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2006年11月20日 (月)

「君を守りたい」 中嶋博行著

今回の1冊はちょっと紹介を躊躇う1冊です。

「君を守りたい―いじめゼロを実現した公立中学校の秘密 

中嶋博行著 朝日新聞社

評価 ★★★★☆

恐らくこの本が出版されて間もなく、書店の店頭で目に留まり購入したのですが、他の本を先に読んだりしていて、読むのが少し遅くなってしまいました。

タイトルや副題、本の帯に書かれている言葉などから、一体どんな素敵な内容なのだろうと思って手に取ったのです。
因みに、本の帯にはこう書かれています。

お父さん、
この学校には
いじめがないんだよ

公立中学校が実践した
「君を守り隊」の驚くべき成功を
はじめ、いじめ撲滅の即効的
かつ具体的な解決法が満載!

そして、著者である中嶋氏は犯罪被害者問題の第一人者の現役弁護士であり、作家でもあられるそうですが、その方は一体どんなことを書かれたのだろうと、ちょっと期待しつつページをめくりました。

しかし・・・、もしも繊細な方であれば、数ページ読んだ段階で先に進めなくなるのではないかと思います。
最初の章で、実際に日本の公立中学で起きたいじめの事件を2例、裁判記録などに基づき具体的に詳しく紹介しておられるのですが、正直言って私はここを読んだ段階でしばらく言葉を失い、おまけに夜の食事の前に読みかけたため、食事は喉を通らなくなり、しかし、そのまま眠ることもできそうになく、本当にどうしたらいいのかわからない気持ちになりました。
それほどに想像を絶する壮絶な事例が紹介されているのです。

ただ、ここで読むのを終えてしまっては全く救われる部分がないし、きっと後半になれば希望が見い出せるのではないかと、苦しいながらも読み進めてみました。

すると、予想通り、最初の章以外は冷静に読むことができ、また目からウロコという感じを受けたり、納得できる部分も多く、多くの方に読んでみて頂きたいと感じました。

繊細な方には最初の章があまりにも重くてきついと思うので、そこは飛ばしてでも読んでみる価値はあるように思うのですが、ただ、そこを読まなければこの著者の思いや後半で書いておられることが今ひとつ響いてこないかもと思ったりもして、ちょっと悩むところです。
ですが、私自身、最初の章をもう一度読み返す気にはどうしてもなれませんし、できれば思い出したくないとさえ思ってしまいますので、そのあたりがどう判断すべきか悩んでいます。

著者の意見を非常に短くまとめると、「いじめ」は「教育的配慮」によって間違った捉え方をされているが、「犯罪」であるということ。
学校外で起きれば犯罪であることが、なぜか学校内で起きると「いじめ」と表現され、犯罪ではないかのように扱われてしまっているということ。
本来「いじめ」は犯罪なのだから、警察の介入を積極的に求めるべきだということ。
「いじめ」をした人間に対しては首謀者をピンポイントで処罰すればよく、その際には「ゼロ・トレランス(不寛容)」を適用すること。
そんなことになるかと思います。

いじめ撲滅に関して、アメリカでの例が色々挙げられており、それ自体も参考になる面はありますが、銃社会・ドラッグ社会のアメリカと日本を同じように論じるのは少し難しいところもあるように思います。

ただ、これを読んでいて私自身一番ハッとしたのが、今の学校は例えばいじめを受けた子どもに対して「無理に学校にこなくてもいいんだよ」というような対応をすることがあるが、なぜ被害者が学校から去り、加害者がこれまで通りのうのうと学校に通っているのかというところでした。

言われてみれば確かにそうですよね。
いじめられた側は、それさえなければ普通に学校生活を送れるはずだったのに、いじめられた上にその権利まで奪われ、奪った側の生徒は何の罰も受けず学校に通い続けるのがおかしいと言われれば、間違いなくそうです。

また、著者が繰り返し書いておられることは、よく学校などの大人は「教育的指導」によっていじめる子をまっとうな人間に立ち直らせたいというような面に重きを置くが、いじめられている子にとっては毎日が地獄で、とにかく今すぐそこから救い出してくれることを求めているのだと。
いつになるかわからない未来まで我慢し続けろということ自体、今正にいじめを受けている子どもに対しては通用しない理論だと。そう言われると確かにそうですよね。

いじめを受けている子に明るい明日など想像もつかないことでしょう。毎日毎日いじめのことで頭がいっぱいで、生きる希望も見い出せなくなっていく子達に、期限も切らず我慢させることなど絶対にしてはならないことだと言われれば、正におっしゃる通りです。

警察の介入や断固たる処罰など、それだけを見るとちょっとそれは行き過ぎなんじゃないの?と感じるような表現もあるかもしれませんが、著者がいうように、何よりも優先されるべきはいじめられている子どもを一刻も早く救い出し、守るということなわけで、そのために必要な策を講じるのは大人の務めであるのは間違いない気がします。

副題にある「いじめゼロを実現した公立中学校の秘密」というのは、ある公立中学で生徒達が話し合い、どうすればいじめをなくせるかということで、生徒達自身が自発的に「君を守り隊」という隊を有志で組織し、校内の見回り、情報収集などを行ない、いじめの際に傍観者になりがちな生徒達にもどんどんその隊に入ってもらって、結果的にいじめをする子が少数派となり、いじめがなくなったというものです。
その経緯や、長年続いてきた結果、初期の「守り隊」が今では形を変えていっている(もちろんよい方に)ことなども紹介されていますが、素晴らしい話だなと思いながら読みました。

最初の段階で読むのを断念しなくてよかったと思っていますし、多くの方に読んでみて頂きたいと思うわけですが、とにかく最初が・・・。
そこを読む読まないは皆様がそれぞれにご判断ください。

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