと・・・

「○○用に、これをとにかく暗記しなさい」
「とりあえずはテクニックでしのいで、これから先は高校・大学で勉強しなおしてね」
「本人のやる気さえ引き出せば絶対大丈夫」
・・・・・・こんな言葉を、今まで教師や塾講師たちはどれだけ生徒のみなさんや保護者の方に言ってきたことでしょう。
 そして、それが子どもたちの人生を長いスパンで見たときにどれほどの効果をあげたのでしょうか。

 私たちもそのことをずっと考えてきました。
「付け焼き刃の学習や、世話の焼きすぎは結局生徒をダメにする。暗記や短期学習にのみ効果があるテクニックではなく、その子が自分の力でずっと伸びていけるような、また、美しい精神論や根性論や理想だけでなく、実際に実力がつくような、そんな指導をしたい」
 そう思ってきました。
 そして、いきついたのがピグマリオン教育です。
 ピグマリオン教育には「問い」があります。
「答え」は子どもが、そして大人(保護者、講師)が自分でみつけるのです。安易に手助けしたり、愉快なだけの指導ではなく、また安心させる言葉を軽々しく投げかけるのでもありません。

また、第2章では、以下のことについてそれぞれの項で述べておられます。

1 見落とさないで!こんな動作・行動

①利き手とその逆の手、両手を協力して使えていますか?
②お箸やクレヨン、鉛筆など、道具を使う手指はどんな様子ですか?
③先割れスプーンに慣れてしまっていませんか?
④ご飯のときに、両手がテーブルの上に出ていますか?
⑤ランチプレートで頻繁に食事をとっていると「片手が下がる習慣」がつくことがあることをご存知ですか?
⑥絵本の読み聞かせを定期的に(できれば毎日)行っていますか?
⑦他の人の前でお子さんを批判していませんか?
⑧ものには「一つひとつの名前」と「ひとまとめにした名前」があることを教えてあげていますか?
⑨お子さんにいろいろな経験をさせてあげていますか?

第3章はためになることも書かれていますが、教室の紹介の部分も多いので、通えない方などは指先能力のチェックなどを参考にされ、後半はさらっと読まれるという感じかなと思います。

4章、5章も内容は各ご家庭でも参考になることも色々書かれているのですが、教室でのレッスンについてや、その結果どんな成果が現われたかなどが書かれているところも多く、通える人はいいけど・・・と思わなくもありません。
ただ、ここでも繰り返し書かれていることは「指先能力」の重要性で、小さい頃からしっかりと指先を使えるようにすることがどれだけ賢い子に育つかの重要な鍵のひとつだということが述べられています。

終章の第6章にはこんなことが書かれています。(一部引用)

 いいものだからといって、すぐに広まるわけではなく、世の中にはまだみなさんがご存知ない素晴らしい教育方法、能力を高め、バランスの偏りを改善するような指導方法がたくさんあります。
 幼児であれ、小中学生であれ、いい方法というのは、タイミングを見て、ふさわしい時期に、ふさわしいやり方で行うことが大切です。(中略)
 先に述べたように、性格は習慣が作り、その習慣は能力が作るもの。
 ですから、お子さんのどんな様子も「現在の能力なのだな」と受け入れて、その能力をどうやって伸ばしたらいいかを考えてあげていただきたいと思います。

更に、「おわりに」に書かれているこの文章も、非常に興味深いので、引用します。(大先生もおっしゃっていることですが、とてもわかりやすい言葉で書いてくださっています。)

 では、勉強は何のためにするのでしょう?
 お子様に聞かれたら答えられますか。
 YESエグゼ教育グループはこう答えます。
「勉強はテストの点を取るためのものではありません。
 勉強とは、生きてゆくための『能力』の土台作りです。」と。
 具体的には「観る力・記憶する力・比べる力・判断する力・心に浮かべる力」などです。それらを総合したものが「思考力(考える力)」であるとエグゼは考えます。
 その思考力を高めるには算数・数学の学習がいちばんです。
 よく「国語ができないと算数はわからない」と言います。
 しかし、実際にはむしろ逆なのです。図形や数論理力、知的観察力の基礎がないのに、言葉だけを覚えて使うことができるでしょうか。読み聞かせや読書はもちろん必要です。けれども、単語や文章を暗記しただけで言語を習得できるわけではありません。それだけでは、状況に応じて言葉を組み合わせて使ったり、相手の言いたいことを順序よく理解することはできません。
(後略)

読みやすくて、子ども達への愛情が伝わってくる1冊です。
お子さんがおられる方、子どもの指導に関わっておられる方は一度読んでみられてはいかがでしょうか。

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2007年1月 4日 (木)

「脳で勝つ!中学受験」 吉田たかよし著

結局すっかりご紹介が遅くなってしまいましたが、今日はこちらをご紹介。
お休みの間に少しは本が読めたのですが、書こうという気持ちになかなかなれず、結局通常の更新になりそうです。
こんな私を今年もどうぞ宜しくお願い致します。(苦笑)

「脳で勝つ!中学受験」 吉田たかよし著 学研

評価 ★★★★

吉田氏の著書は読みやすく、内容も共感できるところや納得できるところが多いように思うが、こちらは「脳」で勝つ「中学受験」と、なんとも受験生の親御さんは興味を持ちそうなタイトルです。私はそれなりに面白く読めたのですが、そういう方にとっては物足りないのかもしれないなと思うところはありました。(何しろ、アマゾンの書評とかでかなり酷評しておられる方もおられましたし。)

親切にも、本の表紙をめくると「本書の主な内容」としてまとめてくださっているのですが、そちらにはこんな風に書かれています。

●ポケモンのキャラクター名が脳に定着する仕組み
●親の関わりがないと、子どもの脳細胞は退化する!
●本当か、「右脳神話」
●子どもの学歴に影響するのは、
 親の学歴より親の「生き方」
●中学受験は価値のあるハードル
●朝食抜きは脳細胞を破壊する!
●「イチロー式勉強法」で攻める!
●情報は「どう取り出すか」が重要  ほか

また、「はじめに」ではこんなことが書かれています。

 本書は、私自身の経験や医師として知る限りの最新の脳科学・医学を根拠に、中学受験を通して「本当に頭の良い子」を育てる方法をわかりやすく説明したものです。(中略)

 私がクリアーしてきた中学入試、東大入試、医師国家試験、国家公務員Ⅰ種(上級)経済職試験。知識の詰め込みでどうにかなるような試験はひとつもありませんでした。単なる知識の詰め込みでは、脳の中で思考力を生み出す「前頭連合野」を育てることはできません。それどころか、場合によっては、逆に脳の機能を低下させる危険もあります。

 実際、名門と呼ばれる中学校では、近年次々に入試問題を詰め込みでは対応できない内容に変化させています。(中略)

 ところが、残念なことに、そのことに気付かず、昔ながらの詰め込み勉強を子どもに強要している親は、少なくありません。これでは、志望校に合格することはおろか、子どもの脳が効率よく育ちません。中学受験が、子どもの脳の成長を妨げてしまうことになりかねないのです。
 現実と親の認識とのこうしたギャップに医師として気付いたからこそ、私はこの本を世に送り出さなければいけないと痛感しました。

私は中学受験に関して興味はないというか、自ら指導するだけの力もなければ経験もなく、更に今から努力してそれをできるようになりたいとも思っていないわけですが、この本に書かれていることは殆どが本当に子どものことを考えて書かれているように思えますし、子どもに受験させることを考えておられる方は早い時期に読んでみられてはとも思います。

吉田氏は、私からするとやはり「持って生まれたもの」が違うんじゃない?と思ってしまうわけですが、ただ、灘中・灘高のご出身であるものの、子どもの頃親御さんたちは彼が時刻表にはまって、色々な経路で日本を旅するプランを作ったりしていたときにも、それをやめさせるのではなく、時にはそのプランに付き合って実際に家族で旅行をしてみたりなどということもしておられたというエピソードなども書かれていて、きっと吉田氏ご自身が「詰め込みではない学習」で受験をクリアしてこられたご経験があるからこその言葉なのだろうなと思えます。

経験のない人間が理想論を語っているのではなく、ご自分のご経験を元に、それに医学的な視点を加え、とても読みやすくまとめてくださっていると考えると、なぜそこまで酷評されるのかはよくわかりません。

受験をする予定のない子にも大いに行かせる、参考になることが書かれていると思いますので、一度読んでみられてはいかがでしょう。

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2007年1月 1日 (月)

元日なので。

本当は既に読み終わった本が2冊、間もなく読み終わる本が1冊あるので、そのどれかのご紹介をとも思ったのですが、内容が「中学受験」とか「いじめ」だったり、もう1冊はとても素敵な内容ではあるものの、やっぱり元旦だし、何かちょっと違うものをご紹介できないだろうかと。

ほんのちょっとだけ出勤もしたので教室でも考えたのですが、これというものを思いつかず、ここはやはり「一年の計は元旦にあり」というぐらいですし、本と言えるかどうか微妙ですがこちらをご紹介することにしました。

「江原啓之の365日スピリチュアル・メッセージ 2007年版ダイアリー」 講談社

私は今年の分を去年、初めて買ったのですが、少なくとも去年も同様のものが発行されていたようで、かなりの人気だったようです。
「ダイアリー」と書いてあります通り、365日それぞれ1ページ、日記を書き込めるようになっていますが、ページの上には月日曜日のほか、大安や仏滅なども書かれており、何より、日めくりカレンダーではありませんが、1ページごとに江原さんのメッセージが書かれているというものです。

また、ダイアリーの最初には江原さんのアドバイスや一年のスピリチュアルな過ごし方などが紹介されていたり、2006年を振り返り、2007年はそれをどうすればもっとよくなるかを記入するページなどもあります。
また、4ページほどですが、2007年の未来ダイアリーと題し、今後10年間の「未来表」にどんなことを達成していたいかを記入するようになっていたり、10年後の未来日記として「1 どんな家、どんな場所に住んでいますか?」や「8 毎日どんな生活をしていますか?」など10の問いかけがされています。

忙しくって、買っただけで殆ど見ていませんでしたが、新年ですし、ちょっと考えてみようかなぁ。ワタミの渡邉社長も夢は日づけを入れて手帳に書き込むというようなことをおっしゃっていますしね。

因みに、1月1日のメッセージはこちら。

新しい年が明けました。今年の目標をはっきりと心に決めて、
「この一年、充実した学びができますように」と祈りましょう。

さて、ちょっと実家に行ってまいりますので、未来日記の記入と祈りは後ほどに。(笑)

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