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2006年11月 9日 (木)

「オール1の落ちこぼれ、教師になる」 宮本延春著

タイトルに惹かれて読んでみました。私的にはかなりオススメです。

「オール1の落ちこぼれ、教師になる」 

宮本延春著 角川書店

評価 ★★★★★

本の帯には「全国に衝撃を呼んだ『オール1先生』初の著書!」と書かれているのですが、不勉強なため、私はこの本を知るまでこの先生のことは知りませんでした。

これまでにも落ちこぼれだったとか、ヤンキーだったとかいう先生がマスコミなどで取り上げられることはありましたが、「オール1」っていうのはちょっと想像もつかない世界ですし、一体どんな方で、どんな経緯で先生になられたのか、非常に興味を持ちました。

で、読み始めていきなり泣きました。(苦笑)
そして、本の帯に大きな文字で書かれている「奇跡の教師」という言葉を、確かに「奇跡」としかいいようがないなと思いながら読みました。

宮本先生は「もともと無口で気が弱く体も小さい上に、家の引っ越しで転校を繰り返していたので、行く先、行く先の学校で、恰好のいじめの対象にされました。」と書いておられますが、小中学生の時代をいじめられて過ごし、中学卒業のときの学力は、「国語の漢字は自分の名前が書けるだけ、数学は九九が二の段までしか言えず、英語はbookしか書けないというひどい状態」だったと書いておられます。

当然進学できる高校はなく、工務店の見習いに入ったそうですが、そこでもまたいじめにあったそうです。
更に、16歳にしてお母様が亡くなり、18歳でお父様も亡くなられ、もともと親戚などもおられなかったそうで、18歳にして「天涯孤独の身」になられたとも書かれています。

もうこれだけ読めば、あまりに壮絶な、想像を絶する体験であることは多少想像がつきます。(当然実感、共感することは不可能ですが。)

一体なぜ、この人はここまで不遇な目に遭わなくてはいけなかったのだろう?という思いを抱きましたし、よくそんな状態でありながらも学校に通い続け、何よりも、よくしっかりと生き続けられたなぁと、しみじみすごいなぁと感じました。

とことん落ちこぼれていたことに関して、ご自身が振り返っておられるのですが、一部抜粋すると、こんな風に書かれています。

 勉強嫌いが顕著になったのは小学三年ごろからだったでしょうか。いじめで学校にいることだけでも苦痛なのに、その上勉強で頭を悩ます気になれなかった。一つつまずくと、それを修復する気力がないので、どんどん授業がわからなくなっていく。その悪循環の積み重ねでした。(中略)
 とにかく、やりたくなかったのです。なぜでしょう。
 生来の怠け者だったのかというと、家のラーメン屋を手伝ったりしていましたから、そうとはいえないでしょう。では、頭を使うことが嫌いだったのかというと、幼稚園児のときから本が好きで、中学生のときには横溝正史の小説を読めない漢字をとばしながら愛読したりしていましたから、知的なことに全然興味がなかったわけでもない。とにかく、学校の勉強だけは受け付けなかったのです。

そんな「どん底の十代」を過ごしていた中で、いくつかの出会いがあり、徐々に変化が訪れます。
その後、現在の奥さんとの出会いがあり、その出会いが更なる出会いを生み、本当に「奇跡の変身」を遂げられたのです。

是非読んで頂きたいと思うので、その後の詳しい経緯は紹介しませんが、最終的に24歳で定時制高校入学、27歳で名古屋大理学部・物理学科への合格を果たされ、大学院も含めて9年間の研究生活の後、37歳にして教壇に立たれたということです。

後半の人との出会いは、本当に感動に次ぐ感動で、涙もろい私は泣きっぱなしでした。(苦笑)(あんまり書くと、ちっとも泣けなかったと言われると困りますけど・・・。)
人生の前半で普通では考えられないほどの困難に出会い、もし自分だったら、世界中の不幸を自分ひとりで背負っている気分にさえなったのではないかと思います。

ですが、そこで人生をリタイヤせず頑張り続けたことで、こんな奇跡が起きたのだろうと、人生ってやはりわからないものなのだなと思ったりもしました。

この本は、子どもにも読んでもらいたいという先生のご意向で、小学5年以上で習う漢字には読み仮名がふってあります。

個人的には、後半、大学受験の終盤辺りからはあまりにもレベルが高く、読んでも「自分には無理・・・」と思ってしまう子もいるかもしれないと思ったりもしますが、実体験を元に語られる言葉には力があり、例えば今いじめで悩んでいたり、何かのきっかけで不登校になっていたり、勉強で落ちこぼれて「何で勉強なんてしなきゃいけないんだよ?」と思っているような子に、是非読んでみてもらいたいと思います。

もちろん、大人の方にもオススメです。
本当の落ちこぼれやいじめられる子の気持ちがわかる、数少ない先生の言葉から、何か考えるところがあるかもしれません。

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